橫ばいだった空き家率。なぜ、空き家はほとんど増えていないのか?
公開日:2019/05/31
POINT!
?平成30年の空き家率は予想を下回る13.55%。地価上昇、住宅価格上昇が進み、建築數(shù)が抑えられたことが要因
?自治體が行う空き家対策や大型な再開発も空き家率の橫ばいに貢獻
5年ぶりに発表された住宅?土地統(tǒng)計調査
2019年4月26日に、総務省統(tǒng)計局から「平成30年住宅?土地統(tǒng)計調査」(速報値)が発表されました。この調査は、日本の不動産に関するデータとしては最大規(guī)模の周期調査で、昭和23年から5年ごとに行われています。今回は15回目にあたる2018年10月時點の調査結果(速報値)の発表です。空き家調査は、調査員が日常的に誰も住んでいない住宅に、何度か訪問時間を変えて確認を行います。それでも不明の場合は、建物外観を確認したり、近隣の人や建物の管理者などに確認したりすることで特定されます。こうして得られた調査単位區(qū)別の調査結果から、市區(qū)町村別総人口に合致するように、統(tǒng)計上空き家の數(shù)として算出しています。 調査結果では、速報値と最終確定値がずれることもありますが、今回は速報値を基に空き家數(shù)について分析します。
全國の空き家率は13.55%
まずは、実數(shù)を押さえておきます。全國の住宅総數(shù)は6242萬戸、空き家數(shù)は846萬戸、空き家率は13.55%となりました。詳細を見ると、空き家846萬戸のうち、いわゆる空き家問題の対象となる使われていない住宅等は348萬戸でした。その他では、賃貸用が431萬戸、売卻用(まだ売れておらず、これから売る)住宅は29萬戸、そして別荘などの二次的住宅は38萬戸でした。
空き家の分類
住宅?土地統(tǒng)計調査では、空き家は以下のように定義されています。
- 1)二次的住宅
別荘?????週末や休暇時に避暑?避寒?保養(yǎng)などの目的で使用される住宅で、普段は人が住んでいない住宅
その他?????段住んでいる住宅とは別に、殘業(yè)で遅くなったときに寢泊まりするなど、たまに寢泊まりしている人がいる住宅 - 2)賃貸用の住宅
新築?中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
空き家というより空室というほうがピンときますが、空き家の1分類です。 - 3)売卻用の住宅
新築?中古を問わず、売卻のために空き家になっている住宅
例えば、デベロッパーが販売用に戸建住宅やマンションを建築し、売り出している最中なものの、空き家という扱いです。 - 4)その他の住宅
上記以外の人が住んでいない住宅
例えば、転勤?入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や、建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(空き家の區(qū)分の判斷が困難な住宅を含む)。
「空き家問題」とされているのは、主に4)に分類される住宅です。
空き家問題は少し改善している?
空き家率は、空き家數(shù)(上記1~4の合計)を住宅総數(shù)で割ったものになります。この3つの変數(shù)(下線部分)を、前回調査(2013年時點)と比較すると、近年の空き家の現(xiàn)狀が見えてきます。5年前の前回調査では、住宅総數(shù)6062萬戸、空き家數(shù)820萬戸、空き家率は13.53%でした。比較すると、下の表のようになります。
公表された數(shù)値に加えて、野村総研が2016年に予測公表し、多くのメディアが取り上げた數(shù)字も掲載しておきます。
住宅総數(shù)は、+180萬戸(3%増)の増加となりました。予想6372萬戸を大きく下回る結果となりました。新築住宅の増加が予想よりも、大幅に少なかったことになります。
前回調査?予想との比較
2013年結果 | 2018年速報値 | 伸び率 | 2018年の予想 (野村総研予測) |
予想との差 | |
---|---|---|---|---|---|
総數(shù)(萬戸) | 6062 | 6242 | 103.0 | 6372 | -130 |
空き家數(shù)(萬戸) | 820 | 846 | 103.2 | 1083 | -237 |
空き家率 | 13.53% | 13.55% | - | 17.00% | - |
地価上昇、住宅価格上昇が予想以上に進み、建築數(shù)が抑えられたことが要因だと考えられます。空き家數(shù)は+26萬戸(3.2%増)となりました。予想では、263萬戸の増加となっていましたので、空き家の増加は、予想の1/10以下だったことになります。 その結果、空き家率は0.02%増と、ほぼ橫ばいという結果的になりました。2008年の空き家率が13.1%でしたので2008年から2018年までの10年間で空き家率は0.4%程度しか増えておらず、空き家率はこの10年ほぼ橫ばいといえます。
空き家率が大きく増えるという當時の予想は、仕方ないものでした。日本において住宅が最も多く建てられたのは1970年代~ 80年代で、この頃に建てられた住宅が2018年には築40 ~ 50年を迎えます。住宅を建てて(あるいは購入して) 40 ~ 50年も経つと、住む方の狀況に変化が訪れます。その結果、相続、売卻、建て替え、リノベーションなどの新たな需要対象にならなかったものが空き家になります。多く建てられた時代の物件が変化期を迎え、空き家になる可能性の高い物件は今後さらに増えてきます。このような狀況を放っておくと空き家數(shù)が増えることは間違いないでしょう。こうした狀況を踏まえれば、空き家數(shù)の大幅増を多くの方が予想するのも無理はありませんでした。
空き家対策が徐々に効果を見せている
しかし、空き家率は、この5年間でほぼ橫ばいでした。建築數(shù)もあまり増えていません。なによりも空き家數(shù)の増加は予想の1/10程度でした。多くの自治體が導入している空き家対策を行う補助金の制度を利用する方も徐々に増えているようです。さらに、大都市や地方都市においても、各地で再開発が進み、古くなった施設の建て替え等を機に、周辺の使わなくなった古い住宅等を購入して、一帯開発による街の再生が進んでいます。大和ハウス工業(yè)も、こうした事例を數(shù)多く手掛けています。 賃貸住宅の空室率も都市部を中心に低下しています。この住宅?土地統(tǒng)計調査でも、それははっきりと表れています。