土地活用ラボ for Owner

コラム vol.177
  • 不動産市況を読み解く

土地活用に必須なデータの読み解き方第3回 地価の上昇下落は家賃にどんな影響があるのか?

公開日:2016/12/22

4種類の地価

多くの方がご存じのように、「地価」には4種類があります。
「一物四価」と呼ばれる地価には、公示地価、基準地価、路線価、そして、固定資産稅評価額の4種類があります。それぞれ、調査(公表)主體と、いつの時點の価格かという価格時點が異なります(下図參照)。

図1

  実施機関 基準日 価格バランス URL
公示地価 國土交通省 毎年1月1日 100
基準地価 都道府県 毎年7月1日 100
路線価 國稅庁 毎年1月1日 80 財産評価基準書 路線価図?評価倍率表(國稅局)
固定資産稅評価額 市町村
(東京23區は東京都)
基準日の前年の1月1日(3年ごとに) 70  

注)価格バランスは、公示地価を100と見た場合のおおまかな価格を指しています。

一般的に地価というと、たいていは公示地価のことを指すことが多いようです。公示地価は、地価公示法という法律があり、それに基づいて、國土交通省が毎年1月1日時點の地価をその年の3月半ば頃に公表しています。

下の表は、2016年の住宅地における公示地価の前年対比増減率です。
震災からの復興の只中にあるエリアを除けば、沖縄?東京?愛知あたりが上位に來ます。

図2:公示地価推移

(國土交通省「地価公示」より作成)

図2は、1983年から2016年までの主要大都市の地価の推移です。1980年代後半からのバブル期がいかに凄かったのかがよくわかります。それに比べて、不動産市況が盛り上がった、その後のITバブル期(2000年~2001年)、ミニバブル期(2005年~2008年)、そして昨今のアベノミクス期の地価上昇の小ささもわかります。

下の表は、2016年の住宅地における公示地価の前年対比増減率です。
震災からの復興の只中にあるエリアを除けば、沖縄?東京?愛知あたりが上位に來ます。

図3:都道府県別 住宅地における公示地価の増減率(2016年)

No. 都道府県 増減率 No. 都道府県 増減率
全國 -0.2 24 靜岡 -0.9
1 福島 2.9 25 岡山 -0.9
2 宮城 1.9 26 宮崎 -0.9
3 沖縄 1.7 27 群馬 -1.0
4 東京 1.6 28 徳島 -1.0
5 愛知 0.8 29 長崎 -1.1
6 福岡 0.5 30 茨城 -1.2
7 千葉 0.2 31 栃木 -1.2
8 神奈川 0.1 32 長野 -1.3
9 熊本 0.1 33 山口 -1.3
10 埼玉 0.0 34 高知 -1.3
11 大阪 0.0 35 香川 -1.4
12 京都 -0.1 36 新潟 -1.6
13 富山 -0.2 37 島根 -1.6
14 兵庫 -0.3 38 福井 -1.7
15 奈良 -0.3 39 三重 -1.7
16 広島 -0.3 40 佐賀 -1.8
17 巖手 -0.4 41 青森 -1.9
18 北海道 -0.5 42 愛媛 -1.9
19 滋賀 -0.5 43 山梨 -2.0
20 石川 -0.7 44 和歌山 -2.0
21 大分 -0.7 45 鳥取 -2.0
22 山形 -0.8 46 鹿児島 -2.3
23 岐阜 -0.9 47 秋田 -3.5

(國土交通省「地価公示」より作成)

下の2つのグラフは、域內(圏)単位でのここ10年間の地価上昇率を示したものです。住宅地は、現在橫ばい期で、主要都市の商業地は上昇期にあることが分かります。

図4:公示地価の増減率(住宅地)

(國土交通省「地価公示」より作成)

図5:公示地価の増減率(商業地)

(國土交通省「地価公示」より作成)

地価の上昇下落が與える影響

土地活用において、地価の上昇下落はどんな影響を與えるのでしょうか?
自身が保有する遊休地がある場合、土地活用としてそこに賃貸物件の建築を行うか、あるいは手放すかの選択を検討する方もいると思いますが、地価上昇期には、「いまは、高く売れる」として手放す方も増えるのかもしれませんし、先祖代々の土地を手放せないという方も多いでしょう。
では、地価上昇下落と賃料の関係はどうでしょうか?
賃料には粘著性という性質があります。これは、価格が大きく動くことが少なく、また価格上昇下落(変動)の動きが鈍いというイメージでとらえてください。
賃料契約は2年や3年ごとの更新というのが一般的です。毎月毎月の家賃変動はなく、契約期間中は固定されます。また、家賃の改定の際には、10%を超えるような大きな上昇や下落はあまり行われません。更新の際の上昇下落は、前家賃に比べてそれほど大きな乖離はないものです。ただ、契約更新が複數回行われる間(例えば、4年や6年)に渡り、上昇を続けるあるいは、下落幅が縮まらないという場合は、この限りではありません。
土地活用において、地価の上昇下落が大きな影響を與えるのは、手放すか否か?というときです。逆にいえば、地価下落を続けるような(今後も続きそうな)地方都市においては、遊休地の資産価値は目減りしていきますから、(手放してもよいなら)早く手放すか、何らかの形で、有意義に活用するといいでしょう。

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