北九州市女性団體連絡(luò)會議顧問の土井智子さん(左) 北九州市企畫調(diào)整局SDGs推進室次長上田ゆかりさん(右)
SDGs未來都市
「北九州市が誇る環(huán)境力?市民力が動かしたサステナブルな活動」
北九州市(福岡県)
2019.09.26
福岡県北九州市は、日本政府からSDGsの達成に向けた優(yōu)れた取り組みをする都市として「SDGs未來都市」に、OECD(経済協(xié)力開発機構(gòu))から「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」に選定されたSDGs先進都市です。サステナブルなまちづくりは、はじめに市民が企業(yè)や行政に働きかけたことを発端に推し進められてきました。2013年には、市債(北九州市50周年記念債)と市民?企業(yè)?団體等からの寄付金を建設(shè)資金とした市民太陽光発電所(メガソーラー)が発電をスタート。今回は、これら時代の先をいく取り組みの數(shù)々を取材しました。
SDGs未來都市 北九州市の成り立ち
北九州市のサステナブルなまちづくりの起源は、1960年代にさかのぼります。1901年に創(chuàng)業(yè)した官営八幡製鐵所を中心にものづくり産業(yè)が集積し、高度経済成長を牽引した時代、洞海灣は船のスクリューが溶けるほど汚濁し、空には七色の煙が立ち上っていました。大気汚染のために生徒が減り、閉校に追い込まれる小學(xué)校が出るほどの公害でした。
「このときに立ち上がったのが、戸畑區(qū)の婦人會でした。このままでは市民の健康被害は拡大し、子どもたちの未來にも影響が及ぶと危機感を持った主婦たちが、実際に大學(xué)や研究機関の協(xié)力をあおぎながら自分たちの手で水質(zhì)や煤煙を調(diào)査?研究しました。得られた情報を市民の間で広めながら、企業(yè)や行政に改善を求めたのです。また、こうした活動の中で『青空がほしい』という映畫を自主制作し公害克服運動の一翼を擔(dān)いました。」(上田さん)
上田ゆかり さん
北九州市 企畫調(diào)整局 SDGs推進室 次長
行政は婦人會の働きかけに応え、公害防止のための條例を整備するとともに、企業(yè)と議論を重ね、公害防止協(xié)定を締結(jié)。これにより企業(yè)は排気や排水を浄化する技術(shù)開発を進めました。
「本市は、住民や企業(yè)と幾度も話し合いを重ね、『対話』によって公害を克服しました。この歴史は、今も學(xué)校の副読本で伝えられていて、この公害克服の歴史に誇りを持つ市民のかたは多くいらっしゃいます。また、行政の姿勢にも、何かするときはすぐに職員が市民に説明しにいく文化が受け継がれています。」(上田さん)
1980年代になると、市民が聲をあげて公害克服した成功事例をモデル化。経済発展の過程で日本と同じように公害に苦しんでいたアジアの都市への環(huán)境國際協(xié)力に力を入れ始めました。こうした取り組みにより、環(huán)境との共生がまちのアイデンティティとして定著していきます。
北九州市エコタウンセンターには、響灘地區(qū)の埋立地にリサイクル産業(yè)や再生可能エネルギー産業(yè)が集積している様子が展示されている。
1997年には、全國にさきがけて、廃棄物処理?リサイクル産業(yè)を響灘地區(qū)に集積し、「エコタウン」認(rèn)定の第一號となりました。現(xiàn)在、27ものリサイクル事業(yè)(2019年3月時點)が運営され、約1,100名(2019年3月時點)の雇用が創(chuàng)出されています。
「SDGsは、経済?社會?環(huán)境の3つを組み合わせてサステナブルなまちづくりを目指すものです。このため、環(huán)境への取り組みをビジネスに展開している點が、「SDGs未來都市」に選ばれた時にも大きく評価されました。様々なゴミが集まることに対して市民の理解を得るために、可能な限り公開して工場見學(xué)してもらえるようにしています。」(上田さん)
SDGs未來都市 北九州市の戦略は、地域エネルギーのビジネス化
2000年後半からは、この響灘地區(qū)に再生可能エネルギー施設(shè)の集積が始まり、2007年に経済産業(yè)省から第一號認(rèn)定を受け、「北九州次世代エネルギーパーク」として始動。2008年に低炭素社會づくりへの貢獻が評価され「環(huán)境モデル都市」に選定されました。
「再生可能エネルギー産業(yè)の集積が進みつつあった2011年に、東日本大震災(zāi)と原発事故が発生しました。電気が足りないという事態(tài)が現(xiàn)実に起こりうることを目の當(dāng)たりにして、これからは市でも電気の供給について何らかの責(zé)任を持たなければならないと感じ、話し合いを始めました」(上田さん)
