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コラム vol.159
  • 不動産市況を読み解く

長生きするリスクをカバーし、同時に相続対策にも効く不動産投資術。

第5回 不動産投資のリスクも知っておく!

公開日:2016/09/30

ここまでの話を簡単に振り返ってみます。

超高齢社會に突入している日本とその國で暮らす私達は、長生きするリスクを抱えつつ生活しています。

その理由は、多くの人の家計に占める収入が労働に頼っており、権利収入がない事にあります。

そこで、不動産投資をスタートして、家計に占める収入を労働収入+権利収入の2本立てにすれば、長生きするリスクをカバーできると共に、収益不動産の購入自體が相続稅対策としても効果がある側面があり、一石二鳥の効果を期待できます。

しかし「投資」と名が付く以上、メリットの裏側にリスクも存在しています。

ここでは不動産投資のリスクについてご紹介します。

【リスク その1】 滯納リスク、空室リスク、賃料低下リスク

不動産投資を「不動産事業」と読み替えていただくとより理解が深まるのですが、不動産事業とは購入した不動産を他人に貸して家賃を得る事業です。
購入する不動産は現金で購入する事もありますが、多くは銀行から借金して購入しますので、ローン返済月額より家賃収入月額の方が金額的に多くないと不動産事業は成り立ちません。

さて、ここが不動産事業における売上に當たる「家賃収入」をどう見込むかが問題となります。例えば1部屋5萬円で賃貸可能な部屋が10戸ある賃貸住宅購入を考えた場合、月次家賃収入は5萬円×10室=50萬円となりますが、常に月額50萬円の収入が期待できるわけでは無く、空室があればその分家賃収入は減りますし、家賃滯納があればやはりその分の家賃収入は減りますので、そのロス率をどう予測するか?が勝敗を分ける大きなポイントになります。
これらのうち滯納リスクについては、賃貸管理會社が持つ滯納保証システムで保険をかけたり、その他の方法でカバーしたりする事が可能ですので、ここでは空室リスクについて解説します。
平成25年住宅?土地統計調査を基に公社全國賃貸住宅経営者協會連合會が推計したデータを精査すると以下の事実がわかります。

都道府県別「民間賃貸住宅(共同住宅)戸數及び空き戸數並びに空き室率」

都道府県 総戸數 入居戸數 空き戸數 空き室率
全國 15,864,100 12,264,400 3,599,700 22.7%
北海道 791,200 596,900 194,300 24.6%
青森県 103,100 71,900 31,200 30.3%
巖手県 100,400 77,400 23,000 22.9%
宮城県 313,500 265,200 48,300 15.4%
秋田県 64,100 47,400 16,700 26.1%
山形県 68,600 53,000 15,600 22.7%
福島県 157,500 128,500 29,000 18.4%
茨城県 252,000 176,800 75,200 29.8%
栃木県 195,300 133,200 62,100 31.8%
群馬県 174,200 120,300 53,900 30.9%
埼玉県 828,100 642,000 186,100 22.5%
千葉県 680,200 510,600 169,600 24.9%
東京都 2,822,600 2,286,400 536,200 19.0%
神奈川県 1,338,900 1,050,300 288,600 21.6%
新潟県 171,500 126,300 45,200 26.4%
富山県 68,200 50,800 17,400 25.5%
石川県 123,000 90,100 32,900 26.7%
福井県 50,500 35,700 14,800 29.3%
山梨県 82,200 54,100 28,100 34.2%
長野県 168,700 119,900 48,800 28.9%
岐阜県 170,200 119,000 51,200 30.1%
靜岡県 397,500 283,200 114,300 28.8%
愛知県 989,300 784,300 205,000 20.7%
三重県 157,000 115,900 41,100 26.2%
滋賀県 121,000 92,300 28,700 23.7%
京都府 346,700 275,300 71,400 20.6%
大阪府 1,404,700 1,055,100 349,600 24.9%
兵庫県 589,900 449,400 140,500 23.8%
奈良県 96,900 72,000 24,900 25.7%
和歌山県 67,200 47,000 20,200 30.1%
鳥取県 45,500 35,300 10,200 22.4%
島根県 43,500 34,600 8,900 20.5%
岡山県 194,800 147,800 47,000 24.1%
広島県 349,500 268,400 81,100 23.2%
山口県 137,300 103,200 34,100 24.8%
徳島県 68,100 50,400 17,700 26.0%
香川県 93,500 67,600 25,900 27.7%
愛媛県 147,900 109,100 38,800 26.2%
高知県 80,500 62,000 18,500 23.0%
福岡県 798,300 645,800 152,500 19.1%
佐賀県 59,600 47,500 12,100 20.3%
長崎県 126,400 95,800 30,600 24.2%
熊本県 185,500 144,800 40,700 21.9%
大分県 136,800 105,600 31,200 22.8%
宮崎県 100,900 80,400 20,500 20.3%
鹿児島県 161,500 127,700 33,800 20.9%
沖縄県 240,300 208,100 32,200 13.4%

