急須でお茶を淹れて、ほっと一息つくひとときは、
私たちに日々のあれこれを忘れさせ、安らぎをもたらします。
さまざまなスタイルに合わせたお茶の楽しみ方を
京都の老舗日本茶専門店、一保堂茶舗に伺いました。
日本でのお茶の歩み
普段の生活に欠かせないお茶。食事時(shí)や水分補(bǔ)給にはもちろん、ちょっとした休憩や來客時(shí)など飲む機(jī)會(huì)は多々あるでしょう。ペットボトルや紙パックで手軽に購入できる現(xiàn)代では、ゆっくりと腰を據(jù)えて、急須で淹れる機(jī)會(huì)は少なくなってきたかもしれません。しかし、お茶を淹れる時(shí)間には、ただのどを潤すだけではない良さがたくさんあるのです。
お茶にはさまざまな効果?効能があるとされていますが、一番の力は心を潤してくれることでしょう。急須にお湯を注ぎ抽出を待つ時(shí)間や、溫かいお茶が體にしみわたる瞬間が、気持ちを落ち著かせてくれます。窮屈な生活を強(qiáng)いられ、不安な気持ちになってしまうコロナ禍中でも、私たちの心に安らぎを與えてくれるのは、お茶で一服する時(shí)間なのではないでしょうか。
香りや味を人間の脳は覚えているものです。お茶を飲んだ時(shí)に、ふと「昔おばあちゃんの家で飲んだお茶の香りだ」と幼少期を思い出したような経験はありませんか。お茶を片手に過ごした時(shí)間が心に殘り、飲むたびに幸せな記憶としてよみがえる。楽しい時(shí)間や幸せな思い出を生み出す力が、お茶を淹れる時(shí)間にはあるのです。
日本でのお茶の歴史は平安時(shí)代にさかのぼります。當(dāng)時(shí)は非常に貴重で、僧侶や貴族など限られた人のみが口にできる高級品でした。鎌倉時(shí)代になると、薬としての飲用や、武士階級の社交の道具として広まりました。その後、千利休による「茶の湯」が完成し、江戸時(shí)代になると一般庶民にも飲料として浸透し始めます。1738(天文3)年に永谷宗円(ながたにそうえん)が煎茶の製法を確立したことを機(jī)に、煎茶が全國に広がっていきました。意外なことに、日本人の生活に根付いたのは大正末期から昭和初期ごろといわれています。
茶、一つを保つ
京都に本店を構(gòu)える日本茶専門店、一保堂茶舗(以下、一保堂)。1717(享保2)年、渡辺利兵衛(wèi)が茶?茶器?陶器を扱う店として京都に開いた近江屋にはじまります。1846(弘化3)年に山階宮(やましなのみや)より「茶、一つを保つように」と一保堂の屋號を賜り、以降、京都の日本茶文化を支えてきました。屋號には、お茶の品質(zhì)やお客さまからの信頼を保っていこうという意味が込められているそうです。木津川?宇治川水系で栽培され、歴史を経て培われた製造?精選技術(shù)で仕上げたお茶を、「京銘茶」と呼んでいます。
京銘茶の特徴は、澄んだ山吹色と品のある穏やかな香り、そして清々しい味わいです。上品な中にも本來の甘味や爽やかさが感じられる茶を求め、こだわりぬいた茶葉を?qū)盲堡皮い蓼埂?/p>
開店準(zhǔn)備の様子。開店直後から地元の常連客や観光客が次々と訪れる
お茶には一つの畑から採れた茶葉を楽しむシングルオリジンと、複數(shù)の畑から採れた茶葉を組み合わせたブレンド(合組(ごうぐみ))があります。茶葉は農(nóng)作物のため、畑やその年の気候によって味や香りが変化し、一定ではありません。シングルオリジンはその変化する「今」を楽しむもの。一方で一保堂がこだわるブレンドは、いつでも同じ味を安定して提供できるよう、職人たちが研ぎ澄ませた五感を駆使して茶葉を吟味しています。その時(shí)々の茶葉を見極め、細(xì)かいブレを調(diào)整し味筋を保つことが、お茶の専門店としての矜持(きょうじ)だといいます。
和紙の包裝紙には、茶経の冒頭部分が印刷される
かつて茶葉の保存に使われていた茶つぼや茶びつが並ぶ店內(nèi)
あらゆる人の心を晴れやかに
日本茶の楽しみ方は実に自由です。抽出時(shí)間や湯溫をきちんと測り急須で茶葉からじっくり淹れるも良し、ティーバッグでさっと淹れるも良し。店舗でもおいしい淹れ方の紹介はしていますが、楽しみ方は人それぞれ。自分のライフスタイルに合わせて選ぶのが、お茶を楽しむ一番のポイントです?!?/p>
近年はカフェやコーヒースタンドでも日本茶の扱いが増え、これまで日本茶に関心がなかった人たちにも親しまれるようになりました。一保堂でもテイクアウトの日本茶が人気だそう。海外人気も高く、2013年には一保堂ニューヨーク店をオープンし、日本茶の魅力を発信しているとのこと。年齢や國籍に関わらず、さまざまな人に愛される魅力が日本茶にはあるのでしょう。
歴史を感じる京都本店。150年以上前の建物と推測される
テイクアウト用のカップにはかわいらしい動(dòng)物のイラストが描かれている
