注目!小規(guī)模宅地等の特例の改正
公開(kāi)日:2019/06/28
POINT!
?小規(guī)模宅地等の特例とは事業(yè)、居住用の相続不動(dòng)産の相続稅について、一定の限度面積までの部分の一定の割合が減額される制度
?小規(guī)模宅地等の特例が改正され、特例制度を適用できないケースがありうる
自宅や店舗、不動(dòng)産賃貸業(yè)を営む土地の相続稅評(píng)価額を最大で8割減少させることができる「小規(guī)模宅地等の特例」に稅制改正がありました。
「小規(guī)模宅地等の特例」について
(1)小規(guī)模宅地等の特例とは
小規(guī)模宅地等の特例とは、「相続又は遺贈(zèng)により取得した財(cái)産で、その相続の開(kāi)始の直前において被相続人の事業(yè)の用、又は居住の用に供されていた宅地等のうち相続稅の課稅価格に算入される金額について、一定の限度面積までの部分の一定の割合が減額される制度」のことをいいます。
被相続人が有する宅地等の用途によって、減額される割合や、限度面積は異なりますが、概ねのイメージで申し上げると、居住の用に供していれば330m2までは80%が減額され、事業(yè)の用に供していれば400m2までは80%が減額され、不動(dòng)産事業(yè)などの貸付の用に供していれば200m2までは50%が減額されます。詳しい用途別の限度面積や、減額割合は以下を參照ください。
表1: 小規(guī)模宅地等の特例における途別の限度面積、減額割合
相続開(kāi)始の直前における宅地等の利用區(qū)分 | 要件 | 限度面積 | 減額される割合 | |||
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被相続人の専業(yè)の用に供されていた宅地等 | 貸付事業(yè)以外の専業(yè)用の宅地等 | ① | 特定事業(yè)用宅地等に該當(dāng)する宅地等 | 400m2 | 80% | |
貸付事業(yè)用の宅地等 | 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(yè)(貸付事業(yè)を除く)用の宅地等 | ② | 特定同族會(huì)社事業(yè)用宅地等に該當(dāng)する宅地等 | 400m2 | 80% | |
③ | 貸付事業(yè)用宅地等に該當(dāng)する宅地等 | 200m2 | 50% | |||
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業(yè)用の宅地用 | ④ | 貸付事業(yè)用宅地等に該當(dāng)する宅地等 | 200m2 | 50% | ||
被相続人等の貸付事業(yè)用の宅地等 | ⑤ | 貸付事業(yè)用宅地等に該當(dāng)する宅地等 | 200m2 | 50% | ||
被相続人等の居住に供されていた宅地等 | ⑥ | 特定住居用宅地等に該當(dāng)する宅地等 | 200m2 | 80% |
(2)小規(guī)模宅地等の特例の趣旨
なぜ相続稅が安くなるような手厚い制度が創(chuàng)設(shè)されたのでしょうか。
小規(guī)模宅地等の特例は、被相続人が営んでいた事業(yè)や、居住の継続を目的に制度が設(shè)けられました。高度成長(zhǎng)期には、土地が値上がりすることで、相続稅の負(fù)擔(dān)が大きくなってしまい、被相続人が営んでいた事業(yè)用の土地や、被相続人や相続人が住んでいた土地であっても、それを売卻しないと相続稅が支払えないという事態(tài)が頻繁に生じてしまいました。そこで、被相続人が営んでいた生活をできるだけ、維持?継続させることを趣旨に、「小規(guī)模宅地等の特例」という制度が作られ、相続稅負(fù)擔(dān)の緩和が図られるようになりました。
「小規(guī)模宅地等の特例」の改正
ただ、こうした納稅者の意向を汲んで小規(guī)模宅地等の特例制度を創(chuàng)設(shè)したにもかかわらず、その趣旨に沿わずに同制度を巧みに利用した稅務(wù)対策が増えてしまいました。そのため、去年、今年と続けてこの小規(guī)模宅地等の特例に稅制改正が入り、趣旨に沿わない場(chǎng)合には、この特例制度を適用できないようになりました。
まず、今年の改正を見(jiàn)てみましょう。今までは、相続開(kāi)始時(shí)に事業(yè)の用に供していれば、小規(guī)模宅地等の特例の対象と成り得ましたが、2019年4月1日以降に発生した相続については、例え、相続開(kāi)始時(shí)において事業(yè)の用に供していたとしても、「相続開(kāi)始前3年以內(nèi)に事業(yè)の用に供された宅地等」で一定の條件に該當(dāng)した場(chǎng)合には、小規(guī)模宅地等特例の対象から除外されるようになりました。
表2:稅制改正の內(nèi)容
改正前の要件 |
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改正事項(xiàng) |
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つまり、相続開(kāi)始時(shí)において、事業(yè)供用期間が短くその土地の上に設(shè)置された設(shè)備資産が安価な事業(yè)の場(chǎng)合は、土地は小規(guī)模宅地等の特例から外されるようになったのです。
では、なぜこのような土地は、小規(guī)模宅地等の特例から除外されるようになったのでしょうか。
稅制改正により「ある事業(yè)」が小規(guī)模宅地等の特例対象外に
