データで読み解く企業(yè)は土地所有、不動産投資をどう見ているのか?
公開日:2019/06/28
更新日:2019/09/12
POINT!
?近年は、「コスト面を考えると所有の方が有利」との回答は減少傾向
?未利用地となっている理由は、「売卻を検討したが、売卻に至っていない」が最も多い
?企業(yè)の賃貸用物件の所有意欲は高い
企業(yè)は、土地所有の有用性や土地の購入?売卻について現(xiàn)在どのように考えているのでしょうか。
國土交通省が毎年調(diào)査している、「企業(yè)の土地所有?利用狀況に関する意向調(diào)査」の最新レポートが2019年1月に公表されましたので、そのデータを分析しつつ、今後の企業(yè)と不動産の関わり方(CRE戦略のあり方)について、いくつかのテーマに分けて検討してみたいと思います。
この調(diào)査は8大都市に本社が所在する株式會社4000社に対し、2018年11月にアンケート調(diào)査を行ったものです。1993年から四半世紀(jì)にわたり行われていますが、メディアが大きく取り上げることが少なく、それほど知られた調(diào)査ではありません。しかし、企業(yè)の不動産戦略を考える擔(dān)當(dāng)者の方々や企業(yè)に対して不動産戦略の提案を行う企業(yè)などにとっては、かなり役に立つデータが揃っていますので、一読されることをお勧めします。
企業(yè)は土地や建物を所有した方が有利なのか
「所有したほうが有利」と答える企業(yè)は近年概ね4割程度になっています。(最新の2018年度では40.4%で対前年度比-1.2%)。逆に「借地?賃借が有利」の回答も、4割前後で推移しています(2018年度は37.3%)。概ね拮抗する數(shù)字が続いていますが、ここ10年を見ると、「所有が有利」との回答が多かったのが8回、「賃借が有利」のほうが多かった年が2回となっています。
図1:今後の土地所有の有利性についての意識
國土交通省「平成30 年度土地所有?利用狀況に関する意向調(diào)査」より作成
図2を見ると、所有が有利とする理由については、「事業(yè)を行う上で、自由に活用できる」が54.0%と最も多くなっています?!竿恋丐蠝缡Г护?、資産として殘る」が47.9%、「コスト面を考えると所有のほうが有利」が28.9%「土地は他の金融資産に比べて有利」が28.5%となっています。
図2:今後、所有が有利になる理由(複數(shù)回答)
國土交通省「平成30 年度土地所有?利用狀況に関する意向調(diào)査」より作成
近年(概ね5 ~ 10年)の傾向を見ると、「コスト面を考えると、所有のほうが有利」の數(shù)字が低下を続けています。「所有か賃借か」をコスト面で考え、「賃借のほうが実は有利かもしれない」と考える方が増えているのは、自宅用マンションでも起きている傾向です。
また、「土地は他の金融資産に比べて有利」の回答は、2012年頃から増えています。この時期は、不動産市況の好転に伴い、マンション価格の上昇、地価の上昇が始まった頃です。初めの頃は投資家やデベロッパーなどが中心でしたが、不動産を所有する、あるいは不動産に投資するという波は一般の企業(yè)にまで及んでいることがわかります。
「借地?賃借が有利」の回答理由としては、「事業(yè)所の進(jìn)出?撤退が柔軟に行える」が50.1%と最も多く、次いで「コスト面を考えると賃借の方が有利」が47.1%、「初期投資が所有に比べて少なくて済む」が30.7%、となっています。
図3:今後、借地?賃貸が有利になる理由(複數(shù)回答)
國土交通省「平成30 年度土地所有?利用狀況に関する意向調(diào)査」より作成
個人が所有よりも賃貸を選ぶ理由とほぼ同じです。フレキシブルに対応できるという點(diǎn)が賃借の最大のメリットだといえそうです。ただ、「コスト面を考えると賃借の方が有利」の回答が47%と高いのは、日本らしい考え方です。土地の価値はそのまま(あるいは上昇)でも、建物においては経年に伴う価値減少は必然という考えが見えます。
ちなみに、このアンケートに回答した企業(yè)のうち、土地所有(借地含む)をしている割合は51.8%と半數(shù)を超えています。
図4:未利用地のある企業(yè)の割合
國土交通省「平成30 年度土地所有?利用狀況に関する意向調(diào)査」より作成
未利用地について
自社所有地を持つ企業(yè)のうち、未利用地のある企業(yè)の割合は、15.6%となっています。この20年間を俯瞰すると概ね15 ~ 20%の間の數(shù)字となっています。
では、どうして未利用になっているのでしょうか?アンケート結(jié)果を見てみましょう。未利用地となっている理由は、「売卻を検討したが、売卻に至っていない」が34.0%で最も多く、次いで「利用計(jì)畫はあるが、時期が來ていない」が25.5%、「土地を資産として保有したい」が20.2%となっています。
最も多い理由の「売卻を検討したが、売卻に至っていない」は、ここ20年間で最も多い理由でした?!袱膜聘邆帳琴徣毪筏郡郡?、売りたくても損切りできない」、「もう少し高値になるのを待つ」などの理由が考えられますが、これは大都市部での理由かもしれません。地方都市の郊外などでは、「売りたくても買い手がつかない」などの理由があるかもしれません。このアンケートは、8大都市に本社を構(gòu)える企業(yè)向けではありますが、こうした企業(yè)も地方部、郊外部に工場や倉庫などを持っていることも多いと思われます。大和ハウス工業(yè)の事例では、こうした地方郊外部の用地を、物流倉庫、大型施設(shè)等にうまく活用している例が見られます。売卻を検討している企業(yè)の方は一度相談してもいいかもしれません。
