土地活用ラボ for Owner

コラム vol.341-1
  • 賃貸住宅経営のポイント

土地活用にもパラダイムシフトが必要な時代となった

公開日:2020/10/23

POINT!

?新型コロナウイルスによって、土地活用でもパラダイムシフトが起きている

?土地活用には、人?物?金?情報の視點を持つことが重要である

コロナ禍で始まる 新しい動き

今まで正しかったとされる考え方や行動を続けていると、世の中の常識が変化した場合、必然的に“正しく”間違えてしまいます。正しく考えたり行動したりするためには、その時代のモノサシに合わせて発想や行動を変化させる必要があります。
ビジネスであれば、先手を打つ。つまり、その時代のモノサシを事前に予測し、行動していくことが大切です。
現在、コロナ禍で社會に「パラダイムシフト」が起こっているといわれています。パラダイムシフトとは、その時代や分野において當然のことと考えられていた認識や思想、社會全體の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することですが、その最たる変化のひとつが「住まい方」でしょう。そして、時代に合わせた適切な土地活用の方法も変化していきます。
これから數回のコラムにおいて、そのことについて皆さんとともに考えていきたいと思います。

今、どのような大きな変化が起きているのか

現在起こっている変化の直接的な原因の多くは新型コロナウイルスの感染拡大によるものですが、変化の兆しは以前からありました。土地活用は「経営」そのものです。経営には4つの要素、「人」「物」「金」「情報」が必要だといわれていますから、それぞれの視點で見る必要があります。

まず「人」の視點です。日本の人口増加率は1900年代末から徐々に低下し、総人口は2000年代初頭にピークに達し、現在は人口が減少しています。同時に高齢化も進み、人生100年時代が到來しようとしています。

厚生労働省が公表している令和元年の簡易生命表のデータ「壽命中位數等生命表上の生存狀況」を見ると、確実に高齢化が進行していることがわかります。65歳まで生存する者の割合は、男性が89.6%、女性が94.5%です。つまり、それだけ多くの人に年金が支給されていることになります。そして、90歳まで生きる方は、男性で4人に1人以上、女性で2人に1人以上います。100歳以上まで生きる方は、100人中で男性が2人、女性が7人で、増加傾向です。
長壽化は本來、愛めでたいことですが、「いつ人生が閉じるのか」予測できないことも、ある意味、人生におけるリスクや不安要素を増長しているともいえます。

図1:年齢ごとの生存狀況

厚生労働省「令和元年簡易生命表:壽命中位數等生命表上の生存狀況」など関連資料より作成

「物」の視點で見ると、高度成長期に作った道路や橋などの社會インフラ、また、社會を動かす諸制度、住宅自體も陳腐化/老朽化しています。國土交通省が公表した「我が國の住宅ストックをめぐる狀況について」にあるデータを見ると、舊耐震基準であった昭和55年以前に建てられた築40年以上の住宅が全國に1160萬戸あり、住宅全體の1/4弱あることを示しています。現在の耐震基準も満たしていないので、地震など災害にも弱い狀況です。

図2:建築年代別の住宅ストック総數

國土交通省「我が國の住宅ストックをめぐる狀況について」より作成

「金」の視點で見ると、従來の硬貨や紙幣などの貨幣から○○ペイといわれるオンライン決済、つまりキャッシュレス社會への移行が進んでいます。
経済産業省が公表した「我が國の住宅ストックをめぐる狀況について」にあるデータを見ると、現在20%に留まっているキャッシュレス率を2025年までに40%、最終的には80%まで高めるという政策目標を掲げています。その一環で、2020年9月より、マイナンバーカード普及と連動した「マイナポイント」も始まっています。

図3:日本のキャッシュレスの現狀と目標

経済産業省「キャッシュレスの現狀及び意義」(2020年1月)より作成

「情報」の視點で見ると、AIやIoTなど第4次産業革命といわれる技術革新を受け、情報伝達&受け取り手段も新聞からTV、そしてインターネット(モバイル)へ変化しています。

総務省が公表した「令和元年通信利用動向調査」の中にある「情報機器の普及狀況」のデータを見ると、既に「スマートフォン」が情報を得る手段としてメジャーになっていることがわかります。ここ數年は従來の文字ベースにした情報発信から動畫による情報発信が急速に普及し、ひとつの産業に育っています。

図4:主な情報通信機器の保有狀況(世帯) 平成22年~令和元年

総務省「令和元年 通信利用動向調査」(2020年5月)より作成

2020年、2021年にこれからの方向性が決まる?

2020年は土地?住宅政策の転換となる、新たな総合的土地政策や住生活基本計畫の変更を行う年回りです。今後5年から10年の潮目、方向性が決まってしまうかもしれない大変重要な年です。
例えば、土地政策の根幹である「土地基本法」が30年ぶりに改正され、新たな総合的土地政策が設定され、これによってコンパクトシティ(基幹都市への集約化)が進むと思われます。また、5年に1度行われる住宅政策(住生活基本計畫)の変更を翌年に控えています。これによって顕在化している所有者不明土地問題や住宅の老朽化問題への対応がさらに求められるでしょう。
このような社會や政策の転換はビジネスチャンスだともいえます。事前に正しく捉え、適切に行動できるよう、このコラムを通じてお伝えしていきます。

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