土地活用オーナーのための、賃貸住宅投資とJ-REIT投資の違いについて
公開日:2020/12/25
POINT!
?実物不動産投資とJ-REIT投資は、目指す利益、流動性、手數料、資産性、借り入れ、全制度などに違いがある
?それぞれのメリット、デメリットを理解したうえで投資を行うとよい
土地活用で賃料収入を得ている方は、他にどのような投資をしているのでしょうか。株式投資やFXといった投資を行っている方も多いと思います。
また、土地活用に近い不動産関連投資では、ワンルームマンション投資や1棟モノのレジデンス投資、あるいは不動産証券化商品であるJ-REITや不動産私募ファンド投資などを行う方もいるかもしれません。
不動産投資信託の中で上場しているものをJ-REITといいますが、今回はこのJ-REITと土地活用を含めた実物不動産投資の違い、メリットデメリットについて考えます。
投資の立場に立つと、J-REITは株式とほぼ同様の扱いといえます。ただし、J-REITで株式に相當するものは、「投資口」と呼ばれます。これは不動産投資信託(=J-REIT)において、投資法人が発行するものです。
大和ハウスグループのJ-REIT
大和ハウスグループには、大和ハウスリート投資法人(8984)というJ-REITがあります。その物件ポートフォリオは、大和ハウスが得意とする物流施設や賃貸住宅、そしてホテルなどが組み込まれています。また、時価総額は全62銘柄中6位(2020年12月7日時點)という大型で、格付け機関からの評価も高い銘柄です。
大和ハウスリート投資法人は、大和ハウス系の2つのREITが合併してできた銘柄で、プロパティ種別では安定感と成長期待の大きい物流と賃貸住宅が多く含まれ、加えてホテルや商業施設もあり分散が効いています。また、物件所在エリアも多岐にわたり、こちらも分散が効いている銘柄とされています。
J-REIT投資と実物不動産投資?土地活用投資の違い
1)目指す利益
J-REITを含めた株式投資は、主にキャピタルゲインを狙うものです。加えて、配當収益もあります。最近の株式の配當利回りが2~3%程度に対して、J-REITの平均利回りは4%前後となっています。
一方、土地活用として賃貸物件は、基本的にはインカムゲイン(=賃料収入)を目的とする投資といえます。
また、土地活用ではない実物投資の場合は、値上がり期待(=キャピタルゲイン狙い)とインカムゲインの両方が期待されます。利回りは、物件の立地、その他で大きく異なりますから一概に「何%ぐらいがいま妥當か」といえるものではありません。
2)流動性
J-REITを含めた上場されている株式は、価格を「成り行き」指定にすれば、基本的にすぐに売買できます。株式は流動性の高い資産だといえます。
実物不動産の場合は、査定をして、買い手を探すなど、ある程度の時間がかかります。実物不動産は、株式に比べて流動性は低くなります。
3)手數料
投資用に購入した実物不動産を、不動産會社を介して売卻する際には、所定の仲介手數料がかかります。手數料は、宅建業法で次のように定められています。(売買価格〔稅込〕が200萬円以下:5%、売買価格〔稅込〕が200萬円を超える部分~400萬円まで:4%〔+2萬円〕、売買価格〔稅込〕が400萬円を超える部分~:3%〔+6萬円〕※仲介手數料には別途消費稅が加算されます)
J-REITや株式も売買の際に手數料がかかりますが、ネット証券などを使えば、近年はかなり安価な手數料で取引を行うことができます。
4)資産性
株式やJ-REITは金融資産ですので、語弊がある言い方かもしれませんが、そのモノ自體に価値はありません。一方、実物不動産はモノ自體に価値があります。
5)借り入れ(レバレッジ)
土地活用として賃貸物件の建築する、あるいは投資用不動産を購入するような場合、基本的に金融機関から資金を借り入れします。頭金を少し出して殘りはローンというパターンが一般的です。株式等は、基本的には自己資金で売買します。
6)稅制度
J-REITや株式などは分離課稅制ですので、給與所得などとの合算はできません。実物不動産(=賃貸物件経営)の収支は総合課稅ですので、損益通算ができます。ざっくり言うと、株式は株式の±での課稅で稅率が一定(約20%)です。稅率は低いですが、所得稅に対する稅効果はありません。逆に賃貸物件経営での収支は、損益通算ができ、給與所得等の稅を軽減できる可能性があります。
ここまで、J-REITを含めた株式投資と土地活用を含めた実物不動産投資の違いを説明しました。
土地活用として賃貸物件を所有する投資と株式投資には、それぞれにメリットとデメリットがあります。すでに土地活用として賃貸物件を所有している方は、それらをしっかりと理解したうえで、J-REIT投資等の株式投資を行うとよいでしょう。