社會問題の解決と土地オーナー様のために。
大和ハウス工業が取り組む區畫整理事業(3)
土地區畫整理で農地の新たな価値を創出 ~ 調布市國領北浦土地區畫整理事業
公開日:2017/07/28
東京都調布市國領の7人の農地地権者が中心となり、將來を考えて土地區畫整理事業を実施。これによって、相続対策を効果的に行うことができるだけでなく、農地の転用、有効活用、売卻など、様々な用途にも活用できるようになり、土地の新たな価値を創出しました。
幅員狹小な行止まり農道しかない農業エリアを土地區畫整理
今回の土地區畫整理事業を実施した國領北浦地區は、京王線國領駅近くの利便性の高い立地にありながら、幅員狹小な行止まり農道しかなかったため、周辺部の宅地化が進む中においても結果的に土地利用が進まないエリアとなっていました。そこで大和ハウス工業(株)は、地権者と將來についての話し合いを通じ、事業を推進することにより、公共施設の整備改善および生産緑地の再配置を行い、生活環境改善と土地の有効利用を図りました。
土地區畫整理事業を進めてきた、調布市國領北浦土地區畫整理組合の小山賢太郎副理事長(當時)は次のように話します。
「當初京王線の高架化という話を聞き、農家7軒が集まって平成13年頃から調布市に側道をつけるようお願いしたのですが、なかなか話が進みませんでした。その後、設計コンサルタントの雙葉さんに相談してから進み始めたのですが、平成15年に國領北浦地區の街づくりを考える會を設立してから実現まで約10年以上かかりました」
調布市國領北浦土地區畫整理組合 副理事長 小山賢太郎様
平成24年9月の土地區畫整理組合の母體となる調布市國領北浦地區土地區畫整理組合設立準備會の設立を経て、平成25年4月、調布市國領北浦土地區畫整理組合の設立が認可され、様々な苦難を乗り越えて調布市國領北浦土地區畫整理事業が平成27年に完成しました。
実際の土地區畫整理事業は、大和ハウス工業(株)に業務一括代行(事務局運営、調査設計、造成工事、保留地取得)を受託して頂き、安心して調布市國領北浦土地區畫整理組合を運営することができました(図1參照)。
図1 事業の推進體制
調布市國領北浦土地區畫整理組合 理事 石坂弘様
「京王線の地下化が決まったのが平成19年で、私達は平成23年から參加して地主の皆様が何を望まれているのか確認しながら進め、事業を少しでも早く進めるようにサポートさせていただきました。設計內容、事業費、東京都の事業認可、換地など、多くの課題をスピーディーに対応し、克服することで事業を完了することができました」(大和ハウス工業東京都市開発部仲本康浩)
「いろいろと大変でしたが、一人も反対しませんでした。100年に一度できるかできないかという土地區畫整理事業ではないかと思います。工事が始まり、実際に道路ができたときは感激しました」(理事 石坂弘様)
「農と住が共存できる街づくり」をテーマに土地區畫整理を実現
今回の土地區畫整理事業を中心となって進めた調布市國領北浦土地區畫整理組合の土方清理事長(故)は事業完成時に、次のように語っていました。
「大部分が生産緑地である農地を都市化との調和の中で、どのように守り、將來に繋いでいくかが大きなテーマでした。このテーマの下に、會の中で様々な議論を重ねた結果、『農と住が共存できる街づくり』を目指し、平成24年9月に調布市國領北浦地區土地區畫整理組合設立準備會を立ち上げ、大和ハウス工業(株)および(株)雙葉を街づくりのパートナーに得て、両者の事業経験やノウハウを隨所に発揮して頂いた結果、約半年後には土地區畫整理組合を設立、事業認可を得て工事に著手することができました」
通常、こうした取り組みは時間がかかるものですが、ありえないほどのスピードで進んだといいます。組合発足後もスピード感は失われることはなく、組合員と調布市並びに街づくりパートナー企業との一糸亂れぬ団結の下、設計から造成工事まで速やかに事業を推進し、農地の休耕期間を約半年のみに留める中で事業完成を迎えたのです。
土地の価値が上がり農地の転用?有効活用?売卻も容易
「農と住が共存できる街づくり」をテーマに土地區畫整理を行ったことにより、ほとんどが生産緑地になっていますが、相続が発生すれば生産緑地を存続させることが難しくなることを考えて「農業を感じられる公園」を設置。遊具を置く公園ではなく、調布市農政部が管理し運営をJAが行う市民體験農園として整備しています。また、農園にしておけば災害時にも応急仮設住宅を設置することができるだけなく、防災対策として有効です。
こうした取り組みによって、新築された家と良好に保全された農地が調和した街並みがつくられただけなく、市民體験農園では市民が種まきと収穫を楽しむことができるようになっています。
土地の価値が上がり農地の転用?有効活用?売卻も容易
「土地の面積=収穫高」であり、土地を減らすと収穫高が減るというイメージがありますが、ここの地権者の皆様は、それよりも先に將來の相続対策や農業の効率化を高めるため道路が必要という一歩進んだ発想をされました。先祖代々の土地を守ったとしても、相続で手放すことを考えると、発想の転換が必要な時代になったことは間違いありません。 土地區畫整理事業の前には多くの困難が立ちはだかり、それらを乗り越えるには地権者が一致団結しなければなりません。結果としての果実は大きなメリットをもたらすことは確実です。土地區畫整理事業によって土地の価値が上がるだけでなく、土地の転用?有効活用?売卻が容易になるからです。 土方清理事長のご子息である土方清一様は、次のように語っていただきました。
「完成して安心したのか、父は2年経たないうちに亡くなりましたが、土地區畫整理事業を進めたおかげで相続は本當に助かりました。土地を売卻しなければ相続稅は払えませんが、10カ月以內に納付することは難しいのが実情です。土地區畫整理事業により土地が整形化されていなければ銀行からのつなぎ融資を受けなければならず、買いたたかれる心配もありました。親が高齢化して小さい土地を持っている同じような仲間がいます。土地區畫整理事業をすれば、生産緑地としても使えるし、売卻も楽で、何よりも土地の価値が上がります。父は『俺が死んでも大丈夫。大和ハウス工業(株)に売りなさい』と言っていたので、すぐに大和ハウス工業(株)の武蔵野支社が購入してくれて本當に助かりました」
調布市國領北浦土地區畫整理組合 理事長(ご子息) 土方清一様
土地區畫整理事業による街づくりは、周辺地域の將來や社會のためにどう貢獻できるかが重要となります。當社は長年の経験とノウハウ、事業領域の広さを活かし、土地の価値を高めるだけでなく、お客様の希望に沿い、社會貢獻へとつながるよう、お手伝いしています。
今回の調布市國領北浦土地區畫整理事業においても、事業を通じて地権者の方々に大変ご満足いただけたことが、何よりも良かったと感じています。