消費稅増稅による駆け込み需要はあったのか? 2019年住宅著工數(shù)の検証と賃貸住宅の復活
公開日:2020/02/28
POINT!
?消費稅増稅に伴う持ち家の駆け込み需要はほとんどなかった
?貸家著工戸數(shù)の回復は、そう遠くない
2020年1月末日に、前年12月の住宅著工戸數(shù)が発表されました。これにより出そろいました2019年の年間データを見ながら、消費稅増稅による駆け込み需要について検証してみたいと思います。
2019年の年間住宅著工戸數(shù)(総數(shù))は90萬5000戸で、前年から3萬7000戸減、マイナス4%という結(jié)果になりました。
図1:住宅著工戸數(shù)の推移
※上段:実數(shù)値(戸) 下段:前年対比(%)
(國土交通省?建設著工統(tǒng)計調(diào)査報告」より作成)
2019年10月に消費稅が8%から10%に増稅されましたので、多少は駆け込み需要があったものと思われますが、それ以上に落ち込みが大きかったといえるでしょう。
消費増稅に伴う持ち家の駆け込み需要は少なかった
過去の消費稅増稅時では、持ち家(いわゆる注文住宅)の駆け込み購入が顕著に増えましたので、今回の消費稅増稅でも、駆け込み需要が期待されました。しかし、2019年は前年比+1.9%に留まりました。
消費稅が5%から8%に引き上げられたのは2014年4月でした。この時は、前年10月までに請負契約すれば稅率が5%のままで引き渡しでしたので、2013年1年間はかなりの駆け込み需要がありました。図1の2013年を見ればわかるとおり、この年の持ち家著工數(shù)は約35萬戸、前年比プラス13.9%ととても高い伸びを示しました。
図1の2019年を見ると、2016年の1/10程度の伸びしかありませんでした。
持ち家建築需要が落ちているという側(cè)面もありますが、駆け込み需要がほとんどなかった背景には、先々の展望の違いがありました。
2014年の増稅時、政府は「消費稅を5%から8%に上げて、その後10%に上げる」と公言していました。いつか稅率が倍(5%から10%となった場合)になるわけですから、多くの方が「駆け込んだ」というわけです。
つまりこの時は、かなりの「需要の先食い」があったものと思われます。図1のとおり、その反動で、2014年は実數(shù)で約7萬戸と大きく落ち込みました。
貸家著工戸數(shù)は、2014年もプラス
2012年から賃貸住宅(貸家)の著工戸數(shù)は右肩上がりで伸びてきました。しかし、2018年は、 7年ぶりに前年比でマイナスとなりました。そして2019年は、そこからさらにマイナス13.7%と大きく落ち込みました。消費稅増稅に伴う、駆け込み需要もほとんどなかったものと思われます。
2013年は、消費稅増稅(5%から8%)の駆け込み需要で大きく伸ばし、翌2014年はその反動減で、持ち家(注文住宅)、分譲住宅(戸建、マンション)は大きくマイナスとなりました。しかし、貸家(賃貸住宅)は、相続稅改正に備えた需要の伸びがあり、反動減を吸収し、さらにプラスとなりました。
大きく落ち込んだ貸家著工戸數(shù)
その後も賃貸住宅(貸家)の著工件數(shù)は伸び続けていきます。その勢いに歯止めがかかり始めたのは2017年の後半でした。そして2018年は7年ぶりのマイナスとなります。
2018年は、年間約39萬6000戸の貸家が建設されましたが、月別で見ると前年比プラスだったのは8月だけで、他の月はすべてマイナスになりました。1月と3月は2桁のマイナス、春から夏は少し盛り返してマイナス幅が減少しますが、その後、秋から年末はまた大きなマイナスとなります。そして、2019年は34萬2000戸と、7年ぶりに落ち込んだ2018年からさらに14%近く減少し、 2012年頃の水準になっています。
これは、リーマンショック直後の2008年から2009年の貸家著工數(shù)の急落(マイナス31%)には及ばないものの、近年では大きな落ち込みです。その背後にあるのは、金融機関による融資の引き締め、そして7年も好調(diào)が続いた賃貸住宅建築需要の一服感だと思います。
確かに、2013年~ 2017年にかけて貸家著工戸數(shù)は大きく伸びましたが、それでもミニバブル期によりもだいぶ少なく、「賃貸住宅バブル」といわれるには程遠いものでした。
底堅い、賃貸住宅ニーズ。貸家著工戸數(shù)の回復は、そう遠くない
近年、全國的に広がっている「持ち家比率の低下」、「積極的に賃貸住宅を選ぶ方の増加」など、賃貸住宅需要は高まっています。都市部を中心に「借りたいニーズはあるけれど、築淺物件が少ない」狀況は続いています。こうしたことからも、一次的に貸家著工戸數(shù)は少なくなっていますが、少し時間をおけば再び回復すると考えられます。