CREコラム
今さら聞けない「不動(dòng)産証券化」(19)格付けについて
公開(kāi)日:2018/10/30
不動(dòng)産証券化は、資金調(diào)達(dá)のための金融手段のひとつで、そこに資金を投じる人(投資家)にとっては資金の運(yùn)用に當(dāng)たります。このため、資金需要者にとっては資金調(diào)達(dá)コストの低減、投資家にとっては信頼できる投資情報(bào)が重要な意味を持ちます。今回は格付けについてご紹介します。
証券化商品とSPCが格付けの対象になる
格付けとは、債券やローンに対して、その元金と利息(元利金)が約束通りに支払われるかどうかの可能性を評(píng)価することです。格付けを行う専門の會(huì)社は、発行される債券と発行する企業(yè)を獨(dú)自の手法で判斷し、ランク付けする形で意見(jiàn)を述べます。信用格付けとも呼ばれ、信用度の高いものから順に記號(hào)や數(shù)字を使って等級(jí)を表示します。日本國(guó)內(nèi)では金融庁から登録免許を受けている信用格付け業(yè)者は、世界的な格付け會(huì)社(機(jī)関)であるS&P(スタンダード&プアーズ)とムーディーズが2社ずつとフィッチの5社。國(guó)內(nèi)系では日本格付研究所、格付投資情報(bào)センターで計(jì)7社あります。
不動(dòng)産証券化の分野では、証券化された商品と、その商品を発行するSPC(特別目的會(huì)社)に対して格付けを行います。格付けは、一般的に債券を発行する際に発行企業(yè)に対して義務(wù)付けられたものではありません。あくまで発行企業(yè)が格付け會(huì)社に依頼して、意見(jiàn)のひとつとして追加する投資情報(bào)です。
しかし、証券化商品を発行して資金調(diào)達(dá)する企業(yè)にとって、発行コストを低減するのに大きな貢獻(xiàn)をしています。というのも、格付け會(huì)社が証券化商品および発行企業(yè)であるSPCの債務(wù)履行能力に関して「高い」と判斷すれば、証券化商品を組成するために購(gòu)入する不動(dòng)産の費(fèi)用を銀行融資によって賄う場(chǎng)合、より低金利で借りることができるからです。銀行はさまざまな角度から融資の審査を行いますが、格付け會(huì)社の判斷が、その審査に少なからず影響を與えるのです。
不動(dòng)産証券化における格付けは、SPCが保有する不動(dòng)産が、実行期間中(信託受益権などの有価証券の発行から償還まで)にどれだけのキャッシュ(現(xiàn)金)を稼ぐことができるのか。また、配當(dāng)などの償還が終了した後にどのくらいの金額でその不動(dòng)産を売卻できるのか。この2點(diǎn)について分析し評(píng)価することになります。例えば、格付け対象の不動(dòng)産であるオフィスビルの5年間の賃料収入が安定的に入ってくるのか。売卻時(shí)には近隣の不動(dòng)産価格などを勘案して、どの程度の売卻価格になると予想されるのかを格付け會(huì)社が判斷を下します。
証券化におけるSPCは、金融商品を販売して資金調(diào)達(dá)することに業(yè)務(wù)を限定した組織です。資産は不動(dòng)産だけであり、業(yè)務(wù)は限定され、資金調(diào)達(dá)が完了し配當(dāng)などを支払えば解散する會(huì)社です。従業(yè)員は基本的に存在しません。従って、格付け會(huì)社がSPCを格付けする場(chǎng)合の判斷材料は、不動(dòng)産が生み出すキャッシュフローと換金価値に基づいたSPCの債務(wù)能力しかないのです。
一方、証券化商品を購(gòu)入してリターンを得たい投資家にとって、格付け會(huì)社の意見(jiàn)は貴重な投資情報(bào)となります。不動(dòng)産証券化は、わが國(guó)では2000年代に本格化した比較的新しい資金調(diào)達(dá)手段です。參加するプレーヤーも多く、一般の投資家からすれば、ややなじみの薄い投資対象です。証券化に対する格付けは、オリジネーターやアレンジャーなど格付けの関係者を整理し、SPCが保有する資産の內(nèi)容や資金返済の優(yōu)先構(gòu)造など細(xì)かいところまで調(diào)査し、信用リスクを分析します。一見(jiàn)したところ資産価値が想像しづらい不動(dòng)産証券化ですが、格付け會(huì)社の意見(jiàn)は、投資家に対する情報(bào)開(kāi)示のひとつとして有益であるといえるでしょう。
LTVとDSCR
債券格付けの目安に使われる手法に「LTV」があります。「Loan To Value」の略で、債券や借入金などの負(fù)債額を資産評(píng)価額で割ったもの、いわゆる擔(dān)保掛目のことです。
LTV=債券?借入金など÷資産評(píng)価額
例えば1億円の価値がある不動(dòng)産を保有し5000萬(wàn)円の借り入れがある場(chǎng)合、5000萬(wàn)円÷1億円=50%、8000萬(wàn)円の借り入れの場(chǎng)合は80%になります。この數(shù)値が小さいほど債券の安全性が高いと判斷します。數(shù)値が大きければ、返済リスクが高くデフォルト率が高いハイリターン商品といえるでしょう。ある格付け會(huì)社は2007年當(dāng)時(shí)、LTVが30%未満を「AAA」と最上位に格付けし、30%~45%未満を「AA」、45%~55%未満を「A」、55%~70%を「BBB」とランク付けしていました。債務(wù)返済能力を示す指標(biāo)として他に、「DSCR」があります。
