CREコラム
急拡大するESG投資(9)開発型証券化とESG
公開日:2021/05/31
不動(dòng)産の証券化には、資産流動(dòng)化型と資産運(yùn)用型(ファンド型)、開発型の3つのタイプがありますが、ESG【「環(huán)境(Environment)」「社會(huì)(Social)」「ガバナンス(Governance)」】 とのつながりが最も深いと思われるのは、再開発事業(yè)などで利用される開発型の証券化ではないでしょうか。土壌汚染や周辺住民との意見調(diào)整など、環(huán)境保護(hù)や地域コミュニティとの関係など多くのリスクチェックを求められるからです。
開発型証券化はオフィス街の再開発で増加傾向に
資産流動(dòng)化型は、資産である不動(dòng)産の保有者(オリジネーター)が、賃貸マンションやビルなどの資産をSPC(特別目的會(huì)社)に移転させ、SPCはその資産が生み出す収益を裏付けとした証券を発行して資金を調(diào)達(dá)します。証券化の対象となる不動(dòng)産の存在が前提になることから、「モノ(資産)ありきの不動(dòng)産証券化」といわれています。
資産運(yùn)用型の証券化は、複數(shù)の投資家から資金を集めて不動(dòng)産に投資して運(yùn)用し、その運(yùn)用収益を投資家に分配します。J-REITはその代表的な例ですが、運(yùn)用する資金の存在が前提になることから、「カネありきの不動(dòng)産証券化」と呼ばれています。このとき集めた資金を「不動(dòng)産ファンド」といいます。
開発型の証券化は、資産流動(dòng)化型や資産運(yùn)用型のように既存の不動(dòng)産を?qū)澫螭摔筏郡猡韦扦悉胜ⅳ长欷榻ㄔO(shè)を予定している不動(dòng)産を証券化して將來のリターン(利益)を得ることが狙いです。近年、都內(nèi)の一等地に複合商業(yè)施設(shè)として高層ビルが建設(shè)されていますが、開発型証券化によってプロジェクトが進(jìn)行したものが少なくないようです。
國(guó)土交通省が毎年公表している「不動(dòng)産証券化の実態(tài)調(diào)査(2019年)」によると、開発型の証券化は、金額で2004年にピークを迎えましたが、2008年のリーマン?ショックで急降下しました。都心部で訪日外國(guó)人の増加を見込んだ商業(yè)施設(shè)の増床や、1970年代の高度経済成長(zhǎng)期から1980年代のバブル景気に建てられたオフィスビルが老朽化して再開発が相次ぐなど、「都市再生」が増加していることを背景に2014年から上昇に転じ、ここ數(shù)年は上昇傾向となっています。
図1:開発型証券化の実績(jī)
國(guó)土交通省 令和元年度「不動(dòng)産証券化の実態(tài)調(diào)査」の結(jié)果をもとに作成
(注)上記開発型証券化の実績(jī)は、不動(dòng)産特定共同事業(yè)のみを?qū)澫螅?018年度データより変更)
社會(huì)(Social)との関わりが重要な開発型証券化
開発型証券化では、土地を取得し建物が建設(shè)されてテナントが入るまで一定の時(shí)間を要します。その間、収益は生まないので他の証券化に比べて投資リスクが高いといわれます。用地取得やその土地の権利調(diào)整、土壌汚染や埋設(shè)物の有無など土地の瑕疵を調(diào)べたりする必要もあります。その上で再開発事業(yè)の許認(rèn)可(開発許可、建築確認(rèn))や近隣地區(qū)および住民との対話も不可欠です。
ESGに照らして考えると、土壌汚染の調(diào)査は環(huán)境保護(hù)にとって欠かせませんし、周辺住民との対話は、地域との友好な関係を構(gòu)築するために社會(huì)的要請(qǐng)の度合いが高くなっています。再開発事業(yè)は都心部が中心ですが、都會(huì)の中であっても長(zhǎng)年その土地で暮らしてきた人々や地元の商店との良好な関係なしには成功しません。再開発がまちづくりを壊してしまうといった不安があると、事業(yè)が先に進(jìn)みづらくなります。
再開発反対の署名活動(dòng)などが起きることもあります。そうなると建設(shè)計(jì)畫に遅れが生じたり、計(jì)畫の見直しや変更も余儀なくされます。工期の遅れはコスト増をもたらし、計(jì)畫全體に悪影響を及ぼしかねません。そうしたリスクを避けるために、地域コミュニティとの良好な関係構(gòu)築は最重要課題のひとつであり、時(shí)間のかかる開発型証券化は、社會(huì)(S=Social)とのつながりを特に重視しなければならないと思われます。
事業(yè)主體もESGに腐心する証券化
ほとんどが大型の物件で竣工までに時(shí)間がかかる開発型証券化の事業(yè)主體は、大手の不動(dòng)産業(yè)者や不動(dòng)産開発會(huì)社、機(jī)関投資家である大手生命保険會(huì)社などの大企業(yè)が中心です。大都市の一等地に國(guó)や自治體から土地を譲り受け、再開発事業(yè)に著手するので、資金力があり信用力が高い上場(chǎng)會(huì)社などの大企業(yè)が擔(dān)い手の中心になります。
それだけに事業(yè)主體は、プロジェクトを円滑に進(jìn)めていくためESGへの適切な対応に神経を使います。大規(guī)模事業(yè)ですから、こうした大企業(yè)が複數(shù)の企業(yè)體となってプロジェクトは動(dòng)いていきますが、個(gè)々の企業(yè)にとって、日頃の事業(yè)活動(dòng)でESGに対する配慮を怠れば、経営におけるESGの欠如すなわち企業(yè)統(tǒng)治(G=Governance)の欠如とみなされかねません。
企業(yè)がESGで評(píng)価を下げると、現(xiàn)在ではさまざまな領(lǐng)域で不利益を被るリスクがあります。例えば銀行融資。銀行は今、國(guó)の要請(qǐng)もありESGに対する取り組みを?qū)彇藢澫螭私Mみ入れています。再生可能エネルギーやリサイクルなどに対しては低金利で対応しますが、取り組みに熱心でないと判斷すれば金利を上げるなどの措置を講じます。銀行はESGに消極的あるいは「反ESG」な事業(yè)行動(dòng)を取っている企業(yè)への融資を行えば、銀行自身が評(píng)価を下げる懸念があるからです。
上場(chǎng)企業(yè)は今後、ESGへの取り組みを情報(bào)開示する必要に迫られています。投資家がESGを投資基準(zhǔn)の一つに加える傾向が強(qiáng)まっているからです。日本取引所グループと東京証券取引所は2020年3月に「ESG情報(bào)開示実踐ハンドブック」を公表しました。開示作業(yè)や開示項(xiàng)目だけに著目するのではなく、開示に至るまでのESGの課題と企業(yè)価値を結(jié)び付けるプロセスを重視するよう説いています。