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働き方改革のために不動産はどう活用されるべきか(4)ABW(アクティビティ?ベースド?ワーキング)に代表される、「働く場所改革」
公開日:2019/01/30
東京都心のオフィス空室率1.98%
東京都心(千代田、中央、港、新宿、渋谷區(qū))の2018年11月末時點でのオフィスビル平均空室率は前月比0.22ポイント低下の1.98%とほぼ満室狀態(tài)となっているようです(三鬼商事発表資料に基づく)。
この數(shù)字は、1991年のバブル期以來と言われていますので、東京都心への集中ぶりがうかがえます。
バブル期における都心のオフィス市場の活況は、土地の価格が高騰し、好景気に沸き、誰もが都心のオフィスを求めてのものでしたが、昨今のオフィス市場の活況にはいくつか特徴があります。ひとつは、社員の生産性や満足度を高めるため、新しいビジネスを生み出すためにオフィスを移転する例、つまり、企業(yè)の取り組む「働き方改革」によるオフィス移転が増えているようです。
たとえば、共有スペースを増やしたり、カフェやレストランを充実させたりして、社員間のコミュニケーションを活性化させる狙いを持ったオフィスなどです。
また、オフィスを借りる目的の変化として、フレキシビリティのあるデスクや、オープンスペースなどを活用して様々な企業(yè)とコミュニケーションを取りながら、ビジネスの活性化を図るコワーキングスペース(共用オフィス)が増加しています。このサービスを提供する企業(yè)もかなりの數(shù)に上っており、都心でオフィスを確保しています。
オランダで生まれた「ABW」
固定席を設(shè)けずに、自由に働くスペースを選ぶことができる「ActivityBasedWorking(アクティビティ?ベースド?ワーキング)」というワークスタイルが注目されています。
オランダで生まれた概念ですが、単なるフリーアドレスということだけではなく、自宅やカフェ、サテライトまでも含めた、働く環(huán)境を自由に選ぶことができるという考え方です。
ABWは、オフィスを畫一的な「時間」や「場所」として捉えるのではなく、あくまでひとりひとりが最大の生産性を上げることができるように、働く環(huán)境を選択できるようにするともいえるでしょう。
この背景のひとつには、特に昨今増加するナレッジワーカーの仕事自體が複雑化、多様化したことがあげられます。ひとつのデスクに1日中いれば解決するような仕事ではなく、1人で熟考することもあれば、フリーディスカッションが必要な場合、様々な人たちとの調(diào)整業(yè)務(wù)もあります。
また、WiFi環(huán)境が普及し、どこにいても高速のインターネットが活用できるようになり、デスクワーク自體の仕事の幅も広がっています。
生産性向上といえば、かつては製造業(yè)において考えられることが多かったのですが、現(xiàn)在は、ビジネスの大半をサービス業(yè)が占めるようになっており、ナレッジワーカーの生産性向上、働く環(huán)境の提供が不可欠となっています。ナレッジワーカーの生産性を向上させるのは簡単ではありません。設(shè)備でモノを量産するわけではなく、人が付加価値を生み出す必要があります。ですから、企業(yè)としては、働く人たちが、生み出すアイデアやアウトプットに新たな付加価値をもたらすような環(huán)境を準(zhǔn)備する必要があります。
オフィス市場が活性化し、移転が増加しているのは、企業(yè)がナレッジワーカーの生産性向上に取り組んでいる証拠ともいえます。
外資系やICT企業(yè)は早くから、こうした働く場所改革には取り組んできましたが、昨今では、様々な業(yè)種や規(guī)模の企業(yè)に広がってきたともいえるでしょう。
「働く場所改革」が進む
森ビル株式會社の調(diào)査結(jié)果によると、東京23區(qū)の大規(guī)模オフィスビルの供給量は、2018年(146萬m2)が2012年以來の高水準(zhǔn)となり、2020年(168萬m2)はそれをさらに上回る供給量となるようです。
また、企業(yè)がオフィスを新規(guī)賃借する予定についての調(diào)査では、24%の企業(yè)が「新規(guī)賃借の予定がある」としており、2013年以降、年々増加傾向となっています。そして、新規(guī)賃借意向のある企業(yè)の約6割がオフィス面積の拡大を予定しており、新規(guī)賃借理由の上位が「業(yè)容?人員拡大」「立地の良いビルに移りたい」「フロア面積が大きなビルに移りたい」という結(jié)果になっているようです(森ビル「東京23區(qū)の大規(guī)模オフィスビル市場動向調(diào)査2018」より)。
図:新規(guī)賃借予定の有無
森ビル「東京23區(qū)の大規(guī)模オフィスビル市場動向調(diào)査2018」より作成
現(xiàn)在のオフィスビルへのニーズは、従來の堅牢性やセキュリティといったハード面の充実に加え、快適性、働きやすさ、コミュニケーションの取りやすさ、健康向上といった、ソフト面の充実も求められています。各企業(yè)は、「働き方改革」を進めるために、「働く場所改革」に取り組み始めているといってもいいかもしれません。
そのためには、これまでいたオフィスビルではなく、最新の環(huán)境を提供できる、新しいオフィスビルへ移転しようとするのは自然な流れであり、「働く場所改革」への意欲は、新規(guī)賃借予定の増加を後押ししています。