何も対策をしないことが一番大きなリスク!空き家にさせない!「実家信託」※1のススメ 第1回 貴方の実家は大丈夫ですか?
公開日:2017/01/26
日本では「もったいない精神」が息づいていると言われています。しかし、財産の中で大きな割合を占める不動産がもったいない狀態にさらされています。最近、大きな社會問題になっている、空き家の増加です。
1)貴方の実家は空き家予備軍ではありませんか?
少子高齢化にもかかわらず、平成10年から総住宅數は15年間で1000戸以上増加し、平成25年の総住宅數は6063萬戸、その內空き家は13.5%(820萬戸)にも上ります。昭和22年から24年に生まれた団塊の世代が間も無く70歳代を迎えるにあたり、空き家の數も増えていくことが予想されます。
貴方の実家が親の持ち家で、親しか住んでいないとしたら???。何も対策をしなければ、將來、空き家になってしまう危険性があります。
貴方の実家の空き家は黃色信號が點滅していないでしょうか?次のチャートでチェックしましょう。
実家信託判斷チャート
「空き家にさせない!実家信託」:日本法令 參照
黃色信號點滅の理由
その1<親の認知癥>
親が元気な間は実家で暮らせますが、病院や施設へ入ると、実家に住む人がいなくなります。
親の判斷能力がある間は実家を売ったり貸したりすることができますが、困るのは親の病気やケガ等で「寢たきり」になり判斷能力が無くなってからです。認知癥の原因は、アルツハイマー等の脳疾患だけではありません。転倒によってケガをしたり、病気による入院生活の長期化や薬の影響で認知癥が進むケースも多く見受けられます。
そして、子どもが親の介護費用、入院費用を捻出するために実家の賃貸や売卻を考えてもスムーズには行きません。相続稅対策のために実家を建替えて賃貸併用住宅にしようと思っても無理です。
まず、実家の名義人である親にはもはや契約能力が失われてしまっているので、親自身はもちろん、売ったり貸したり、建替えたりはできません。
親の代理人として成年後見人をつけても非常に困難です。居住用不動産の売卻?賃貸?抵當権の設定には裁判所の許可が必要になってくるのですが、裁判所はなかなか許可を出してくれないからです。つまり実家が空き家となってしまう可能性は高まります。
オソロシイことに、例えば、実家の名義が父と母の共有になっている時に片方でも判斷能力が無くなってしまうと、実家の不動産全體が上記の制約を受けるということです。たった100分の1の持分であっても、です!
もっとオソロシイことに、実家を建替中に親に判斷能力が無くなると途中で工事が中斷されて、建替のために借りた借金だけが殘ることにもなりかねません。
その2<親の相続>
貴方の親は遺言書を書いていらっしゃいますか?もし、遺言書がない狀態で親が亡くなると、実家は相続人全員の共有になるか、相続人全員で遺産分割協議をする必要が出てきます。
不動産の共有はとてもヤッカイです。売卻?賃貸?抵當権の設定などでは、共有者全員の同意が必要になりますが、相続で揉めてしまうとスムーズにコトが進まなくなってしまいます。また、相続人の中に、判斷能力の無い方、行方不明者などがいる場合も同様です。
遺産分割協議についても、上記のように協議ができない人が含まれると、手続きに時間と費用がかかってしまいます。さらに相続人で揉めると裁判所での調停や審判になってきます。
父親が亡くなって、母親と子どもが相続人になった場合を考えてみましょう。平成27年の稅制改正で相続稅の基礎控除が下がり、配偶者控除や小規模宅地の特例のために、母親に遺産の多くを継がせることが多いと思われます。遺産の大部分をしめる実家不動産を相続させる必要が出てくるでしょう。その時に、既に母親が認知癥で判斷能力がないと、母親を含めて遺産を共有にするか、もしくは成年後見人をつけて遺産分割協議をしなくてはなりません。認知癥の母が相続したことで実家の売卻や賃貸が進まず、空き家になる可能性も高まると考えられます。
その3<相続放棄>
近年、相続放棄が増加しています。実家の住宅ローンが支払えない債務超過の場合や実家を相続しても負擔ばかりが増してしまう場合など、単純に相続すると相続人はローンや稅負擔を抱えてしまうので、相続放棄を選択せざるを得ない場合があるようです。
相続人全員が相続放棄してしまうと、実家を売卻したり賃貸するには、関係者が裁判所に相続財産管理人を選任してもらって手続きを進めなくてはなりません。こちらも手間と時間と費用がかかります。その間、実家は空き家となり手をつけられない狀態が何年も続く可能性が高まります。
2)空き家になると困ること
長期間、人の住まない家はホコリや濕気、害蟲などで劣化が進みますし、親が寢たきりの狀態や相続でもめた場合などで、裁判所の関與があると、売卻や賃貸の條件は悪くなり、期待した金額での取引は難しくなるでしょう。空き家の増えた地域は活力を失い、治安の悪化を招く要因にもなりかねません。
政府は平成27年に空家対策特別措置法を施行しました。空き家が続き損傷が激しい「特定空家等」の狀態になると、固定資産稅等の住宅用地の特例が除外されて固定資産稅が6倍に、都市計畫稅が3倍になる可能性があります。
3)空き家にさせないために
実家が空き家になるかもしれない「空き家予備軍」は、団塊世代の高齢化が進むことで「空き家」となる可能性が高まります。それを防御するために家族などの信頼できる人で組成する信託の活用が効果を発揮できると考えています。空き家にさせないための「実家信託」について次回はご説明いたします。
※1 「実家信託」は、司法書士法人ソレイユが商標登録出願中です。