エネルギー政策は資源エネルギー庁が擔(dān)うもので、地方自治體が考えることではないという常識を覆し、東日本大震災(zāi)から2年後の2013年に地域エネルギー推進會議を組織。10年後を見據(jù)えた戦略を決めました。
海沿いにずらりと並ぶ(株)エヌエスウィンドパワーひびきの陸上風(fēng)力発電施設(shè)(10基)。海に目をむけると、電源開発(株)の洋上風(fēng)力発電施設(shè)を眺めることができる。
「方向性は大きく2つ。1つは、低炭素な電源として期待される太陽光発電、風(fēng)力発電、バイオマスなどの再生可能エネルギーを?qū)毪工毪长取¥猡?つは、地産地消を目指した地域エネルギー會社の設(shè)立?運営です。通常、発電事業(yè)者は発電した電気を九州電力に売電することで利益を得ます。九州電力は買い取った電気を市民に販売して利益を得ます。この売買を地元資本のエネルギー會社が擔(dān)えば、地元でCO2を排出せずにできた電気を地元のエネルギー會社が買い取り地元に販売する、環(huán)境と調(diào)和したお金が地元にとどまるビジネスが生まれます。」(平井さん)
平井良知 さん
北九州市 環(huán)境局環(huán)境國際経済部 地域エネルギー推進課 政策係長
こうした方針のもと誘致が進められ、現(xiàn)在では陸上風(fēng)力発電施設(shè)が16基、洋上風(fēng)力発電施設(shè)が2基稼働しています(政令指定都市で1位)。また、太陽光発電も大和ハウスグループの大和エネルギーをはじめ響灘地區(qū)には15社のメガソーラーが設(shè)置されています。このほか、バイオマス発電や小水力発電を合わせると、再生可能エネルギーによる発電能力は39萬kW。これは、北九州市全體の電力需要を賄うのに必要な150萬kWの1/4に相當(dāng)します。さらに現(xiàn)在、2022年の工事開始を目指して22萬kWの洋上風(fēng)力発電が計畫されています。
また、北九州市や地元の有力企業(yè)が出資した地域エネルギー會社「株式會社北九州パワー」が設(shè)立されました。市內(nèi)のごみ焼卻工場でできた低炭素な電気を仕入れ、公共施設(shè)や民間の中小企業(yè)に供給しています。
「ゆくゆくは、響灘に立つ洋上風(fēng)力発電からの電力供給も視野に入れ、エネルギーの地産地消を目指しています。個人で太陽光発電設(shè)備を持つ市民からの買い取りも始めます。雇用を生み出しながら、まずは最小限の人員で堅実に、初年度から黒字で経営しています。」(平井さん)
先進的な取り組みをする上でも、公害の克服から脈々と受け継がれてきた市民?行政?企業(yè)が協(xié)力しあう文化が生きています。全國を見渡せば、大規(guī)模な風(fēng)力発電所の計畫が地元の反対で頓挫するケースもありますが、北九州市では市民の理解が得られているようです。
「洋上風(fēng)力発電については漁業(yè)等関係者をはじめ、市民向けのセミナーを繰り返し行ってきました。市民のみなさんにわかりやすく情報提供することで、地域の理解促進に努めています。」(平井さん)
市民の理解により、北九州市は日本を代表する風(fēng)力発電拠點を目指して九州北部の自治體や海外の先進的研究機関との連攜を進めています。
「風(fēng)力発電は非常に裾野産業(yè)が広いと言われています。部品點數(shù)は約2萬點あり、自動車産業(yè)と似たイメージです。出資を呼び込み風(fēng)力発電関連産業(yè)を増やすことで、その部品づくりが地元のものづくり事業(yè)者の新たな仕事を生み出すなど、風(fēng)力発電のメンテナンス産業(yè)等が集積した一大拠點化を目指しています。」(平井さん)
北九州における風(fēng)力発電を中心とした再生可能エネルギー?SDGs人材育成
風(fēng)力発電産業(yè)を支える人材の育成にも取り組んでいる。プロフェッショナル人材育成だけでなく、風(fēng)力発電に関する市民向けの公開講座も実施する。
風(fēng)という枯渇しない地域資源を生かして水や空気を汚さないエネルギー産業(yè)を起こすことに加え、外部の研究機関等と連攜し、風(fēng)力発電事業(yè)で活躍できる人材育成を行い、地域が主體となり発展を目指します。北九州市では、経済?社會?環(huán)境、三方よしでサステナブルな、SDGsを體現(xiàn)するようなまちづくりが行われています。
6,783人の市民力が動かした、サステナブルな事業(yè)「市民太陽光発電所」とは?
