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コラム No.20-6

PREコラム

「官民連攜による地域活性化への取組を探る」(6)中小企業(yè)が地域の名産品を支えて地域を育てる

公開日:2017/05/22

地方再生には、地域のオリジナリティあふれる特性が欠かせません。そして、どの地域においても、獨自性を出そうと四苦八苦しているのが現(xiàn)狀でしょう。
しかし、多くの地域には、気候風土や立地、歴史を反映した名産品があるものです。その多くは、特産の農(nóng)産物や海産物を加工した商品です。地域の活性化には、これらの地域が持つ特性や個性を映し出す名産品などを、どのように生かすかは非常に重要なことです。
とはいうものの、多くの場合、企業(yè)の経済論理の中で採算が重視され、地域の隠れた「寶物」が失われていく例も少なくありません。その中で、中小企業(yè)や小規(guī)模事業(yè)者が奮闘し、地域の発展の芽を潰してはならないと頑張る人々もたくさんいます。その一例をご紹介します。

おじさん世代の遊び心が満載な地域名産品開発

地元産のブナサケを原料とした「鰹節(jié)」ならぬ「鮭節(jié)」を製造し、標津町の名産品に育て上げた、北海道標津町の「知床標津マルワ食品」。
知床標津マルワ食品は、丸和信和建設株式會社の地域資源開発部の名稱です。ことのきっかけは、社長が地域の仲間とともに標津産のそばを作る「美しい村標津蕎麥作り研究會」を立ち上げ、全ての材料を地元産でこだわってみようとしたことに始まります。ほとんどの材料は地元で調(diào)達できますが、最後に殘った課題が「そばつゆのだし」でした。そこで、イクラを採取した後はほとんど商品価値がなかった地元標津町産ブナサケに目を付けました。「鰹節(jié)や鯖節(jié)があるなら鮭節(jié)もできるはず」ということです。実はブナサケは、あまり美味しくないとされていましたが、脂分が少ないため「鮭節(jié)」の材料としては最適だったようです。商品化に目途が立ったことを機に、日本有數(shù)の鰹節(jié)生産地である靜岡県焼津市の老舗製造所で鰹節(jié)製法を?qū)Wび、會社の敷地內(nèi)の倉庫を改造して、焼津で伝授された「手火山づくり製法」設備をそっくり再現(xiàn)しました。それは、思いつきで始められるほど簡単な設備ではありません。その後、試行錯誤の末に量産化に成功、地元のお土産として売上を伸ばしています。大人の遊び心が名産品を生んだ面白い話です。

東日本大震災後のホヤ漁師の窮狀を憂い、「ホヤおやじ」として三陸の名産品ホヤの伝道師となり、商品の開発や販売、広報に奔走する宮城県仙臺市の「株式會社三陸オーシャン」。
三陸の女川町は、ホヤの養(yǎng)殖地として有名な場所です。三陸の出身である創(chuàng)業(yè)者は、元は生保社員。定年を待たずに故郷で水産加工會社を始めました。特に幼いころから親しんだホヤには思い入れがあり、あまり一般的ではない食材ながら、全國に普及させられないかと新商品の開発に余念がありません。ホヤ姿焼き、殻付ボイルホヤ、焼きホヤジャーキー、づけホヤ、ホヤ塩から、ホヤ三升漬、ホヤ味噌漬、ホヤ巖塩、ホヤ一夜干し、ホヤ焼汁、ホヤパウダー、ホヤ煮汁、だし用ホヤ殻、ホヤチーズ、ホヤハンバーグ、ホヤご飯の素、ホヤ醤油、ホヤ味噌、ホヤマドレーヌ、ホヤパイ、ホヤ餃子などなど。しかし、東日本大震災の津波でホヤ養(yǎng)殖は壊滅的な被害を受け、その後は福島原発事故の風評被害で、最大の得意先であった韓國への輸出が止まり、ホヤ養(yǎng)殖は再開されたものの新たな販路を開拓する必要に迫られています。創(chuàng)業(yè)者は、こんなときこそ仕事の喜びを感じるものだと、情熱を燃やしています。地元愛とは、困難なときにこそ、その対価として勇気と幸福感を與えてくれるものなのでしょう。

地域が培った技術(shù)を駆使して新しい市場を開拓

鳥獣被害対策としてイノシシの捕獲、解體、加工、販売を新事業(yè)として立ち上げ、中山間地域の自然環(huán)境のバランスを取り戻すことに取り組んでいる福岡県八女市の「株式會社八女ジビエ」。
代表者は全國でも數(shù)が少なくなった猟師の一人です。中山間地域の人たちは、その昔、イノシシやシカを狩猟して解體し、ごちそうとして食していたそうです。しかし、中山間地域の人口が減少すると人間活動が低下し、逆に野生動物の繁殖が活発になり、鳥獣被害が拡大するといわれています。さらに、全國的に猟師は不足しており、高齢化も進み、狩猟や解體技術(shù)の伝承が難しくなっています。野生動物と人間とが共存する環(huán)境バランスを復活させる1つの方法が、野生動物を食肉などとして活用する、いわゆるジビエへの取り組みです。現(xiàn)在は、需要を開拓するための食肉や皮革の加工技術(shù)の開発やジビエ料理のイベント開催などに取り組むとともに、解體技術(shù)の伝承セミナーを通して猟師の育成も始まっています。山間地の多い日本の里山が、こうした取り組みで再生される日が來ることを期待したいものです。

海産物食品加工商品のモズクを中心に販売している鳥取県境港市の「株式會社海産物のきむらや」。
O157問題が深刻化した際に、學校給食でも提供していた自社のモズク商品を感染させたところ、O157自體が消えてしまったそうです。このことがきっかけで、大學にも協(xié)力を要請し追究したところ、それがモズクに含まれるフコイダンの効果であることをつかみました。創(chuàng)業(yè)者は新たな商品の可能性を感じて研究所を設置、大學院卒の研究者を雇い入れて、純度の高いフコイダンの生成に成功、その後、健康食品として商品化し、事業(yè)を拡大させています。さらに、フコイダンの効果を大學と共同研究し學會に発表するなど、新事業(yè)としての模索を続けています。海産物加工業(yè)が盛んな境港地域のベンチャースピリッツを感じます。

地域の獨自性が、大規(guī)模な地域活性化へとつながった例といえば、四國のお遍路ではないでしょうか。お遍路は、香川出身であった弘法大師が修業(yè)した88カ所を巡る「イベント」ですが、これを江戸時代に広めたのが、高知出身で高野聖であった真稔だといわれます。そもそもは布教が目的であったと思われますが、悠久の時を超えて「お遍路ガイドブック」を制作し、ルート開発にも貢獻した真稔は、正に「地域おこしの元祖」といえます。この「お遍路」によって四國各地に潤いをもたらしたことは容易に想像できます。
「継続は地域活性化の力なり」地域にある資源を未來へと大切に守り伝えることが、多様性に富んだ地域社會を育てるのではないでしょうか。

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