平成25年住宅?土地統計調査を基に全國賃貸住宅経営者協會連合會が推計

一戸建、長屋建を除く共同住宅のみの數値による推計となる。以下、推計根拠を示す。

【民間賃貸住宅の総戸數】 = 下記の【入居戸數】【空き戸數】の合計【入居戸數】 = 総務省統計局「平成25年住宅?土地統計調査(確報集計結果)」より抽出
【空き戸數】 = 総務省統計局「共同住宅の空き家について分析~平成25年住宅?土地統計調査(速報集計結果)からの推計~」より抽出
【空き室率】 = 上記の【総戸數】【空き戸數】より算出

この表から分かることをまとめると以下のようになります。

●空室率(全國平均) = 22.7%

●空室率の高い都道府県

  • ?第1位:山梨県 … 34.2%
  • ?第2位:栃木県 … 31.8%
  • ?第3位:青森県 … 30.3%

●空室率の低い都道府県

  • ?第1位:沖縄県 … 13.4%
  • ?第2位:宮城県 … 15.4%
  • ?第3位:福島県 … 18.4%

注)上記空室率は「時點空室率」を採用した結果ですが、不動産事業を計畫する場合に使う空室率は「稼働空室率」となります。

これらのうち、宮城県と福島県については東日本大震災の影響も考えられますので數字通りではない可能性もありますが、不動産事業を考える場合、投資対象都道府県の空室率を把握しておく事は必須です。

つまり先の例では、以下のように、売上期待額から空室損○○萬円(△△%)を控除した手取り額をその不動産事業における売上として見込んでおかなければならないのだ!と理解していただきたいのです。

  • 月次売上期待額 : 5萬円×10室=50萬円
  • ▲空室損、滯納損 : ○○萬円(空室率△△%と想定)
  • 差引売上期待額 : 50萬円-○○萬円

また、現在5萬円で貸せる部屋が永遠に5萬円で貸せるという事は無いので、時の経過とともに賃料も少しずつ低下する事も予測しておかねばなりません。

【リスク その2】 運営経費

不動産を所有している間には様々な経費がかかります。固定資産稅、都市計畫稅、共用部分の電気代?水道代、建物清掃費、賃貸管理手數料、その他。これらはリスクというよりは誰にでも予測できる経費なのですが、それ以外にも、以下の費用についても考慮しておかなければなりません。

  • ?除雪費用、融雪費用
  • ?臺風やゲリラ豪雨等で浸水した場合の現地復舊費用
  • ?その他自然災害を原因とする現地復舊費用
  • ?建物內で自殺者等が出た場合の現地復舊費用

これらの隠れた経費については、それらを損害保険でカバーしておく事もできますのでそれをお勧めしますが、そうすると、その保険料が運営経費として加わる事になりますので注意が必要です。

【リスク その3】 金利上昇リスク

銀行から借り入れして不動産事業を行う場合、金利が変動する事により返済額も変動する可能性がある事はおわかりだと思います。特に今は史上初とも言える超低金利時代なので、今後の日本経済や世界経済情勢によっては、みるみる金利が上がる可能性を認識しておく事が重要です。これから不動産事業を始めるのなら、固定金利で借りるなど金利上昇リスクに備えておく事をお勧めいたしますが、銀行によっては固定期間中の繰上返済や一括返済には高額なペナルティが請求される場合もありますので、その點ご注意ください。

以上、不動産投資に関する主だったリスクについてお話しましたが、投資対象地域によってはこれら以外の地域性に基づくリスク要因も潛んでいる可能性がありますので、焦って購入する前に投資対象地域の調査を綿密に行う事を強くお勧めします。

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