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コラム No.28-22

CREコラム

今さら聞けない「不動産証券化」(22)セール?アンド?リースバックについて

公開日:2019/01/30

保有している不動産を売卻した後もその不動産を継続使用するセール?アンド?リースバック(以下、S&L)が、ここ數(shù)年増加しています。資本効率を高めて企業(yè)価値を上げたい企業(yè)と、長期的に安定した収益を求める投資家の思惑が一致したからです。今回はこのS&Lについて考えてみます。

収益を生まない「本社」を売卻し成長投資の資金に

不動産を保有する企業(yè)の多くは、保有する土地に本社ビルを建て、各地に営業(yè)拠點を設(shè)け営業(yè)を展開していきます。しかし「機能としての本社」は管理業(yè)務(wù)を一元化しているに過ぎないことが多く、本社ビルの所有と収益が結(jié)びついていないケースも少なくありません。また、豊富な資産を持っているにもかかわらず、それに見合った収益を生まない企業(yè)(特に上場會社)は、株式市場から「資産がある割に利益が少ないのは、資産を有効に使っていないからだ」と批判を受けることがあります。

そこで、収益を生まない「本社ビル」を売卻して得た資金を、設(shè)備拡張などの成長投資の資金として活用する一方、賃貸形式で継続使用します。こうした方法をS&Lといい、近年導(dǎo)入する企業(yè)が増えてきました。

セール&リースバック

1930年代に米國で生まれた資金調(diào)達(dá)手段

S&Lは、1930年代に米國でチェーンストアを展開する小売業(yè)者が、店舗用の土地を購入して建設(shè)後に売卻する一方、リース契約を結(jié)んで長期間賃借したことが発端といわれています。
あるシンクタンクの調(diào)査によると、わが國におけるS&L取引による事業(yè)用不動産の売卻は2007年に売卻額がピークになりましたが、翌年のリーマン?ショックで急降下。しかし2013年以降に回復(fù)傾向を示しています。これは、商業(yè)施設(shè)や物流施設(shè)、ホテルなどの開発業(yè)者がJ-REITや私募リートなどを組成して不動産を売卻するケースが増加したことが背景にあります。2013年は流通大手や新興のホテルグループ、電機メーカー2社のS&Lが重なりました。
S&Lは資産効率の向上と成長投資のための資金調(diào)達(dá)手段という一石二鳥の金融ツールですので、多くの不動産を抱えながらも利益が少ない不振企業(yè)がこぞって導(dǎo)入しました。2007年にS&Lのピークが來たのは、有利子負(fù)債の圧縮や資金の捻出が目的でした。

しかし、近年は業(yè)績好調(diào)の流通小売企業(yè)などが新規(guī)出店のための新たな戦略手段としてS&Lを?qū)毪筏皮い胧吕苛ⅳ沥蓼?。例えば、好立地の地域に出店したいが賃借物件ではなく売卻物件だった場合、いったん土地を取得し、店舗を建設(shè)したのちに売卻し賃借するケースがあります。2000年代のように、S&Lを有利子負(fù)債の圧縮など後ろ向きの目的から、戦略的な目的に活用する時代に変化しているといえるでしょう。

S&Lは資産保有コストの平準(zhǔn)化にも役立つ

新規(guī)出店を宿命づけられる流通小売企業(yè)は、出店と退店というスクラップ?アンド?ビルドを展開して既存店売上高を増やしていく構(gòu)造的體質(zhì)を持っています。それだけに、店舗の資産価値の変化を會計上で処理する「減損會計」への対応も経営課題になります。S&Lには減価償卻費や固定資産稅などの負(fù)擔(dān)がリース料に取って代わり、コストが軽減できるメリットがあります。稅務(wù)申告などの経理作業(yè)も負(fù)擔(dān)が少なくなります。店舗を自己保有していれば生じる會計上の事務(wù)コストや稅負(fù)擔(dān)は、リース契約によって軽減されるメリットがあります。
近年は、ROA(総資産経常利益率)を重視する観點から、資産のスリム化は企業(yè)にとって不可欠のものになっています。S&Lの導(dǎo)入では、経常利益がほぼ変わらないのでROAは改善します。不動産の売卻益は本業(yè)以外で得た利益ですから営業(yè)外収益、リースの賃借料も営業(yè)外の費用となるからです。ROAが良好な數(shù)値であれば、銀行融資の審査にも好影響を與えます。

自治體、航空業(yè)界にも広がるS&L

S&Lは、稅収不足で財政難に陥っている地方自治體でも導(dǎo)入が加速しています。京都府南部に位置する城陽市は2018年2月、ノンバンクのNTTファイナンスとの間でS&L契約を締結(jié)しました。城陽市は、所有している多目的文化施設(shè)「文化パルク城陽」を80億円でNTTファイナンスに売卻し、年間約4億円の賃借料を払って25年借り受けます。25年後に施設(shè)は市の所有に戻りますが、その間約100億円を支払います。 城陽市の説明では、施設(shè)は1995年に建設(shè)され、耐用年數(shù)は50年超のため2045年まで使用可能ですが、地方債の償還年數(shù)の上限が30年。このため、地方債による財政負(fù)擔(dān)だけでは今後の施設(shè)維持が厳しい狀況から、負(fù)擔(dān)の平準(zhǔn)化を図り、後の世代への負(fù)擔(dān)軽減を考慮したとしています。

航空業(yè)界でも、S&Lの手法を使って旅客機を活用し、低コスト経営を?qū)g現(xiàn)している格安航空會社が増えています。航空會社は巨額の業(yè)務(wù)運営費がかかるので、毎月支払う利用料(リース料)を全額損金処理できるリース業(yè)が発展し、 S&Lの一種である航空機リースが普及してきました。業(yè)界の新規(guī)參入を阻んできた巨費の航空機購入という束縛がなくなったことで、業(yè)界には格安チケットを販売して薄利多売を目指す業(yè)者が世界で増加しています。
S&Lは、保有(購入)→売卻→賃貸借という循環(huán)で不動産などの保有資産を動かしてビジネスを展開する金融ツールです。それ自體は収益を生まない資産をオフバランス化し、事業(yè)継続するためにリース契約を結(jié)ぶ。見た目には何も変わらないように見える「本社ビル」も、S&Lというフィルターを通してみると、貴重なリソース(経営資源)になっていることがわかるのではないでしょうか。

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