CREコラム
急拡大するESG投資(8)J-REITにおけるESG
公開日:2021/04/28
國內(nèi)で上場する會(huì)社型投資信託「J-REIT」の世界でもESGに対する取り組みが広がっています。2020年7月には日本経済新聞社がESGの評(píng)価に応じて設(shè)定する係數(shù)を適用した「日経ESG-REIT指數(shù)」の算出を開始。同年9月には「上場インデックスファンド日経ESGリート」が東京証券取引所に上場するなど、J-REITにおけるESGの重要性が高まっています。
物流?ヘルスケアが伸びるJ-REIT市場
東京証券取引所に上場しているJ-REITの銘柄數(shù)は2019年に64銘柄を記録し、時(shí)価総額も16兆円とこの5年間でピークに達(dá)しました。都市部でのホテル需要の高まりなどが背景にあると思われますが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で不動(dòng)産ニーズが冷え込み、時(shí)価総額?銘柄數(shù)ともに低下しました。
図1:J-REITの時(shí)価総額と銘柄數(shù)の推移(各年末時(shí)點(diǎn))
(一社)不動(dòng)産証券化協(xié)會(huì) 統(tǒng)計(jì)データ「マーケット指標(biāo)」(2021年3月)より作成
物件取得額で見ると、2020年は新型コロナウイルスの影響でインターネットショッピングが急増した物流が6270億円を記録、前年比およそ1.6倍と大きく伸びました。物流と常に競ってきたオフィスは2年続けて低空飛行になり、本番を迎えた超高齢社會(huì)の影響からヘルスケアが728億円と前年比1.8倍と2倍近くに増加。取得件數(shù)も3倍近くになっています。
図2:J-REITの物件取得額の推移
(一社)不動(dòng)産証券化協(xié)會(huì) 統(tǒng)計(jì)データ「物件取得」(2021年3月)より作成
図3:J-REITの物件取得件數(shù)の推移
(一社)不動(dòng)産証券化協(xié)會(huì) 統(tǒng)計(jì)データ「物件取得」(2021年3月)より作成
新型コロナウイルスによる経済の停滯でJ-REIT市場は低成長下にあるようですが、不動(dòng)産は人々の暮らしぶりを映す鏡。商業(yè)施設(shè)やオフィスは外出自粛やテレワークで成長に陰りがある反面、巣ごもり需要で配送量が急増している物流や、加速する超高齢社會(huì)で介護(hù)?醫(yī)療施設(shè)が増加しているヘルスケアなど、成長ジャンルも出てきています。
グリーンボンドで資金調(diào)達(dá)するJ-REIT
やや低成長曲線にあるJ-REITのなかで目立つようになったのが、グリーンボンド(環(huán)境改善事業(yè)向けの債券)による資金調(diào)達(dá)です。グリーンボンドは國際資本市場協(xié)會(huì)(InternationalCapital Market Association=ICMA 本部?スイス)が2014 年に定めた「グリーンボンド原則」を投資家に示し、環(huán)境改善に対する外部のレビュー機(jī)関などの第三者評(píng)価を付けることが求められます。ESGの「E」(環(huán)境=Environment)に配慮した資金調(diào)達(dá)手段のひとつで、國內(nèi)でも発行実績が伸びています。環(huán)境省のホームページ「グリーンファイナンスポータル」によれば、環(huán)境?社會(huì)の持続可能性に貢獻(xiàn)する事業(yè)への投資であるサステナビリティボンドとグリーンボンドを合わせた2020年の発行実績は94件?1.6兆円。2021年は1月末時(shí)點(diǎn)で前年の約4分の1にあたる22件?3900億円を記録しており、前年を大きく上回るのは確実な情勢です。
図4:國內(nèi)企業(yè)等によるグリーンボンドとサステナビリティボンド等の発行実績
2021 年1月時(shí)點(diǎn) 外貨建て発行分については、1 米ドル=110 円、1ユーロ=135 円、1 豪ドル=90 円にて円換算
