土地活用としての「コインパーキング事業」を考える(3)
メリットとデメリットは何か
公開日:2016/09/30
自動車検査登録情報協會によると、平成28年5月末現在の、自動車保有臺數は約8100萬臺ですが、コインパーキングの車室臺數は、2015年4月時點で約118萬車室(一般社団法人日本パーキングビジネス協會「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査」)と言われています。
車で移動すれば、行先では必ず駐車場が必要になりますから、まだまだ需給のバランスは取れていないと考えてもいいでしょう。
また、若者のクルマ離れやカーシェアリングの臺頭など、車に関係するニーズや市場も大きく変化していますので、これからのコインパーキング事業も將來的には大きく変わっていく可能性もあります。
ここでは、土地活用としてのコインパーキング事業を考えた場合のメリット、デメリットを整理してみましょう。
メリットについて
初期投資が不要
コインパーキングとして土地活用を行う場合、自分で機械を購入し、事業として運営することも可能ですが、その後の実際の運営を考えれば、コインパーキング運営會社への一括借り上げによるビジネスを選択された方が良いでしょう。
その場合、初期投資も必要なく、土地オーナー様はコインパーキング運営會社と不動産の賃貸契約を結ぶことで、安定した賃貸収入を得ることができます。
駐車場の売上に左右されない安定収入
土地活用としてコインパーキングを選択した場合、運営會社との一括借り上げ方式を選択する場合が現在では大半となっています。一括借り上げ方式によって土地オーナー様は、駐車場の売り上げに関係なく、あらかじめ設定した賃料を受け取ることができるからです。
月極駐車場の場合は、空車室がでると、空車室分は収益にはなりませんが、コインパーキングの場合、満車?空車に関わらず固定賃料が支払われますので、條件さえ整えば、安定した収入となります。
短期の契約が可能
將來的にはマンションやビル建築を計畫していて、建物の解體から著工までに時間がかかる場合など、半年や1年といった短い期間でも、立地次第ではコインパーキングとしての活用が可能です。
また、意思決定後、収益化も非常に早く、最短であれば、1ヶ月後にコインパーキング事業をスタートする事も可能です。さらに解約時も契約に従った事前通知を行えば、撤去工事完了後、すぐに別の土地活用のプランを選択することもできます。
よってオーナー様はフレキシブルに土地を活用する事が可能です。
管理が不要
コインパーキングの機械のメンテナンスはもちろん、集金や清掃、利用者様のトラブル対応等の全ての業務を運営會社が行うのが通常ですから、ご自身でのメンテナンスは基本的に不要です。
安心して、土地を貸す事ができます。
パーク&ライドを地域が推奨
平成25年に國土交通省が施行した交通施策基本法では、交通に係る環境負荷(慢性的な渋滯による排気ガスなど)の低減に必要な施策として交通の円滑化を推進しており、地方自治體や観光地では、車と電車による移動を組み合わせたパーク&ライドというスタイルを推奨し始めています。
これからの社會を考慮する際にも、ひとつの方向性を示す例と言えます。
デメリットについて
メリットばかりのコインパーキング事業にも見えますが、デメリットも存在します。
たとえば、コインパーキングはどこでもできるわけではありません。立地はもちろん、近隣の交通狀況、地域住民の屬性、晝夜の人の移動、道幅や土地の形など、様々な要因によって収益は左右されますので、常に希望する賃料と臺數の契約ができるわけではありません。
実際に、以下のような條件の立地の場合、良い條件での契約は難しい場合もありますので注意が必要です。
安全性に問題がある又は交通規制を伴う立地
一見立地的にはよくても、安全性の問題からコインパーキングとしては合わない場合があります。例えば、交通量が多い交差點の橫斷歩道に出入り口がかかる場合は、警察より指導を受ける場合があります。
また、接道自體が交通規制等で住民以外通行できない場合など、コインパーキング利用者が限られる事もあります。
極端な狹小地や変形地
コインパーキングは矮小地や変形地でも可能なビジネスですが、限度はあります。車の幅や駐車のしやすさなどを考えると、必要最低限の臺數設置が難しかったり、そもそも駐車が不可能だったりする場合もあります。
すでにコインパーキングが供給過多になっている
すでにコインパーキングが必要以上に亂立している狀況では、ドライバーが価格を比較しながら駐車場を探すことになりますので、最終的に価格競爭に陥る可能性があります。その場合、運営會社は赤字に陥り、最終的には賃料の値下げ要請もしくは撤退という可能性もあります。
そうしたことを見據えた場合、想定の賃料が得られない可能性があります。
このようなメリット、デメリットを考慮したうえで、コインパーキング事業を土地活用のひとつの方法として検討されるといいでしょう。