これだけは知っておきたい土地活用の用語(6)土地活用に関する稅の用語(後半)
公開日:2023/03/31(2024/04/22更新)
土地活用において「これだけは知っておきたい」用語シリーズの第6回。今回も第5回に引き続き、「土地活用に関する稅の用語」(後半)を解説します。 土地活用として賃貸住宅を建築して賃貸住宅経営を行うと、様々な稅を納める必要がありますが、納稅のタイミング別に分けると以下のようになります。
- A)賃貸住宅を建築、購入など、不動産を取得した際に発生する稅
- B)毎年発生する稅
- C)賃貸住宅経営で発生する稅
ここでは、「土地活用に関する稅」のうち、「毎年発生する稅」と「賃貸住宅経営で発生する稅」について解説します。
「賃貸住宅を建築、購入など、不動産を取得した際に発生する稅」については、「
土地活用に関する稅の用語(前半)」をご確認ください。
稅額の細かい計算(稅率や控除など)は、変更されることや時限措置などもありますので、都度ご確認いただくとして、ここでは「その稅の意味合い」と「いつまでに払うのか」「どこに払うのか」について解説します。
- 稅の種類
- 國稅:所得稅や法人稅、相続稅や贈與稅、酒稅やたばこ稅など國に納める稅
- 地方稅:住民稅や事業稅、固定資産稅など地方自治體に納める稅
- ※消費稅は、國稅(7.8%)と地方稅(2.2%)の両方
- 直接稅:納稅者が直接納める
- 間接稅:事業者を経由して納める(消費稅や酒稅、たばこ稅、印紙稅など)
毎年発生する稅
固定資産稅?都市計畫稅(地方稅、直接稅)
固定資産稅?都市計畫稅は、毎年1月1日時點で固定資産を保有している所有者に対して、市區町村(東京23區の場合は都)が課稅する稅金です。
固定資産稅は固定資産に対してかかる稅で、ここでの固定資産とは、(1)土地(田、畑、宅地、池沼、山林、鉱泉地〔溫泉など〕、牧場、原野などの土地)、(2)家屋(住宅、店舗、工場〔発電所や変電所を含む〕、倉庫などの建物)に加えて、(3)償卻資産(會社等が所有する構築物、飛行機、船、車両や運搬具、備品〔パソコンや工具など〕などを指します。
仮に、期中(1月2日以降)に所有権の移転が行われても、納稅義務者は変更がありません。そのため、売買時に日割りなどで清算するのが一般的です。
都市計畫稅は、都市計畫事業や土地區畫整理事業を行う市町村が、都市計畫區域內にある土地や家屋に対して、その事業に必要となる費用に充てるための稅金です。ちなみに、都市計畫稅を課稅するかどうかは、それぞれの地域における都市計畫事業等に応じて、市町村の自主的な判斷となります(課稅する場合は條例が必要)。
固定資産稅?都市計畫稅の金額は3年に一度の頻度で改訂される固定資産稅評価額を基に決定されます。固定資産稅評価額は公示地価の概ね70%程度になっています。
固定資産稅は、固定資産稅評価額に1.4%を掛けたもので、都市計畫稅は0.3%を掛けたものが原則課稅されます。納期は、4、7、12、2月の4分割で支払うことになっている市町村が多いようですが、一括納付もできます。
一定の基準を満たす住宅用地については、課稅標準の軽減が受けられる特例を適用できます。
1つ目は、「小規模宅地等の特例」で、住宅1戸當たり200m2以下の小規模住宅用地の場合、固定資産稅評価額が1/6になり、都市計畫稅の課稅標準額は、固定資産稅評価額の1/3の額となります。
2つ目は、「一般の住宅用地の特例」で、200m2を超える住宅用地の固定資産稅の課稅評価額が1/3、都市計畫稅における固定資産稅評価額は2/3になります。 例えば、800m2の土地に戸建住宅が1戸建っていれば、200m2までは小規模宅地等の特例が適用でき、殘り600m2に関しては一般住宅用地の軽減となります。しかし、同じ800m2の敷地に、4戸(4世?。─钨U貸住宅を建てれば、200m2×4=800m2となり、800m2に丸々小規模宅地等の特例が適用でき、固定資産稅評価額が1/6となります。更地のままの場合、特例はなく、満額の稅が適用されます。
賃貸住宅経営で発生する稅
所得稅?住民稅(國稅?地方稅、直接稅)
賃貸住宅経営による所得は、給與所得などと合算され、所得稅?住民稅が課稅されます。
不動産所得は、「収入(総額)-必要経費」で計算されます。
収入には、(1)賃料収入(家賃?地代など)、(2)禮金、(3)更新料、(4)敷金や保証金のうち返還しないものなどがあります。
必要経費には、(1)水道光熱費、(2)租稅公課、(3)広告宣伝費、(4)修繕費、(5)管理委託費、(6)各種保険料、(7)借入金のうち利子分、(8)交際費?旅費など、(9)減価償卻費などがあります。
また、総収入から必要経費を引いた不動産所得がマイナスのときは、損益通算制度により給與所得から控除されます。
土地活用として賃貸住宅経営を行えば、不動産を所有していることに対する稅や、所得に対する所得稅や住民稅が発生します。稅額の細かい計算(稅率や控除など)は、変更されることや時限措置などもありますので、必ず最新の情報を確認しましょう。また、稅の軽減措置の適用には細かな要件などもありますので、詳細は稅理士にご相談ください。