「子どもが片付けてくれない」「おもちゃが増えてあふれている」
「リビングが散らかっている」。
子どもがいる家庭では悩みがつきないもの。
子どもが自分で片付けができるようになるためにはどうしたらいいのか
保育士の資格を持つ片付けのプロ?山崎由香さんに伺いました。
片付けを習慣化するには
「使ったら戻す」が片付けの基本。小さな子どもとの「どうぞ」「ありがとう」のやりとりも「ママの手に戻す」りっぱなお片付けです。「脫いだ靴を揃える」「通園バッグを所定の場所に戻す」など、片付けを習慣化するチャンスは、毎日の生活の中にたくさんあります。また、少し大きくなるとお手伝いがレッスンになります。例えば、自分の衣類を洗濯する、畳んで収納する…。自分の衣類を大切に扱うと同時に、どうしたら使いやすくなるのかを考えて収納することで、片付けの習慣が身に付きます。
なぜ片付けられない?
部屋が散らかって片付かない理由は「物が多い」「物の定位置が決まっていない」の2つ。子どもの成長はとても早く、子どもにとって必要な物の入れ替わりも早いものです。遊ばなくなったおもちゃ、小さくなってしまった洋服などをそのままにしていませんか。定期的な見直しが必要です。また、定位置が決まっていないと片付けられません。子どもが使いやすくしまいやすい場所に、収納場所を決めてあげましょう。
「片付けなさい」は禁句
ついつい言ってしまう「片付けなさい」。命令口調で言われるとやる気が出ないのは大人も子どもも同じ。「おもちゃ箱と床の上、どっちを片付ける?」のように子どもに決定権を持たせるようにしましょう。そして、少しでも片付いたら「よくできたね!」と褒めてあげることが大切です。褒められることでやる気がアップし、自分で考えて行動する力が身に付きます。また、子どもには年齢に関係なく「寶物」があります。それが親には理解できないものであっても一緒に大切に扱うこと。子どもの片付けの主役は子どもです。子どもの気持ちを尊重することがとても重要なことです。
子どもが片付けやすい環境をつくろう!
幼児期
幼稚園や保育園で使う物を自分で用意することで、自分の物を片付けて管理することを學びます。
「使いやすい高さ」に定位置を。おもちゃ箱は細かく分けることがまだ難しいので「大箱」がおすすめ。
小學校低學年
小學校入學は子どもにとって一大イベント。このウキウキする気持ちを大切に、おもちゃや服など持ち物を見直すチャンス。
忘れ物を防ぐため、「學校の物」「その他の物」をしっかり分けて定位置をつくるのがコツ。この先どんどん物が増えていくので定期的な見直しが必要に。
小學校高學年
思春期に入り難しい時期。「片付けなさい」の命令口調は禁句です。
「心の狀態=部屋の狀態」といわれるので、子どもの話をしっかり聞き、心身の変化に気づいてあげて。
中學生以上
片付けの方法が分かれば、自分でできる年齢。子ども部屋の家具やレイアウト、カーテンの色なども決定権は子どもに。
片付かない場合は、親が言うより友達に遊びに來てもらうのも効果的。
こんなときはどうする? 子どものお片付けのお悩みにお答えします!
子どもが自分で片付けやすい
収納方法は?
子どもの様子をよく観察して、使いやすくしまいやすい場所に「収納場所=定位置」を一緒に決めましょう。
身長に合わせた収納しやすい高さを意識し、毎日、週1回など使用頻度も考慮。定位置が決定したら「名札」を貼ると効果的。
それでも散らかる場合はもう一度定位置を見直します。
そして、物を増やさないためには、ここに入るだけと「定量」を決め、8割のラインを超えないようにします。
収納ボックスには、名札をつける。字が読めない小さな子どもにはイラストでも。
どんどん増える子どもの物。
見直しのタイミングは?
子どもの物の見直しのベストタイミングは學年末。進學進級するためと目的がはっきりしているので片付けがしやすいでしょう。「いる」「いらない」に分類し、新しい教科書などを置く場所を作ります。迷った物は半年だけ保管し、使わなかったら処分。毎年行っていると子どもも慣れてきます。また、年末の大掃除は「新しい年を迎えるために」片付けを。「新しい本棚が屆く」などの物を入れ替えるときもいいタイミングです。
作品やお下がりの服など
処分しづらい物はどうする?
子どもの作品は親にとって思い入れが強く、処分しづらいものですが、子どもは飾って褒めてもらうのが何よりうれしいもの。
そこで、リビングなどに展示コーナーを設けて一定期間飾り、作品を入れ替える際にどうするか子どもと相談して決めましょう。保管する場合も一定量を超えたら見直しを。
また、お下がりの服などは、もらった時點で自分の物。不要な場合は処分してかまいません。また、人に譲る場合も「合わなかったら処分してね」と一言添え、相手の負擔にならないようにしましょう。
寫真という形で保管する方法も。 その際は作品だけでなく子どもと一緒に撮影すると、思い出になる。
大掃除をしなくても
普段から片付くようにするには?
普段から親が自分の物を片付けるようにすることが、子どもの見本になります。「今片付けているから不要な物があったら出しといてね」と聲を掛けると、子どもは親の姿を見て、自分もしようかなと思います。
小さな片付けは「ゴミの日」の前日に。週2回點検する習慣にしましょう。片付けといえば大変なものと思いがちですが、小さな積み重ねが大切です。
リビングに子どものおもちゃや
家族の物があふれている!
子どものおもちゃ、大人の持ち物、家族の共有物など、いろいろな物が混ざると片付けにくく、見た目も煩雑です。
例えば、子どもが遊ぶ場所はリビングの隣の和室などと「エリア」を決め、すぐ近くの片付けやすい場所におもちゃの収納場所を設けます。部屋全體が散らからず、片付けやすくなります。
また「ここだけはきれいにする」と決めるのも効果的。例えば「テーブルの上にはいつも物を置かない」を家族のルールにしたら、置きっぱなしにした物は「とりあえずボックス」に移動し、各自で片付けます。1カ所でもきれいになると、次はカウンターというようにきれいな場所が広がっていきます。
シート1枚敷くだけでも遊ぶエリアが限定され、片付けやすくなる。
「とりあえずボックス」は、淺めのA4サイズ程度の箱がおすすめ。
片付けられない子どもに
ついイライラしてしまう
まずは深呼吸して「なぜ片付けないのか」を冷靜に観察。わからないときは「なぜいつもここに置くの?」などと優しく聞いて「そういう考え方もあるのね」といったん認めてあげること。言われたから片付けるのではなく、自分で考えて行動するようになるには、子どもを信頼して待つこと。「うちの息子は忘れ物が多かったのですが、困るのは自分と放っておきました。高校生になり、自分で考えて行動できるようになると、忘れ物もしなくなりました。忍耐力がいりますが必ず成果が出ますよ」と山崎さん。
子どもの話を聞くとなるほどと思うことも。