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  • 賃貸住宅経営のポイント

コラム vol.106

賃貸住宅投資
~土地活用の2016年を大膽予測~

公開日:2016/01/05

貸家新築住宅著工戸數

2014年の住宅著工戸數は、2013年に対して総數で-9%、持ち家では-20%(いずれも年ベース)と、2013年9月30日が區切りだった消費稅増稅前の駆け込み需要からの反動で、大きく減少しました。一方、主に賃貸用住宅のカテゴリーである貸家は、プラス2%となっていました。相続稅の改正がもたらすプラスの作用が、駆け込み需要からの反動減というマイナスの作用を上回った結果となりました。
2015年の前年同月比対比を見てみると、1月、2月、4月は前年対比でマイナスとなっており、5月~9月は前年対比で大きくプラスとなっています。
10月分までの數字が出た12月初旬の時點では、「2014年の1月~10月が29.7萬戸だったのに対して、2015年は31.1萬戸で前年対比プラス4.85%となっています。このペースなら、昨年の36.2%に1.048をかけて約37.9萬戸と計算できますが、著地點はややそれより下回り、37萬戸臺前半~37.5萬戸程度、年計でプラス3.5%程度ということになるでしょう」と予測しましたが、結果は、37.8萬戸(2014年対比4.6%増)となりました。この伸びは、持ち家、貸家、分譲住宅という主要分類別では最高値でした。

2014年と2015年の新設住宅著工戸數(貸家)月別推移

出典:國土交通省 「建築著工統計調査報告」

2016年の市況予測

2015年10月に予定されていた10%への消費稅増稅が2017年4月から導入される予定です。賃貸住宅の建設においても住宅と同様に、2017年3月31日までの引き渡し物件は8%で、それ以降は10%の消費稅となります。今回のアップは2%ですが、所有する土地の上に1億円の賃貸住宅を建てると、消費稅はこれまでの800萬円から1,000萬円と200萬円の上乗せとなります。10%となると、かなりの重稅感が出てくるでしょう。
住宅と同様に賃貸住宅においても、前回の消費稅が5%から8%に上がった時と同様に、経過措置として、引き渡しがたとえ2017年の4月1日以降でも、建築工事請負契約が前年(2016年)9月30日までに結ばれていれば、8%のままとなります。
賃貸住宅を建てるのにも、具體的にどのようなものにするのか検討し、決定にするには半年はかかるでしょうから、早い段階から、消費稅増稅の駆け込みニーズが高まるかもしれません。

タワーマンションの上層階の何億円もする分譲マンションを購入することで、上手く相続稅の稅務対策をすることができる、いわゆる「タワマン節稅」に関して、國稅庁が公聴會を開き、その不公平感を緩和しようという動きが見られます。
これが本格始動すると、稅務対策として1棟モノの賃貸住宅への投資がさらに注目を浴びるかもしれません。
土地活用としての賃貸住宅経営だけでなく、土地建物セットの分譲型賃貸住宅の著工が増える可能性も高まってきています。
2014年4月からの増稅の際、2013年9月末の駆け込み需要などの影響で、2012年と比較して2013年の貸家建設はプラス12%でした。(下図)

利用関係別新設住宅戸數

※表中の%は前年比

出典:國土交通省 「建築著工統計調査報告」

2015年の著地が37.8萬戸でしたから、同じようにプラス12%ならば、42.3萬戸となりますが、2012年はかなり少ない年でしたので、その伸びが大きくなったとみて良いでしょう。今回はプラス6~7%程度、40萬戸くらいになるのではないでしょうか。

ただ、全國一律に増えるとは考えにくいでしょう。日本全體の人口の減少は、出生率が多少改善しても、數十年にわたり減り続けることは確実です。そうなると、中心都市に人が集まることは避けられません。3大都市圏への人口集中がさらに増えるでしょう。
さらに、札幌市や福岡市などの地方の中心都市への人口流入も増えています。札幌市は北海道のリトル東京、福岡市は九州のリトル東京化が顕著になりつつあります。こうした狀況は各都市で進行することが予想されており、外縁部(郊外エリア)の市況は長期的に見て厳しくなるかもしれません。よって、賃貸住宅市場は、少しずつ都市部激戦型に変わっていくでしょう。

一方で、今後拡大すると予想されるマーケットもあります。それは、賃貸住宅の建て替え市場が拡大するということです。

國土交通省資料をもとに作成

上の図は、賃貸住宅の築年數を示したものですが、約4割は築25年以上、2割は築35年以上となっており、建て替え時期に差し掛かっている物件が多數あることがうかがえます。
2016年秋までの消費稅駆け込みが終われば、その後は、建て替えに注目が集まるかもしれません。

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