各発行體ホームページ等をもとに環(huán)境省作成
出典:グリーンファイナンスポータル「市場普及狀況(國內(nèi))」
(http://greenfinanceportal.env.go.jp/bond/issuance_data/market_status.html)
J-REITでは投資法人が投資家に対してグリーンボンドを発行し、外部のレビュー機(jī)関は評(píng)価を付けて環(huán)境改善の取り組みを評(píng)価します。調(diào)達(dá)した資金(グリーンボンド)はオフィスビルや商業(yè)施設(shè)、物流など多くの不動(dòng)産物件の建設(shè)資金に充當(dāng)されますが、環(huán)境に配慮した物件であることが求められます。例えば都心部の高層ビルでは周辺地域と連攜した緑化計(jì)畫や、再生可能エネルギー利用による省エネ化、LEDを多用した照明施設(shè)の低コスト化などを?qū)g現(xiàn)している物件が登場しています。
2020年9月には日本経済新聞社がESGの評(píng)価に応じて設(shè)定する係數(shù)を適用した「日経ESGREIT指數(shù)」をスタートさせ、「上場インデックスファンド日経ESGリート」が東京証券取引所に上場しました。ESGの世界的な評(píng)価機(jī)関であるGRESB(Global Real Estate SustainabilityBenchmark)の評(píng)価を基に指數(shù)組入比率が変化する仕組みです。
J-REITは「G」にも配慮している
J-REITは不動(dòng)産の賃料収入を主な収益源にしているので、ESGにおける評(píng)価軸は物件の環(huán)境「E」に対する配慮に重點(diǎn)を置くケースがほとんどです。前述のように、照明のLED化や太陽光発電の利用による再エネ化の促進(jìn)などにより、溫室効果ガス排出量削減に貢獻(xiàn)します。こうした環(huán)境への配慮は、オフィスビルにおいては光熱費(fèi)の低減でテナントの賃料負(fù)擔(dān)軽減につながることから、賃料減額などを織り込んだ「グリーンリース」の導(dǎo)入も促します。
S(社會(huì)=Social)に関しては、例えばデイサービス施設(shè)やサービス付き高齢者向け住宅などの介護(hù)施設(shè)、病院をはじめとしたヘルスケア領(lǐng)域では、物件の存在自體が超高齢社會(huì)に対する高い貢獻(xiàn)度を有しています。商業(yè)施設(shè)やホテルなどでは、複數(shù)言語の対応は多様性(ダイバーシティ)、商業(yè)施設(shè)では地域イベントを開催し、社會(huì)貢獻(xiàn)を?qū)g現(xiàn)します。またJ-REITは利益のほぼ全額を分配金として投資家に還元することを條件に法人稅が免除されており、國民の資産形成に貢獻(xiàn)しているといえるでしょう。
G(統(tǒng)治=Governance)に対してはどうでしょうか。J-REITでは、利益相反に対する適正化が求められています。不動(dòng)産の所有者(スポンサー)と、上場しているリートの運(yùn)営主體が実體的に同じ企業(yè)グループであることが珍しくないためです。
例えば、スポンサーであるA社が関連のリート會(huì)社「A投資法人」を持っているとします。A社は保有する不動(dòng)産をA投資法人に対してできる限り高く売卻して資金を調(diào)達(dá)し、新規(guī)事業(yè)の資金にしたいと考えます。A投資法人では、投資家により良い分配金を還元するために不動(dòng)産をより安価に仕入れたいと願(yuàn)います。A投資法人が親會(huì)社に対する獨(dú)立性を堅(jiān)持していれば問題ありませんが、その意向を少しでも忖度しようとすれば利益相反が起こります。
J-REITにおいてはスポンサーと投資法人が相互に適切な関係構(gòu)築を図り、投資家に不利益になることがないよう、各自がコンプライアンス(法令遵守)を徹底し、內(nèi)部統(tǒng)制を強(qiáng)固にしていくことがより一層求められているのです。