社會のIT化が急速に進み、「賢さ」の定義も大きく変わってきました。
今の時代に必要な賢さは、どのような環境で育まれるのでしょうか。
40年の家庭教師歴を持ち、多くの子どもに出會ってきた松永先生に伺いました。
親はみな、子どもを賢く育てたい、幸せな人生を送ってほしいと考えます。では、賢い子どもとはどんな子どもなのでしょうか。學校の成績だけが良くても、一概に賢いとは言えません。
文部科學省は近年、學校教育に「アクティブラーニング」を導入しました。簡単に言うと生徒が自主的に學ぶ能動的學習方法のことで、主體的に考える力や、生涯にわたって學び続ける力を養うことを目的にしています。與えられた情報をインプットするだけでなく、自分自身で何かに興味や疑問を持ち、學校を卒業した後も積極的に學び続ける。そうした力を備えることが、現代に必要な「賢さ」と言えるのではないでしょうか。家庭においても、子ども自身が好奇心を持って多くの実體験をすることが、持てる能力を伸ばし、幸せな人生を送ることにつながるのではないかと思います。
子どもに好奇心を持たせるには、お父さんやお母さんが自分自身を高め、磨いている姿を見せることが大切だと思います。そうした家庭環境で育つ子どもは、おのずと自分を高めるようになるはずです。
親子でスキンシップや対話の時間を十分持つことも、子どもの成長には欠かせません。小學校高學年から中學に入る頃には自分の部屋を與える家庭も多いでしょう。ただし、自分の部屋を持ったからといって、いきなり一人で寢るように強制する必要はありません。環境だけは整えておき、いつから一人で寢るかは子ども自身に任せてください。時期がくれば自然に自分の部屋に向かうようになるでしょう。
家族間の愛情表現が豊かな歐米では、子どもが小さいうちから一人で寢かせることが多いようですが、日本人はそれほどオープンに愛情表現をする習慣がありません。ですから、一緒に寢たりお風呂に入ったりしながら、愛情や安心感をたっぷり與えることも大切なのです。
子ども部屋には、寢る、遊ぶ、勉強するというさまざまな用途があります。そのため、勉強している途中で「寢たい」「遊びたい」と気が散ってしまうことも。できるだけ勉強に集中できる環境をつくってあげましょう。
本や資料を十分広げられるようにデスクは広くすること、そしてベッドや本棚が目に入って気が散らないことがポイント。天井を高くとれる場合は、機の上にロフト式のベッドを作るのも一計です。
デスクの他にも書き物をしたり本を読んだりするテーブルがあると良いでしょう。デスクに向かうことに飽きた時、気分をリフレッシュして勉強を続けられます。他にも、図畫工作を行ったり、化學実験をしたり、子どもの興味次第で好きな作業ができるでしょう。こうした場所のゆとりが、好奇心を伸ばすことにもつながるのです。
松永 暢史(のぶふみ)先生
教育環境設定コンサルタント。教育や學習の悩みに答える教育相談事務所V-net(ブイネット)を主宰。主體的な子どもに育てるための方法を提案している。著書に『賢い子どもは「家」が違う!』(リベラル社)、『將來の學力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)など。
子どもを育てる家づくりバックナンバー
2016年11月現在の情報となります。