【最新版】これだけ!土地活用の基本第7回 定期借地としての土地活用の基礎知識
公開日:2021/02/26
遊休地を活用したいけど、自己資金を投資したくない方や、大きな借り入れを行いたくないという方は、「土地を貸すだけの活用」が向いています。このような「定期借地としての土地活用」は、広く行われている土地活用の方法ですが、詳しくご存じではない土地オーナー様も多いようです。
定期借地権とは
まず、定期借地権とは、あらかじめ決められた期間(=定期)だけ適用される借地権(建物を建てる目的で、他人の土地を借りる権利)のことです。つまり、この一定期間が経過すると契約の延長は行われず、土地が返ってくるという契約です。定期借地権の対となる「普通借地権」では、借り手の意思があれば契約を延長できますので、極端なことを言えば半永久的に契約の延長ができるわけです。これでは、土地の所有者が不利益を被ることもありますので、1992年に法律が改正されて、「定期借地権」が定められました。
定期借地契約に基づいて一定期間土地を貸す=定期借地権利を付與する、その対価としての地代が収入となります。
定期借地3つのパターン
定期借地権は、「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」の3つに分類されます。
土地活用で多くみられるのが、ロードサイド店舗や工場などの「事業用」に貸す「事業用定期借地権」のパターンです。この契約は、借り主が事業用の建物の所有を目的とする場合に限るので、賃貸住宅などを目的とする場合は契約できません。また、期間の更新ができない契約や建物の買い取りをしなくてもいい契約を結ぶことができますから、借り主の用途は限られますが、土地オーナー様にとっては、有利な契約といえるでしょう。
「一般定期借地権」は、大都市部での分譲マンションなどでみられるパターンで、契約期間が満了すると立ち退きの問題などが起こらない形で更地にして返還されます。主に住居を想定されている借地権ですので、契約期間は50年以上となっています。
「建物譲渡特約付借地権」は、30年以上の契約期間が満了したときに、借地人の建物を地主が時価で買い取ること(=譲渡)を定める特約を付けた借地権契約です。「建物譲渡特約付借地権」は1992年8月1日施行の新借地借家法で創設されたため、実際に30年以上の期間が過ぎて契約が終了したケースがまだありません。
それぞれの期間についてまとめておくと、事業用定期借地権における契約期間は、もとは10年以上20年未満という定めがありましたが、現在では10年以上50年未満となっています。一般定期借地権では50年以上の契約期間が求められ、建物譲渡特約付き借地権においては、30年以上の契約期間が求められます。こうして比較すると事業用定期借地権は比較的短い期間の契約が可能な借地権契約という事になります。
土地オーナー様にとっての定期借地権型の土地活用のメリット
定期借地権型の土地活用のメリットをあげると、以下のようになります。
- (1)自らの土地に建物(賃貸住宅、店舗など)を建てる土地活用ではなく、ただ土地を貸すだけのため、基本的には借り入れや自己資金が不要。
- (2)借地権設定の?地なので、相続稅評価額が減額される。
- (3)まとまった?額の保証?(あるいは前払い賃料)が?る。
- (4)主に企業相?なので、毎?安定した地代収入が期待できる。
- (5)主に企業相手なので、毎月安定した地代が期待できる。(店舗などの場合)
ケースによって異なる場合もありますので、詳細は専門家にご相談ください。
定期借地型土地活用で気を付けておきたいこと
定期借地権型の土地活用は、比較的リスクが少なく、また安定収入が見込め、各種の稅務効果も期待できる魅力的な土地活用といえるでしょう。しかし、いうまでもなく、少なくとも10年以上土地を貸すわけですから、その間その場所を使うことや無斷で売卻することはできません。例えば、近隣にバイパスが通ることになり、土地の価値が一気に上がったというような場合でも、活用方法を見直すことはできません。契約期間が終了すれば、土地は借地権の付いていない狀態で返還されますが、それまでは何もできない、つまりチャンスを失う可能性というある種のリスクを負うわけです。そのリスクの対価(=リターン)も地代に含まれているといえるでしょう。
意外な場所でもみられる事業用定期借地権型の土地活用
いうまでもなく、事業用定期借地権型の場合は、立地が該當事業に相応しいかどうかが大きなポイントになります。例えば、大きな幹線道路が開通した時(あるいは計畫が発表された時など)に、オーナー様がお持ちの土地を流通小売店舗や飲食店向けに事業用定期借地権を付けて貸し出す例です。
しかし、交通のアクセスが良くないなど一般的には活用が難しいと思われる土地でも、事業用に貸し出されている事例は多くあります。例えば、各種工場などは、交通の便がそれほどよくない場所に建てられることも多く、こうした事例はそれ以外に多くありますから、大和ハウスなどの専門家に相談するといいと思います。