新居づくりで後悔しがちなことといえば、「収納」のこと。
なかでも食料品や食器がひしめき合う「キッチン収納」は、
収納力や使いやすさだけでなく、將來を見據(jù)えた設計が必要になります。
そこで今回は新築一戸建てを検討中のKさんに向けて、
大和ハウス工業(yè)住宅事業(yè)推進部の収納スペシャリスト?多田綾子が
「新築のキッチン収納で失敗しないコツ」について説明します。
今回「収納」についてレクチャーしてくれたのは…
プロフィール
大和ハウス工業(yè) 住宅事業(yè)推進部 営業(yè)統(tǒng)括部
一級建築士 インテリアコーディネーター
多田綾子
大和ハウス工業(yè)株式會社住宅事業(yè)推進部所屬。設計現(xiàn)場での経験を経て、住宅展示場での収納提案や収納展示施設の企畫?監(jiān)修、セミナーなどを全國で実施。“収納とは暮らしと向き合うこと”をモットーに、生活環(huán)境の視點から様々な活動を行う。
持ち物のリストアップは「目で確認しながら具體的に」が鉄則
新築での「キッチン収納」を考える前に、まずは現(xiàn)在、キッチンにあるものを把握しなければなりません。事前にキッチンの持ち物を思い起こしてリストを作成してきたというKさん。しかし、多田はそのリストを見るなり、「掃除用具や家電製品、フォークやスプーン類などが抜けているようです」とリストの不正確さを指摘します。
多田によると「リストアップするときは頭で思い出すのではなく、実際にモノを目で見て確認しながら、できるだけ細かく書き出すのが鉄則」だそうで、美しいキッチンをつくるには「正しい収納量」を知ることが欠かせないと語ります。
持ち物リストをつくるときのコツとして、「キッチンには種類、形、用途もさまざまなものが収納されているので、目に入ったものから書き出していくとまとまりがなくなってしまいます。効率よく書き出すには『ストック食材』『調味料』『調理器具』『食器』『雑貨類』など、ジャンルごとにグループ化して、順番に進めていくのがおすすめ」と多田。消費期限が切れているもの、長い間使っていないようなものは、これを機に思い切って処分してしまいましょう。
賃貸暮らしの人が見落としがちな「戸建てキッチン」に必要なもの
現(xiàn)在、賃貸マンションに夫婦2人で暮らすKさん。新築のキッチン収納の広さも「これまでと同じくらいで十分」と考えていましたが、多田は「新築のキッチン収納は、賃貸のときよりも多く見積もるべき」とアドバイス。その理由を3つ挙げます。
ゴミの保管場所
Kさんが住むマンションでは、好きな時間に共用部の「ゴミ置き場」を利用することができます。しかし、戸建てになると指定日以外にゴミを捨てられないため、キッチン內にゴミの保管場所が必要になります。住む地域によってゴミの分別方法も違うため、トレイや牛乳パック、リサイクルゴミなど予想外のジャンルが増えて置き場がなくなることも。どのくらいのゴミ置き場が必要になるかは事前に調べておきましょう。
ゲスト用食器の保管場所
新築ともなれば、親戚や友人を自宅に招く機會も増えるはず。これまでは夫婦2人分の食器で十分でしたが、これからはゲスト用のグラスや食器、ホームパーティーで使う大皿や鍋の収納場所が必要になります。お祝いや引き出物等で食器をいただく機會も増えるため、収納スペースには余裕を持たせておくのが賢明とのこと。
キッチン家電の保管場所
電化製品が好きというKさんは、キッチン家電も多く所有しており、すでにホームベーカリーやコーヒーマシンの置き場所に困っているとか。スペースが広くなれば、さらにキッチン家電が増えると予想されます。おもに機能性を重視して購入する家電は色も形もバラバラで、見える範囲に置いておくとキッチン全體の美観が損なわれ掃除もしにくくなります。さらに最新のキッチン家電は多機能で大型化の傾向があるため、家電を格納する?yún)Ъ{スペースは広めに設計しておくこと。
家族構成の変化にも対応する「フレキシブルな収納」とは
新築のキッチンでは、いままで以上の収納スペースが必要ということを知ったKさん。さらに多田は「將來のことを見據(jù)えて、家族構成の変化にも対応できるキッチン収納が望ましい」と付け加えます。
子どもが生まれたとき、さらには子どもが成長したとき
子どもが生まれたら哺乳瓶や専用の食器など、こまごまとしたものがあっという間にキッチンを占領してしまいます。保育園や小學校に行くようになれば、お弁當用具や水筒を置くスペースも必要。さらに、子どもが成長するにつれ食事の量は予想外に増えます。育ち盛りともなれば、まとめ買いした食材が納まりきらず、ミニ冷蔵庫を買い足すなどのケースも。食材の保管場所は余裕を持たせておきましょう。
祖父母と一緒に暮らすことになったとき
子どもだけでなく、高齢になった祖父母と同居するパターンも考えられます。祖父母とキッチンを共同で使う場合は、祖父母が使い慣れた食器や鍋などの収納スペースを確保しなければなりません。よく使う電気ケトルや湯のみの保管スペースや、食事にあわせて食器を新たに買い足すことも考えておきましょう。
しかし、將來のことを考えはじめたら、どれだけ収納があってもキリがありません。そこで重要になるのが「パントリー」の存在です。
多田が「食器棚やキッチン収納とは別に、食材?食器?家電?日用品などを収納するパントリーは必須」と話すように、フレキシブルなパントリーがキッチンの収納力に“柔軟性”を與えてくれます。
キッチンの使い勝手を決める「適材適所」という考え方
余裕を持った収納スペースを準備し、家族が増えたときはパントリーを賢く利用する。そんな新築のキッチンでは「モノの適材適所を徹底することが重要」と多田は説明します。
「マンションのようなコンパクトキッチンの場合、すべてが手の屆く範囲內にあるため、どこに収納してもそれほど作業(yè)効率は変わりません。しかし、新築の場合は作業(yè)スペースが広くなるため、モノを適材適所に収めておかないと、これまで以上に無駄な動きが多くなってしまいます」(多田)
スペースが広くなり“橫の動き”が多くなる新築のキッチンでは、モノの用途と収納場所を一致させる必要があります。「グラスはウォーターサーバーの近くに置き、マグカップはコーヒーマシンの近く」というように、使用目的にあった収納場所を與えることで、モノを探すちょっとした時間が節(jié)約できます。
「たとえば私の家では毎朝食べるメニューが決まっているので、朝ごはんに使うお決まりのフォークやスプーン類はひとつのケースにまとめて、手の高さの引き出しに収納してあります。時間がない朝でも、朝ごはんセットをサッと広げるだけですぐに準備が整います。このように、自分の家の習慣に合わせてちょっとした工夫をしておけば、ストレスの少ない快適なキッチンになりますよ」(多田)
まとめ
將來を見據(jù)えた十分な収納スペース。効率性を高めた「適材適所」。理想を追求するなら収納はとにかく大きくしておこうと考えがちですが、その分作業(yè)スペースが小さくなったり、キッチン內の動線が悪くなったり、隣接するダイニングやリビングの面積が狹くなるのは考えもの。闇雲(yún)にスペースを広げるのではなく、設計士と相談しながら、無駄のない快適なキッチンをつくりあげていきましょう。
記事公開日:2017年9月25日