「北九州環(huán)境基本計畫」の中で、再生可能エネルギー導(dǎo)入量トップを目指すことや、市民環(huán)境力(環(huán)境の取り組みを市全體として盛り上げていくこと)に支えられた「北九州環(huán)境ブランド」の確立を掲げる北九州市。行政のリーダーシップに応えるように、市制50周年記念事業(yè)として市民太陽光発電所の建設(shè)が実現(xiàn)しました。
計畫を発案し、実現(xiàn)させたのは、またしても女性たちの力でした。北九州市女性団體連絡(luò)協(xié)議會議顧問の土井智子さんは、市民太陽光発電所のなりたちを次のように振り返ります。
北九州市女性団體連絡(luò)協(xié)議會専務(wù)理事の土井智子さん。市民太陽光発電所の発案者のひとりで、発電所建設(shè)の寄付集めに奔走した
「はじめに、市制50周年で何をしたらいいか、わたしたち市民を交えた検討委員會が立ち上がりました。そのときに、北九州ESD協(xié)議會代表の寺坂カタヱさん(故人)、北九州市婦人會連絡(luò)協(xié)議會會長の加藤美佐子さんと私の女性3人で、『心に殘る、かたちに殘る、未來につながるいい行事をしたいね』と話し合いを始めました。わたしははじめ、タイムカプセルを考えていたのですが、寺坂さんが『もっと、あっと言わせるような大きなことを考えなさいよ』とおっしゃったんです。それで、これからはエネルギーの時代だから、太陽光発電所の設(shè)置を希望し、検討委員會にかけて市長や市議會に要望書を提出しました。」
女性団體の代表者の連名で、市長宛に提出した「環(huán)境未來都市?北九州市のシンボル事業(yè)に関する要望書」
要望書は北橋健治市長あてに書かれ、「地域の力を活用した未來志向の事業(yè)として、市民による市民のための大規(guī)模な太陽光発電所を建設(shè)していただきますようお願い申し上げます」と結(jié)ばれています。これに対し、市から5億円の予算がかかるという返答を得た土井さんたちは、「市民による市民のための太陽光発電所だから、行政におんぶに抱っこじゃなくて、1人1,000円ずつ寄付を集めよう」と動きました。結(jié)果、北九州の人々が誇る市民環(huán)境力が大いに発揮され、6,783人から1,773萬円が集まりました。また、0.5%の金利で発行された市民公募債は早々に売り切れ、集まった5億円と寄付金を合わせた5億1,773萬円により、1.5MWの太陽光発電所が完成しました。
太陽光発電所には、寄付した市民全員の名前が入った記念プレート(左奧)が設(shè)置されている
記念プレートの前方に設(shè)置された市民による市民のための太陽光発電所
2013年9月の売電開始から毎年8,000萬円程度の売電収入が得られ、ここから市民公募債の償還や、メンテナンスコストなどを差し引いた3,000萬円程度が市民還元事業(yè)にあてられています。市民還元事業(yè)は、市の各部局から市民生活の向上につながる事業(yè)を募集し、その中から、土井さんも參加する「市民太陽光発電所?市民還元事業(yè)検討懇話會」(懇話會のメンバーは8名中5名が女性です)が中心となって選定されています。會議は公開され會場には傍聴席が設(shè)けられます。
全國でも類を見ないこうした取り組みを可能にしたのは市民、特に女性の力だと土井さんは胸をはります。
「2001年北九州博覧祭のときも、3億円近いお金を集めて女性のパビリオンをつくりました。『博覧祭でできたんだから、太陽光発電所でもできるよ』と、地域の絆を信じて、自信を持って呼びかけることができました。いいふるさとをつくるには、環(huán)境が一番大事です。北九州市は「SDGs未來都市」として、いろいろな面でパイオニアの役割を果たしている。公害を克服した時代からずっと受け継がれている環(huán)境力、市民力を誇りに思っています。」
土井さんは、SDGsの推進においても、「ひとりの100歩より100人の一歩」と考え、理解者を増やすために自主的に勉強會を開くなど、草の根の市民活動に盡力しています。土井さんに代表されるような主體的な市民の存在が、「SDGs未來都市」である北九州市のビジョンを支えています。
大和ハウスグループ事業(yè)紹介
響灘地區(qū)で発電をする「DREAM Solar北九州ひびき灘」は大和エネルギー株式會社初の全量売電太陽光発電所です。太陽光パネルは物流倉庫の屋根上に設(shè)置され、自社施設(shè)の屋根等を活用したメガソーラー事業(yè)の一つです。
電開始日:2013年2月1日
認(rèn)定容量(発電出力):1,990kW
太陽光パネル容量:1,996kW
2018年度の年間売電量:2,325,405kWh
大和エネルギー株式會社では、引き続きメガソーラー及び風(fēng)力開発の継続と、新たに企業(yè)が所有する建屋の屋根を活用した、自家消費型太陽光オンサイト発電を推進し更なる規(guī)模拡大を図ってまいります。
大和エネルギー株式會社電力事業(yè)部 発電事業(yè)管理グループ
グループ長 谷 浩明