「住宅?土地統(tǒng)計(jì)」を読み解く(2)40代50代の持ち家比率が減少し続ける理由は何か?
公開日:2019/10/31
POINT!
?持ち家比率は、価格や雇用などの條件よりも、地域特性、ムードなど社會(huì)的な要因の方が大きい
?賃貸住宅の質(zhì)の向上も、持ち家比率低下に影響があると思われる
最新の持ち家比率について
持ち家比率とは、人が居住している住宅全體に占める持ち家數(shù)の割合です。
持ち家の數(shù)は、3280萬2,000戸で、前回調(diào)査(2013年)に比べて64萬戸増えました。持ち家比率は、61.2%で前回調(diào)査に比べて0.5%のマイナスとなりました。
持ち家比率はこの40年間、概ね60%前後で推移しています。2000年以降は、全て61%臺(tái)で、ほとんど橫ばい狀況が続いています。
持ち家比率を左右する要因は何か
持持ち家比率を左右すると考えられる要因を列挙してみます。
例えば、住宅価格(土地?建物)が下がると、購入する方が増えて比率は上がりそうです。しかし、住宅価格が急上昇したバブル期に持ち家比率は大きく減っていませんし、逆に景気が大きく悪化し不動(dòng)産価格が下がったリーマンショック後に増えてもいません。
また、平均年収の増減にも顕著な影響はみられません。以前、あるテレビの報(bào)道番組で、「非正規(guī)雇用が増えてくると、雇用の安定性
がなくなるため、自宅購入者が減りますすね」と、キャスターが言っていました。ご承知のように、ここ20年くらい非正規(guī)雇用者は、かなり増えていますが、持ち家比率に大きな変化はありません。
これらを考えると、価格や雇用といった現(xiàn)実的なことよりも、地域特性、ムードといった社會(huì)的な要因の方がはるかに大きいようです。例えば、北陸地方の各県では、今回の調(diào)査でも8割前後の持ち家比率を維持しています。これは地域特性といっていいでしょう。あるいは、この20年くらい、30代~50代の持ち家比率は減少傾向にあります。「持ち家でなくても、いいのではないか?」という風(fēng)潮?ムードの影響が大きいと思われます。
減り続ける40代?50代の持ち家比率
これまで、「持ち家比率は橫ばいが続いている」述べましたが、逆に、近年の明らかな傾向としてあげられるのは、「40代?50代の持ち家比率は減り続けている」ということです。
(図1)世帯主の年齢別 持ち家比率の推移
総務(wù)省統(tǒng)計(jì)局「住宅?土地統(tǒng)計(jì)調(diào)査」より作成
図1は、1988年から2018年まで(5年刻み)の30年間の年代別持ち家比率の推移を示しています。60代以上は概ね橫ばい、20代ではそもそも持ち家を所有する人が少ないのですが、こちらも概ね橫ばい。しかし、30代、40代、50代の持ち家比率が毎回減少していることが分かります。特に、40代50代は、明らかな右肩下がりの棒グラフになっています。
なぜ働き盛り世代の持ち家比率は下がっているのか
「働き盛り」と見出しに書きましたが、55歳や60歳で定年するのが一般的だった時(shí)代では30代、40代前半を働き盛りと呼んだのでしょう。しかし、今では定年65歳、再雇用契約まで入れると70歳近くまで現(xiàn)役で働く方も増えましたので、「働き盛り」の中心は40代、50代だといえるのではないでしょうか。
家を買うタイミングとして考えられるのは、結(jié)婚したときや子どもが生まれた(あるいは、しばらくたった)ときが一般的だと思います。30代の持ち家比率が低下している原因として考えられるのは、「晩婚化が進(jìn)んだ」ことが挙げられるでしょう。獨(dú)身のときは賃貸住宅や実家に住むというのでは40代50代の持ち家比率が下がっている理由は何でしょうか。
まず、「大きな借金(ローン)を背負(fù)いたくない」という気持ちです。この背景には、給與?雇用等の將來の不安があるのかもしれませんが、それ以上に自由なライフスタイルを歩みたいという思いでしょう。
また、近隣との関係を築くのが面倒という聲も聞かれます。また、隣近所とのトラブルがあったときに、持ち家だと容易に引っ越せないという事情もあります。賃貸住宅だったら、幾分気持ちは楽です。
しかし、これら以上に「家を所有しなくても、いいのではないか」という積極的な賃貸派が増えたことが大きな要因だと思われます。
ここ20年、日本の賃貸住宅のレベルは外観?內(nèi)部設(shè)備とも大きくグレードアップしました。こうした、賃貸住宅の質(zhì)の向上も、持ち家比率低下に影響があるものと思われます。
持ち家比率は今後どうなるのか?
今後持ち家比率はどうなるのでしょうか。
結(jié)論から先に言えば、あまり大きな変化はなく、このまま60%前後で推移するものと思われます。都市部(大都市に限らず、地方の中心都市も含む)は積極賃貸住宅派が増えると思います。そのため、同じ都道府県でも、市町村単位では持ち家比率に差がつくでしょう。
また、地方都市の持ち家比率には地域差がかなりあります。おおまかにいえば、西日本は低く(つまり賃貸文化が根強(qiáng)い)、北陸や東日本は持ち家比率が高い傾向にあります。これは地域文化といってもいいものですので、短期間で変化はないと思えます。