「Debt Service Coverage Ratio」の略で、元利金返済カバー率とも呼ばれます。借入金の返済にどの程度余裕があるのかを示します。金融機(jī)関が融資を?qū)g行する場(chǎng)合の重要な指標(biāo)になります。銀行から資金を引っ張ってきて不動(dòng)産を購(gòu)入するケースが多い不動(dòng)産証券化では大事な指標(biāo)であり、格付け會(huì)社もこの點(diǎn)をしっかり把握して格付けを判定します。その數(shù)式は、以下の通りです。
DSCR=年間の純利益÷年間元利返済額(借入金+支払利息)
年間の純利益とは、元利金を返済する前の時(shí)點(diǎn)における現(xiàn)金殘高のこと。年間の元利返済額が1000萬(wàn)円で純利益が1500萬(wàn)円の場(chǎng)合、DSCRは1500萬(wàn)円÷1000萬(wàn)円で1.5倍。純利益が800萬(wàn)円ならば0.8倍になります。數(shù)値が高いほど返済に余裕があり、低いほど余裕がないことになります。
サブプライム?ローンでは痛恨事。勝手格付けと呼ばれたことも
格付け會(huì)社は、SPCなどの資金需要者だけでなく投資家にとっても有用な情報(bào)を提供する専門機(jī)関で、金融市場(chǎng)においては一定の地位を維持する重要なプレーヤーです。しかし現(xiàn)代の金融史においては、非難が集中した時(shí)期があることも押さえておくべきでしょう。
2008年9月に起きたリーマン?ショックは、低所得者用に販売されたサブプライム?ローンを重層的に証券化して生まれた數(shù)多くの金融商品が、サブプライム?ローンの裏付け資産になっていた住宅の価格下落によって不良債権化したことから発生しました。このとき、格付け會(huì)社は、この「重層的に証券化して生まれた數(shù)多くの金融商品」に対して信用格付けを不當(dāng)に高く判斷して購(gòu)入を推奨。この商品を販売していた投資銀行や保険會(huì)社などと組んで金融市場(chǎng)を大混亂に陥れた、といわれています。
また、わが國(guó)では1990年代後半の不良債権処理時(shí)代において、S&Pやムーディーズなどの外資系格付け會(huì)社が都市銀行や地方銀行、生命保険會(huì)社などの主要金融機(jī)関の経営狀態(tài)を獨(dú)自に格付けし、それが連日マスコミに取り上げられて、「危ない銀行ランキング」「危険な保険會(huì)社一覧」などとセンセーショナルな記事が話題となり、金融業(yè)界を大いに悩ませました。これらは格付け會(huì)社が銀行の依頼もなく獨(dú)自に判定したので、「勝手格付」と呼ばれました。
格付け會(huì)社は、格付けを行う企業(yè)から詳細(xì)な資料を提供されたうえで意見(jiàn)を述べ、手?jǐn)?shù)料を取ります。このため債券を発行する企業(yè)と利害相反が起こりがちなビジネスで、公平な判斷が下せるのかという問(wèn)題點(diǎn)は絶えず付きまとっています。
格付け會(huì)社はこれまで、精緻な分析を通じて金融市場(chǎng)において重要な役割を果たし、投資家に有用な情報(bào)を提供してきました。しかし格付けはたとえ専門家の分析であっても、數(shù)ある意見(jiàn)のひとつです。不動(dòng)産証券化においても、SPCなどの発行體にとっては調(diào)達(dá)コストを低減する有効なツールですが、投資家においては、あくまでさまざまな意見(jiàn)のひとつとして活用すべきではないでしょうか。
今さら聞けない「不動(dòng)産証券化」
- (1) 証券化は、こうして始まった
- (2) ABSは証券化の代表選手
- (3) 不動(dòng)産証券化のメリットとデメリット
- (4) Jリートとはなにか?
- (5) 広がる証券化ビジネス
- (6) なぜ不動(dòng)産証券化が登場(chǎng)したのか
- (7) 不動(dòng)産証券化の歴史(1)
- (8) 不動(dòng)産証券化の歴史(2)
- (9) 不動(dòng)産証券化の歴史(3)
- (10)資金調(diào)達(dá)、運(yùn)用、そして新しいビジネス
- (11)3つのタイプの不動(dòng)産証券化
- (12)不動(dòng)産証券化には、どのようなプレーヤーが存在するか
- (13)不動(dòng)産証券化における資金調(diào)達(dá)
- (14)倒産隔離と真正売買
- (15)二重課稅の回避
- (16)信用補(bǔ)完について
- (17)ノンリコースローンについて
- (18)デュー?デリジェンス
- (19)格付けについて
- (20)利益相反について
- (21)出口戦略について
- (22)セール?アンド?リースバックについて
- (23)不動(dòng)産鑑定評(píng)価について
- (24)不動(dòng)産証券化に「信託」が利用される理由