では、未利用の土地を今後どうする予定なのでしょうか? 次のアンケート結(jié)果を分析してみましょう。
図5:未利用地の今後の対応策(複數(shù)回答)
國土交通省「平成30 年度土地所有?利用狀況に関する意向調(diào)査」より作成
未利用地の今後の対応策としては、「売卻する」が43.2%と最も多くなっています。次いで、「當(dāng)面そのまま」が29.5%、「賃貸する」が12.6%、「利用計(jì)畫に従い利用する」が9.5%となっています。
「使わないものは売卻する」という回答が最も多いわけですが、これはCRE戦略としては最も一般的で効率的な考え方です。
使っていないノンコアな資産は、まず「賃貸などとして活用する」ことで、収益を生む資産に変えることを検討してみます。そして、賃料等賃貸借條件を勘案して、「貸すよりも今手放すほうが得」と判斷すれば、「売卻する」となります。
アンケート結(jié)果で2番目に多い、「當(dāng)面そのまま」は、問題がある可能性もあります。自社の置かれている狀況や、時流などを判斷したうえで「當(dāng)面そのまま」という判斷であれば良いのですが、「問題先送り」という背景からの「當(dāng)面そのまま」では、2000年代前半に見られたような「モノいう株主からの突き上げ」などがあるかもしれません。そのような場合は、CRE戦略の専門家や大和ハウス工業(yè)のような、CRE戦略を數(shù)多く手がけた企業(yè)に相談するのがいいでしょう。
土地の売買について
企業(yè)はどのような理由で土地を購入するのでしょうか。
土地の購入(または購入検討)の目的では「自社の事務(wù)所?店舗用地」が30.6%で最も多く、次いで「自社の工場?倉庫用地」が27.6%、「賃貸用施設(shè)用地」が24.1%、「自社の資材置場?駐車場?その他業(yè)務(wù)用地」が18.8%となっています。
図6:土地購入(または購入検討)の目的(複數(shù)回答)
- ※1 年度により土地の購入?売卻の対象期間と対象地域が異なるため、単純に比較できない。
平成7~10年度:地価下落期×市內(nèi) 平成11年度:過去10年×國內(nèi) 平成12~17年度:過去5年×國內(nèi) 平成18年以降:過去1年×國內(nèi) - ※2 「投資目的のため」は平成17年度まで「転売のため」としていた選択肢を平成18 年度に変更したもの。
- ※3 「販売用地」は平成18 年度より加えた選択肢。
- 國土交通省「平成30 年度土地所有?利用狀況に関する意向調(diào)査」より作成
理由1位の「自社の事務(wù)所?店舗用地」ですが、かつては土地購入理由の5割以上を占めた理由でしたが、近年右肩下がりで30%前後に留まっています。逆に「賃貸用施設(shè)用地」は24.1%となっていますが、2007年頃までは10%臺前半の數(shù)字でした。このことから分かるように、企業(yè)の賃貸用物件の所有意欲が高いことがうかがえます。
アンケートでは、1年以內(nèi)に土地購入を予定(または検討)している企業(yè)に、その理由を?qū)い亭皮い蓼??!缸陨绀问聞?wù)所?店舗用地」が28.9%で最も多かったのですが、-7.7ポイントと大きく減らしています。2番目に多い理由は、「賃貸用施設(shè)用地」で、25.9%。こちらは、逆に前年度対比+11.9ポイントと大幅に上昇しています。企業(yè)の賃貸用物件取得に対する意欲が高いことがうかがえます。土地購入を予定(または検討)している企業(yè)の、4社に1社は自社利用ではなく、そこに賃貸用物件を建てて、賃料収入を得ようとしているわけです。
3位以降は、「自社の工場?倉庫用地」が23.7%、「自社の資材置場?駐車場?その他業(yè)務(wù)用地」が20.0%となっています。
図7:今後1年間の土地の購入予定(または検討)の目的(複數(shù)回答)
國土交通省「平成30 年度土地所有?利用狀況に関する意向調(diào)査」より作成
次に、売卻についてです。
土地の売卻(または売卻検討)の理由では、「土地保有コストの軽減」が18.9%で最も多く、次いで「販売用地のため」が17.9%、「事業(yè)の資金調(diào)達(dá)や決算対策」が14.7%となっています。
では、売卻(または売卻検討)した土地の、それまでの利用形態(tài)はどのようなものだったのでしょうか。
1位は、「賃貸用施設(shè)用地」が30.2%と最も多く、次いで「自社の事務(wù)所?店舗用地」が17.7%となっています。賃貸用施設(shè)はここ2 ~ 3年増えています。前項(xiàng)理由のうち、企業(yè)が「事業(yè)の資金調(diào)達(dá)や決算対策」に活用しているものと思われます。
このように、ノンコア資産でお金を生みだす賃貸用物件は、所有していると賃貸収入があります。ここぞという時に売卻すれば、大きな資金調(diào)達(dá)にもなる可能性があります。
このアンケートから見て取れるように、昨今の企業(yè)は賃貸用物件をうまく活用する(あるいはこれからしようとする)ことで、企業(yè)業(yè)績の向上を目指している様子がうかがえます。
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