仕事に、家事に、育児…。毎日、朝から晩まで忙しいママたち。
パパがもっと家事をすすんでやってくれたら、
日々の暮らしにゆとりが生まれ、楽しくなるはず。
夫婦でどうやって家事をシェアすればいいのか、
家事シェア研究家の三木智有さんに伺いました。
ルールを決めましょう
「パパは言わないと家事をやってくれない」「どうしたら主體性を持ってやってもらえるのか」と言うママたちの聲を聞きます。しかし、そもそも関心がない、好きではない家事をすすんでやるのは難しいもの。でも、パパたちも全くやる気がないわけではありません。「やり方が分からない」「手を出していいのか分からない」と言う人も多いのです。そこで、まずは家事についてわが家のルールを決めること。ルーティン化して家事をやる環境をつくることが大切です。
夫と妻の家事分擔の割合。認識の差は「名もなき家事」!
ご夫婦に「夫:妻」の家事負擔の割合を聞くと、妻の言い分は「1:9」に対して、夫は「3:7」というように認識のズレが大きい場合があります。これは、家事の全體像が見えているかどうかが大きな差になっているからです。例えば家事全般を行っているのが妻の場合、「ゴミ捨て」ひとつをとっても、「ゴミ袋を分別ごとに用意」「分別ごとに収集日を把握する」「ゴミを集める」など、細かなことまで把握しています。これらがいわゆる「名もなき家事」といわれるものです。
※ダイワハウス 家事意識調査
<調査概要>実施時期:2017年4月15日~16日 調査方法:インターネット調査 調査対象:20~40代で同居のお子さまをお持ちの共働き夫婦
上手に家事シェアするには?
せっかくルールを決めても、うまくいかないのはママが干渉し過ぎる場合が多いです。ママはパパのことをできないと思い過ぎています。例えば、「掃除はパパ」と決めたら、時間がかかっても信頼して任せること。普段から家事をやっているママは「ゴールもルートも見えている」ので効率が良くて當たり前です。ママと同じようにできなくても、パパは自分なりのやり方を見つけます。他人のルールを押しつけられるといつまでも「自分ごと」にはなりません。また「掃除をやってほしい」と急に頼んで「今は忙しいから無理」となると、お互いにイライラしてしまいます。相手の都合も考慮しましょう。相手を自分のやりたいようにコントロールしたいと思うとうまくいきません。
イライラを解消する、わが家の家事シェアスタイルは?
パパがテレビを見て暇そうにしているので、ママが「掃除をしてほしい」と頼むと、「今、暇じゃないんだけどな」と不機嫌になります。
このようにお互いがいちばんイライラするのは、家事を頼むとき、頼まれるとき。このイライラを解消して家事をシェアするスタイルは大きく分けて2つ。
然頼まれるというイライラを解消するには、「いつ」やればいいのかをはっきり予告して頼むこと。これが「シュフ型」です。一方「洗濯はママ」「トイレ掃除はパパ」というように擔當を決め、頼むというストレスをなくすのが「擔當型」。
ただし、いつやるかは擔當者に任せ、「早くやって!」「まだやらないの?」は禁句です。
「いつするのか」を決める
夫婦のどちらかがシュフ(主婦?主夫)になり、相手のスケジュールを把握。家事を頼む際は「明日の朝は忙しいので手伝ってね」と予告。「子どものお出掛けの準備をよろしく」「ゴミを袋にまとめて捨ててね」とその都度具體的に頼みます。慣れてきたらルーティン化します。
「何をするのか」を決める
夫婦で「何をするのか」それぞれの擔當を決め「何をいつまでにするか」というゴールを設定します。そして「いつどうやってするのか」というルールは擔當者に任せます。後始末までをゴールにすることが、やりっぱなしを解消するポイント。
お互いが認め合う存在に
パパが家事をやるのは「上手にできた」と評価されたいわけではなく、家族に喜んでもらいたいから。
「ありがとう」はもちろんですが「毎日助かってるよ」と継続してくれることに対して感謝しましょう。
「あなたがいないと困る」と存在価値を認めることで、お互いが家事においても対等なパートナーになります。そのためには、ルールも夫婦で話し合って決めること。そうすることが主體性にもつながります。家事をシェアすることが當たり前になれば、暮らしがもっと楽しく豊かなものに。お互いを認め合い、尊重し合うことが大切です。
シェア感がアップする「パラレル家事」のすすめ
一方が家事をしているときに、もう一方がスマホを觸っていたり、テレビを見てくつろいでいたりするとイライラが高まります。そこで「ごはんを作っていない方が、食器の用意をする」「部屋の掃除をしていない方が、トイレを掃除する」など同時に家事を行う「パラレル家事」をおすすめしています。同時でなくても「ごはんを作っていない方が後片付けをする」「風呂を沸かさない方が、子どもを風呂に入れる」でも構いません。イライラを軽減できる上に、夫婦が一緒にやることで連帯感が芽生えます。朝の忙しい時間や休日などにチャレンジしてみましょう。そしてそれをパターン化していけば、スムーズに家事をシェアすることができます。わが家は「シュフ型」「擔當型」いずれがいいか分からないという方は、手軽に取り組める「パラレル家事」から始めてみるのもおすすめです。
休日は…
洗濯をしていない方が、部屋の掃除をする。
忙しい朝は…
ごはんを作っていない方が、子どもに著替えをさせる。
三木 智有さん
NPO 法人tadaima! 代表理事。家事シェア研究家。講演や講座など家事シェアを広める活動や情報提供の他、インテリアコーディネーターの経験を生かし、子育て家庭の「モヨウ替え」コンサルティングを行う。