CASE20
醫療施設
林病院
- 所在地:
- 徳島県徳島市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 3,721m2
- 竣工:
- 2019年6月
- 用途:
- 醫療療養病床(80床)
1984年の開設以來、主に地域の高度急性期病院の退院患者様を受け入れる後方支援病院として、地域醫療への貢獻を続けてこられた醫療法人すこやか 林病院様。
老朽化やリハビリテーション機能の強化など、いくつもの課題を抱えていた病院施設の移転?新築をご決斷。建設地探しの段階から苦労を重ねた末、理想とされる新病院の完成に至りました。
計畫のポイント
療養環境と職場環境を究めた新病院を移転?新築
2?3階に計80床の病棟、1階部分にその他すべての機能を効率的に集約した新病院を建設。患者様とスタッフの動線にこだわり、また印象度を高めるために內外裝の意匠にも工夫を凝らした上質な建物に仕上がりました。
來院者がまず訪れる1階の受付?待合ホール。吹き抜けと広いガラス張りで、明るく開放的な空間となっています。
多くの希望と條件を満たす建設地を確保
舊病院から直線距離で約500mの場所にある企業の遊休地(約1,800坪)を選定。粘り強い交渉の末、売買契約に至りました。當該地は、水害の恐れが少ない高臺に位置しており、公共性が高い醫療機関としてBCP(事業継続計畫)対策にも有効だといえます。
スタイリッシュな建物デザインも、新病院の大きな特徴の一つ。職員動線と病院機能の効率化の追求から、2?3階の病棟を十字に設計しました。
新たに通所リハビリテーションを併設
新病院には、舊病院の約1.8倍のスペースを持つ醫療リハビリテーションルームを設置。さらに介護事業の通所リハビリテーションを新たに併設したことで、患者様に対し入院~退院後と永続的なケアの実現が期待されます。
新病院に新設された介護リハビリテーション「すこやか」。レッドコードなどの最新機器を備えるなど、“毎日通っても飽きない”工夫が隨所に凝らされています。
お客様の聲
患者様と職員のためを思い計畫。
理想的な醫療環境が実現しました
醫療法人すこやか 理事長?院長 林 健司様
1984年に診療所を開設。當初より多くの患者様に恵まれたこともあり、2年後に迫った醫療法の第一次改正の施行の前に「今しかない」と、短期間に19床→50床→95床と増床を重ねてきました。そのため、施設?設備面においても至るところで無理が生じていました。
たとえば、雨の日に傘をさして道路を渡り別棟まで食事や休憩に行く姿や、數百メートル離れた駐車場と病院を行き來する職員の様子などを見ると、かなり負擔をかけていると、心苦しく感じていました。
初めて大和ハウス工業さんとお會いしたとき、まだ新病院の構想は漠然としたものでした。実は、將來的に舊病院の病棟閉鎖をすることも考えていたほどです。しかし、事業承継の道筋も立ったことから、醫療法人化とともに新病院建設計畫の具體化に踏み切りました。
また、次なる課題となった移転用地の選定では、本當に良い土地が見つかったと思います。高臺であることも気に入りました。実は、舊病院は南海トラフ地震発生の際に1mの浸水が想定されていましたが、移転用地はハザードマップから外れており將來的な安心も擔保することができました。売買交渉にあたっては、大和ハウス工業さんに大変盡力いただきました。私が交渉しても、まず成約には至らなかったでしょう。大和ハウス工業さんの交渉力の賜物だと感謝しています。
移転用地の購入が決まり、理想とする新病院のイメージが、私の中でパッと膨らみました。とにかく舊病院のすべてを改善したかったのです。まずは廊下幅。高度急性期病院から當院に搬送されてくる患者様の中には、人工呼吸器を裝著されている方が少なくありません。そんな重度な方でも、これまでは移動の際にストレッチャーに乗せ換えないと廊下をすれ違うことができない狀況で、職員だけでなく患者様にも負擔をかけていました。改修では対応が不可能なため、大きな悩みの種でした。
次にこだわったのが建物のデザイン。昔からよくイメージしがちな“病院らしい建物”にはしたくありませんでした。設計擔當者から良い提案をしていただき、とても満足しています。
月2~3回の打ち合わせで、細かな點を大和ハウス工業さんと擦り合わせていくのですが、懸案事項を一旦病院に持ち帰り、職員代表との意見交換の後に決定するというプロセスを踏んだため、約半年間も費やしてしまいました。しかし、根気よく付き合ってもらい感謝しています。そうした苦労の成果が建物の出來栄えにも表れており、とても良い病院が完成したと満足しています。
當院では、外科?內科問わずおよそどんな狀況にも対応できることから、「どんな患者様も引き受け、あらゆる治療に対応する病院」として、地域の高度急性期病院と業務提攜を結んで後方支援病院としての役割を果たしています。その高度急性期病院は、平均在院日數が7日(最大14日)。そのため、後方支援病院として退院患者様の受け入れの責務を果たし、これまで長きに渡り信頼を得てきました。醫療療養病床でありながら、醫療対応力が高いというのが當院の大きな特徴だといえるでしょう。そのため、毎月のように病床の回転が必要となることから、他の醫療機関や介護施設、高齢者住宅などとの連攜を深めています。
今後の計畫は、當院の退院患者様の受け入れ先として、舊病院の建物を活かすこと。介護保険適用施設として転換を検討しており、いま準備を進めています。