続:賃貸住宅のリフォームはどのくらい行われているのか?
公開日:2022/05/23
POINT!
?リフォーム?リニューアル市場全體に占める賃貸住宅の割合が増え、近年では約7000~8000億円臺となっている
?賃貸住宅経営では、設計の段階でメンテナンスコストやリフォームコストのかかりにくい仕様にすること、長期修繕計畫をきちんと立てて、その費用をあらかじめ見込んでおくことが重要
近年の賃貸住宅におけるリフォーム?リニューアル工事は、どのくらい行われているのでしょうか?
自宅と同様に賃貸住宅においても、一定年數が経てばリフォームの必要が出てきますで、土地活用として賃貸住宅経営を行う方には必須の知識です。
以前「賃貸住宅のリフォームはどのくらい行われているのか?」で取り上げたデータが更新されましたので、それを基に賃貸住宅リフォーム市場と、賃貸住宅リフォームで重要なポイントの続編をお伝えします。
リフォーム市場全體の中で賃貸住宅比率は増加が続く
はじめに、賃貸住宅のリフォーム?リニューアル工事がどれくらい行われているのか、その市場規模を見てみましょう。
図:賃貸住宅におけるリフォーム?リニューアル工事受注高の推移
國土交通省「建築物リフォーム?リニューアル調査」より作成
グラフは、國土交通省による「建築物リフォーム?リニューアル調査」のデータを基に加工したものです。この調査は2008年度より半年に一度集計するかたちで始まり、2018年度からは四半期に一度の調査となっています。図のグラフはそれらを年度計(第1四半期~第4四半期合計)にしたものです。なお、最新(4月24日時點)のデータは2021年第3四半期までですので、年度計は2020年度までとなります。
図を見れば、リフォーム?リニューアル市場全體に占める賃貸住宅の割合は増えています。しかし、総額で見れば、わずかですが減少しています。この間のリフォーム?リニューアル工事全體の工事総額が減少しているため、割合が増えている狀況となりました。
賃貸住宅におけるリフォーム?リニューアル市場は、おおむね7000~8000億円臺となっています。2012年度までは6000億円臺が続いていましたが、その後賃貸住宅におけるリフォーム?リニューアル市場は成長し、7000億円を下回る年度はなく、中でも2013年度、2016年度は1兆円を超えました。近年は8000億円前後で推移しています。
賃貸住宅におけるリフォームのタイミング
賃貸住宅において必要なリフォーム工事の時期と箇所としては、以下のような例が挙げられます(年數は概算です)。
- (1)入退去時に行われる営繕?修繕工事(數年に一度)
- (2)築10年を超えるころから増える、室內各所のメンテナンス、ドアや扉の不具合調整
- (3)築15~20年を超えるころから増える、エアコン、給湯器の取り換え
- (4)築20年を超えると増える、水回り設備の不具合、交換(年數は概算です)
ここに挙げたものは、使い方を問わずたいてい発生するもの(言い方を変えれば、住宅設備品の消耗によるもの)ですから、賃貸住宅経営を始める前に長期修繕計畫に見込んでおくことが重要です。
賃貸住宅におけるリニューアル?大規模リフォーム工事
上記に述べたものよりも、工事スパンが長く、金額の大きい工事としては、以下のような例があります。
- (1)外壁?屋根の塗裝?防水
- (2)外壁?屋根のメンテナンス
- (3)間取りの変更(內部リニューアル工事)
外壁?屋根に関するリフォーム工事は、足場を組んだり、シートをかけたりしますので、その間に退去者が出たり、ご入居者が付きにくかったりします。そのため、最低限のメンテナンスで済むような仕様にしていると、工事費用が抑えられるだけでなく、空室や家賃下落の心配が少なくて済みます。
長期経営計畫にリフォーム費用を盛り込んでいるか?
賃貸住宅経営をされている、あるいはこれから始めようと思っている方にとって、賃貸住宅のリフォームに関する重要な視點は2つあります。
1つは、設計の段階でメンテナンスコストやリフォームコストのかかりにくい仕様にし、メンテナンスが少なく済む賃貸住宅を建築することです。
汚れのつきにくい外壁材を使えば、外壁洗浄費用が抑えられる上に、築年數が経っても外観の経年劣化が分かりにくいため、ご入居者に敬遠されることを防ぐことができます。
2つ目の視點は、長期修繕計畫をきちんと立てて、その費用をあらかじめ見込んでおくことです。
賃貸住宅経営は35年以上にわたるロングランです。建築物を維持するには思わぬ出費もあり得ます。そのためにも、「あらかじめ想定されている費用は盛り込んでおく」というスタンスが賃貸住宅経営には重要となります。