ここで、皆様は、「土地を活用して事業(yè)を営めば、土地の評(píng)価額が下がり相続稅対策に繋がりますよ。だから、事業(yè)を始めてみてはいかがですか?」と、勧められたとき、何の事業(yè)を営めばよいのか、思い浮かばないのではないでしょうか。また、事業(yè)を営もうと考えても、準(zhǔn)備や設(shè)備投資の負(fù)擔(dān)は少なくありません。事業(yè)を行うには、ハードルが非常に高いのではないでしょうか。
ただ、中には、そのような設(shè)備投資等の負(fù)擔(dān)もさほどかけずに事業(yè)化が可能なハードルの低い事業(yè)もあります。その代表格がトランクルーム事業(yè)といわれていました。
例えば、被相続人が保有している空き地があったとします。被相続人が高齢となり、そろそろ相続が発生するかもしれない?!负韦嗑A対策をしないと」という狀況になったときに、その空き地にちょっとカスタマイズしたコンテナを置いてしまえば、直ぐにでも立派なトランクルーム事業(yè)が開(kāi)始できてしまうのです。また、事業(yè)を止めたくなったらコンテナを撤去してしまえばよいだけなのです。
トランクルーム事業(yè)は、他の事業(yè)と比べて圧倒的に設(shè)備投資費(fèi)用が抑えられ、また、短期間で直ぐに事業(yè)を開(kāi)始することができ、相続対策だけのために事業(yè)を始めたい方にとってはうってつけの事業(yè)だったのです。
このように、事業(yè)を営んでいる體にして、小規(guī)模宅地等の特例を利用しようとする稅務(wù)対策が橫行したのです。
財(cái)務(wù)省は、こうしたトランクルーム事業(yè)の稅務(wù)対策を封じることを狙い撃ちにしたと、公にしている訳ではありませんが、改正內(nèi)容を確認(rèn)すれば、一目瞭然という気がしてきます。その理由は、先述した改正事項(xiàng)の(2)から読み取れます?!赶嗑A開(kāi)始前3年以內(nèi)に事業(yè)を始めた土地であっても、その宅地等の上で事業(yè)の用に供されている償卻資産の価額が當(dāng)該宅地の相続時(shí)の価額の15%以上であれば、特例の対象とする」との條件があります。
つまり、それ相応の設(shè)備投資をして事業(yè)を営んでいれば、例え3年以內(nèi)の事業(yè)開(kāi)始であっても小規(guī)模宅地等の特例の対象になります。ここで特例の対象外とされているのは、設(shè)備投資額が土地の15%という小さな金額の場(chǎng)合に対象外とされるようになったのです。こうした設(shè)備投資額が非常に小さく済む事業(yè)として、コンテナ事業(yè)や、トランクルーム事業(yè)が該當(dāng)するといわれているわけです。
平成30年度の改正
前後してしまいましたが、昨年の平成30年度の稅制改正についても觸れておきましょう。実は、去年も今年と似たような改正が行われていました。
稅制改正前であれば、相続開(kāi)始の時(shí)において被相続人の貸付の用に供され、かつ、確定申告期限においても引き続き貸付の用に供していれば、その宅地等については小規(guī)模宅地等の特例を受けることが可能でしたが、相続開(kāi)始前3年以內(nèi)に、相続対策に不動(dòng)産賃貸業(yè)を営み始めた「新たに貸付事業(yè)の用に供された宅地等」については小規(guī)模宅地等の特例の対象外とされたのです。
「新たに貸付事業(yè)の用に供される」とは、以下のような場(chǎng)合が該當(dāng)します。
- ?貸付事業(yè)の用以外の用に供されていた宅地等が貸付事業(yè)の用に供された場(chǎng)合
- ?宅地等若しくはその上にある建物等が何らの利用がされていない場(chǎng)合において、當(dāng)該宅地等が貸付事業(yè)の用に供された場(chǎng)合
このように去年も稅制改正において、「にわか不動(dòng)産賃貸事業(yè)」の場(chǎng)合には、小規(guī)模宅地等の特例の対象から外されていたのです。今年は、去年の「にわか不動(dòng)産賃貸事業(yè)」に続いて、「にわか事業(yè)」の場(chǎng)合にも、小規(guī)模宅地等の特例の制約が入るようになったのです。
相続が開(kāi)始するからといって、慌てて相続稅対策に走ったような場(chǎng)合には、稅制改正によって、小規(guī)模宅地等の特例の対象外となる可能性があります。
事業(yè)投資や、不動(dòng)産投資というのは稅務(wù)対策につながる。という副産物への期待があってもよいのですが、それだけに目を奪われてしまうと、稅務(wù)対策という副産物のフィルターをかけて、投資物件を検討してしまうことになり、本來(lái)の投資効果を見(jiàn)誤る可能性が大きくなってしまいます。稅務(wù)対策はあくまでも、副産物であって、それが投資の目的となってはいけません。
また、事業(yè)投資や、不動(dòng)産投資は長(zhǎng)期的な投資になるので、相続が発生するからという短期的な視野ではなく、長(zhǎng)期的な視野が求められます。
昨今の稅制改正については、確かに小規(guī)模宅地等の特例の適用範(fàn)囲が狹まったことは事実ですが、稅務(wù)対策という副産物に期待することなく、純粋な投資判斷が求められるようになったという點(diǎn)では、より不動(dòng)産の目利きが重要になったと考えられます。
また、今まであれば、小規(guī)模宅地等の特例の適用ができていたものが、適用の対象外となることも考えられるので、投資にあたっては十分な検討が求められるようになりました。