土地活用ラボ for Owner

  • 不動産市況を読み解く

コラム vol.111

なるほど納得!土地活用の基礎知識
第4回【法的條件から見た土地活用】
もめごとに巻き込まれるのもちょっと…

公開日:2016/02/25

避難通路の幅員や隣地境界線からの距離など、物理的要件も建築基準法や民法といった法律によって決められています。ここでは、土地活用を行う場合に影響を受ける法的な條件について整理します。

道路の問題

建築物が建てられるかどうかを決定づける條件として、その敷地が建築基準法上の道路に適法に接しているかどうかということが重要な意味を持ちます。見た目も立派で國や都道府県が所有している道路だったとしても、基準法上の道路でなければ基本的に建築はできませんし、逆に舗裝もされていない道幅の狹い私道であっても基準法上の道路であれば建築は可能です。
道路についての規定は、建築基準法42條1項から6項、43條に規定されていますので、土地活用を計畫する場合には、必ず役所で調査を行ってください。
そして、道路の所有者が誰かということも建築確認が下りるかどうかとはまた別の意味合いを持ちます(43條但書道路の場合は建築確認が下りるかどうかという點においても道路の所有関係が影響します)。例えば、隣接の敷地を通らなければ道路に出ることができない袋地狀の敷地には「囲繞地(いにょうち)通行権」という通行権が民法210條によって保障されていて、それは自分が所有権を有していない私道にも適用されますが、それはあくまでも人の通行が(幅員1m)前提ですから、車両の通行、上下水道管の埋設やそのための掘削などはやはり道路所有者の承諾を受ける必要があります。
また、他人所有の道路を利用するということであれば、舗裝改修などの維持管理コストの負擔なども要求される可能性があります。

隣地との関係

建築物を建てる時には、隣地との関係にも法的な制限が影響を及ぼします。まず、隣地との関係を考える場合、そもそもどこからが隣地で、どこまでが自分の敷地なのかという境界の確定が必要です。境界ポイントが埋沒していたり、失われていたり、最初から未確定という場合もありますので、隣地所有者と立ち會いの上、境界の復元や確定を行ってください。民法234條では、建物は境界線から50cm後退させる必要があります(屋根の庇についてはこの限りではありません。また、防火地域又は準防火地域內で外壁が耐火構造の場合、後退は不要です《建築基準法65條》)。
民法235條では、敷地境界から1m以內にある窓には目隠しを要求できるとされています(引違い窓の場合、すりガラスやカーテンでは條件を満たしません)。いずれも、境界が確定したうえでないと判斷できません。
隣地との関係においては給排水管?電線?樹木?庇?雨樋などの越境が無いかどうか、その狀態をどのように処理するかという點について確認のうえ合意形成しておく必要があります。

用途地域

都市計畫法の地域地區のひとつとして、用途地域というものが定められています。工業?商業?住居といった各用途の混在を防ぐことを目的としており、住居系7地域、商業系2地域、工業系3地域の計12地域に分類されています。
多くの都市計畫では、街の中心部に商業系地域、それを囲んで中高層の住居系地域、さらにその外周部に低層の住居系地域、住居系地域と離れた場所に工業系地域、そして、街自體から離れた広範な地域に、市街化調整區域や無指定の地域というレイアウトがなされています。工業専用地域と市街化調整區域以外には賃貸住宅や賃貸マンションの建築は可能ですが、低層の住居系地域では、建物の規模を決める建ぺい率や容積率、高さ制限などの條件が厳しく、敷地の高度利用が制限されます。
また、中高層の住居系地域や、商業系、工業系の地域では高度利用がしやすい一方、防火地域?準防火地域に指定されている可能性が高く、その場合、規模や階數によって鉄筋コンクリート造等の耐火建築物にすることが求められます。

消防法

賃貸住宅や賃貸マンションの建築には、不特定多數が利用する商業施設や公共施設などと同様、火災の際の人的被害を予防?回避するためにさまざまな制限があります。定期點検の実施や、建物?內裝などの防火性能、防災機器?消防用設備?消火器具など、その仕様や性能について詳細な取り決めがありますので必ず確認してください。

省令?施行令?條例

例えば、ワンルーム形式の住戸を計畫する場合など、多くの自治體で「ワンルーム規制」と呼ばれる條例や指導要綱?指導基準が定められています。
ちなみに東京都では23區すべてに規制があります。

ワンルーム規制の一例

  • 「総戸數15戸以上の場合、専有面積25m²以上。30戸以上の場合は用途地域に応じて40m²以上の住戸を併設」(大田區)
  • 「階數3以上、かつ総戸數15戸以上の場合、専有面積20m²以上、30m²未満の住戸には1戸あたり約50萬円を建築主に課稅する」(豊島區)

區ごとに規制が適用される総戸數や階數、また必要面積が異なります。
その他、敷地內の緑化や建物の色彩?デザイン、必要な駐車?駐輪臺數など自治體ごとにさまざまな取り決めがありますので、土地活用を検討する場合にはしっかりと役所で調査をする必要があります。

  • 前の記事へ前の記事へ
  • 次の記事へ次の記事へ

特集記事をチェック!

土地活用ラボニュース

土地活用法律コラム

家族信託?を活用した新しい財産管理と相続?認知癥対策

あなたはどっちの大家さん?! お金持ち or 貧乏

メールマガジン會員に登録して、土地の活用に役立つ情報をゲットしよう!

土地活用ラボ for Owner メールマガジン會員 無料會員登録

土地活用に役立つコラムや動畫の最新情報はメールマガジンで配信しております。他にもセミナーや現場見學會の案內など役立つ情報が満載です。


  • TOP

このページの先頭へ