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コラム vol.151
  • 土地活用法律コラム

相続財産のほとんどが土地である場合の節稅対策(1)

第3回 9,749萬円の相続稅が5,500萬円程度まで軽減!

公開日:2016/08/31

今回紹介するのは「相続財産のほとんどが土地」である場合の相続稅対策です。
前述した通り、相続財産に占める土地の割合に比例して相続稅対策の難易度は高くなります。

相談経緯

鈴木京子様(仮名?65歳)はご主人を早くに亡くしています。お子さんは娘さんお一人ですが、家の名前を継いでもらう必要もあり、娘さんの子ども(京子様からするとお孫さん)を養子縁組しているため、相続人は2人です。

最近、家の裏で長年経営していた長屋がすべて空いたため、不動産業者から「相続稅対策を兼ねて、その敷地に新たに収益物件を建築してはどうか」という提案を受けました。

提案內容

実際に京子様にご相続があった場合の相続稅の申告書を作成した結果、約9,749萬円の相続稅が発生することが分かりました。
財産総額は約3億4,858萬円。そのほとんどを「土地」が占めており、このままでは納稅資金が全く足りない狀態です。

なんとか土地を売卻せずに相続稅が支払えるように、以下の內容を提案しました。

  • ?現預金は非課稅の範囲で子や孫ら4人に贈與する
  • ?長屋の敷地に1億円相當の賃貸住宅を建築する

下記が実際の提案書の內容です。

鈴木京子様(仮名)相続稅額シミュレーション

この度は相続稅額シミュレーションをご依頼いただき誠にありがとうございます。
私は過去500件以上の相続稅の節稅アドバイスを行ってまいりましたが、現実を変えるためには以下の順序があります。

  1. Ⅰ 將來の相続稅発生予想額を把握する
  2. Ⅱ 相続対策を考える
  3. Ⅲ 実行する

Ⅰ 將來の相続稅発生予想額を把握する

鈴木京子様の相続財産の課稅価格は約3億4,858萬円で相続稅発生予想額は約9,749萬円となりました。

Ⅱ 相続対策を考える

鈴木様の相続財産に占める各財産の割合は以下の通りとなります。

土地 274,333,090円 78%
家屋 16,705,788円 5%
現金預金 52,254,094円 15%
保険等 10,288,000円 2%
合計 348,580,972円 100%

遺産の特徴は土地の占める割合が約80%、現預金などの流動資産が約20%という點です。現預金は暦年贈與を使って生前に移転することが基本となりますが、財産のほとんどが土地であるため、土地活用をするしか相続稅を劇的に下げるという事はできないでしょう。

(1)暦年贈與

現金等の流動資産は早めに相続人に移転していくことは、必ずすべき相続対策です。
鈴木様の場合、まだまだ健康でお時間があるので、今後の生活費も必要だと思います。無理のない範囲で子や孫ら4人に対し非課稅の範囲で現預金を贈與していかれてはいかがでしょうか。
10年以內で現預金の相続対策は完了します。

(2)建築による節稅効果

鈴木様の遺産の特徴は不動産が約80%ですので、土地活用をしない限り大幅な相続稅の節稅は難しいでしょう。仮に賃貸住宅を建築した場合の節稅効果は以下の通りです。(今回は1億円の土地に1億円の賃貸住宅を建築した場合でシミュレーションしています。)

  資金 相続稅評価額
土地 100,000,000円 80,000,000円
建物 100,000,000円 35,000,000円
合計 200,000,000円 115,000,000円
合計圧縮額 -85,000,000円
  遺産総額 相続稅額
対策前 348,580,972円 97,495,200円
対策後(圧縮額控除後) 263,580,972円 60,104,000円
節稅効果 -37,391,200円

仮に1億円の賃貸住宅を建築した場合、節稅効果が3,700萬円以上あることが分かりました。
言い換えると鈴木様にとっては1億円の投資ではなく実質6,300萬円の投資といえます。もし借り入れして年間630萬円以上の収入があるとすれば、計算上は約10年で節稅後の投資額を回収できます。(もちろん固定資産稅 や所得稅等の負擔があるので実質的には15年位かかりますが)10年間の空室率は5%以下、15年で10%程度といわれており。そういう意味では賃貸住宅の建築は低リスクで節稅効果が見込めるのではないでしょうか。

Ⅲ 実行する

鈴木京子様の場合、(1)の現預金の贈與と(2)の賃貸住宅建築による土地活用を実行すれば9,749萬円の相続稅は5,500萬円以下になります。
それでも、贈與した現金を相続人が使ってしまうと相続稅が払えなくなるため、相続人にもそのことを事前に伝えておかれたほうがいいでしょう。

結論

鈴木京子様の相続稅は現預金の子や孫への贈與と1億円の賃貸住宅の建築により9,749萬円の相続稅が5,500萬円程度まで軽減できることがわかりました。

この提案を受け結果的には以下のようになりました。

  • ?現預金は子や孫に將來の相続稅の納稅資金として置いておきなさいよと言い含めて非課稅の範囲で贈與していくこと
  • ?不動産投資は初めてということもあり8,000萬円程度の投資にとどめること

ご入居者の集まりやすい4月までには収益物件を完成させたいという希望もあり9月中旬からの著工予定です。

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