「茶は南方の嘉木(かぼく)なり」という言葉をご存じでしょうか。これは世界で初めて著されたお茶の専門書「茶経(唐?陸羽(りくう))」の冒頭の一文です?!讣巍工摔悉幛扦郡ぁ⒘激?、優(yōu)れているといった意味合いがあり、お茶を縁起物としていたことが読み取れます。一保堂も「嘉木」という言葉を大変気に入り、煎茶の銘柄や喫茶室の名前にも用いているそうです。
ブリキの茶筒のデザインは、現(xiàn)在の茶缶のパッケージにも受け継がれる
地域によって変わる日本茶文化
日本茶には大きく分けて、抹茶?玉露?煎茶?番茶という種類があり、育つ畑と製造工程の違いによって個(gè)性が異なります。茶畑に覆いをかけた覆下園(おおいしたえん)で育つのが抹茶や玉露。覆いのない露天園(ろてんえん)で日光をたっぷり浴びて育つのが煎茶?番茶です。日光を浴びるほど旨味の素(テアニン)が渋味の素(タンニン)に変わり、味や香りに違いが生まれるのです。
番茶は地域によって使用する茶葉や製造方法が異なり、その呼び方も多様。関東では番茶というと薄い緑のお茶をイメージするそうですが、関西では茶色のお茶を番茶と呼ぶそうです。気候風(fēng)土や地域文化により、その土地ならではのお茶の習(xí)慣が形成されているのです。
京都で日常的に好まれるのは京番茶。その年最初の新芽でつくる一番茶を摘んだ後、冬を越す前にひざ丈程度の高さまで刈り取った葉を京番茶に使います。茶樹の葉だけでなく枝や莖ごと使用し、しっかり蒸し上げ鉄板で煎(い)って仕上げます。スモーキーな強(qiáng)い香りが特徴ですが、さっぱりとした飲み口なので京都の定食屋などで提供されることも多いのだそう。一口に番茶と言っても、銘柄や製法、ブレンドによって味わいも香りも全く変わります。ぜひ、その違いを楽しみながら自分好みの茶葉を探してみてください。
右下から時(shí)計(jì)回りに、玉露、京番茶、煎茶、抹茶。煎茶は透き通った山吹色が特徴
心を潤し、心をつなぐ
たくさんの種類がある日本茶をどのように選べば良いのか、シーンごとにご紹介いただきました。例えば、おもてなしにお?jiǎng)幛幛胜韦夏ú瑜坤饯?。茶せんがあれば手軽に點(diǎn)(た)てられますし、片くち茶碗を使えば小分けするのも簡単です。手軽で特別感ある抹茶で、お客さまをもてなしてみてはいかがでしょうか?!?/p>
家族のだんらんにお?jiǎng)幛幛胜韦霞宀?。淹れる溫度や方法によって味が幾通りにも変化します。家族一人ひとりの好みに合わせて蒸らす時(shí)間を変えたり、淹れる人によって生じる味の違いを楽しんだりもできます。
どのお茶も淹れやすい一保堂オリジナルのアイボリー急須は、初めての急須にぴったり
じっくりと一人の時(shí)間を楽しみたい時(shí)には、ぜひ玉露を。その複雑な味や香りは1煎目だけでなく、ぜひ2煎目3煎目と楽しんでほしいそう。茶葉によっては10煎淹れても味が殘るものも。お?dú)荬巳毪辘伪兢蚱证摔沥婴辘趣い郡坤韦饬激い扦工??!?/p>
お茶は縁起ものですから、贈(zèng)り物にもお?jiǎng)幛幛扦埂Y?zèng)る際は相手の好みに合わせて選ぶのはもちろん、急須が家にあるかどうか、忙しい方にはティーバッグやスティックタイプを、など相手のライフスタイルに合うものを選びましょう。
古くから私たちの生活とともにあり、コミュニケーションツールの一つとなって、心をつなげてくれるお茶。忙しい日々の中でも気持ちをほぐし、心を豊かにしてくれるお茶を通して、大切なひとときを過ごしてください。
玉露と煎茶の缶のみに貼られたオレンジ色のラベルは、明治時(shí)代、輸出時(shí)に使用されていたものだとか
おいしいお茶の淹れ方
● 煎茶
- 1. 茶葉10g(大さじ2)に対し、茶碗に一度注いで80℃に湯冷まししたお湯210mlを淹れる
- 2. 60秒待ち、最後の一滴まで注ぎきる
※2煎目以降は待ち?xí)r間なし
● 抹茶(薄茶)
- 1. 抹茶2g(茶杓(ちゃしゃく)に1杯半または小さじ1)を茶濾しで濾す
- 2. 80℃のお湯60mlを注ぎ、茶せんで「m」を描くように15秒ほど手早く混ぜる
約3人分の抹茶を點(diǎn)てて注ぎ分けられる
オリジナル片くち
抹茶が余ったら…
塩に抹茶を混ぜて抹茶塩にするのもお?jiǎng)幛?。天ぷらに添えれば、自宅で料亭の雰囲気を味わえます?br>また、抹茶をヨーグルトやアイスに混ぜたり、ミルクで割って抹茶ラテにしたりするのもおいしい味わい方です。
取材撮影協(xié)力
一保堂茶舗
京都本店
〒604-0915
京都府京都市中京區(qū)寺町通二條上ル常盤木町52
Tel : 075-211-4018
東京丸の內(nèi)店
〒100-0005
東京都千代田區(qū)丸の內(nèi)3-1-1丸の內(nèi)仲通り 國際ビル1階
Tel : 03-6212-0202
ニューヨーク店
125 East 39th Street, New York, NY 10016, U.S.A.
Tel : +1-212-370-0609
2021年1月現(xiàn)在の情報(bào)となります。