消費稅増稅迫る!意外に多い駆け込み需要、その訳は?
公開日:2019/03/29
POINT!
「経過措置」「労働者人件費や原材料費の高騰」「低いローン金利」の3つが重なり、消費稅増稅前の駆け込み需要が増えている
2019年10月から消費稅が10%に引き上げられる予定です。2014年4月に5%から8%に引き上げられて以來5年半ぶりの増稅となります。今回の増稅では、増稅負擔が軽減されるようにさまざまな対応策が予定されているため、駆け込み需要はあまり多くないだろうと予想されていましたが、意外にも多方面で駆け込み需要の兆候があるようです。
意外に多い駆け込み需要、その訳は?
大半の人にとって、個人消費の中で最も高額となるのが住宅の購入です。ハウスメーカー各社の展示場來場者數は、2019年の年明けからかなり増加しているようです。注文住宅や賃貸住宅などの工事請負契約の場合、2019年3月までに建築請負契約を結ぶと、竣工が2019 年10月の増稅後でも8%が適用されるため、3月末までの契約の數が増えそうだといわれていました。これは「経過措置」と呼ばれるものです。このことから、賃貸住宅の建築も同じように、3月までに契約しようと考える土地オーナーの方が多くいるよ
うです。
また、各種建築価格は、労働者人件費や原材料費の高騰などが原因で高くなってきています。「そのうち安くなるだろう」と建築時期を先延ばしにしていた方も、「もし下がるとしても、しばらく先になる」という思いが広まってきているようです。
さらに、ローン金利は、史上最低水準が続いています。こうした3つが重なり、「結局、買い時は増稅前の今!」と考える方がいるようです。これが、予想以上に駆け込み需要が増えている背景だと思います。
2019年9月末までの引き渡しなら、住宅の消費稅は8%
たとえ4月以降に契約しても2019年9月30日までに引き渡しを受ければ、消費稅は8%が適用されます。
大和ハウス工業を含めて、ハウスメーカーの商品の中には、プレハブ工法の住宅や賃貸住宅の商品があります。これらの工法の場合、建築工期が比較的短く、うまくいけば工期が半年もかからないこともあるようです。ですから、経過措置の期限である3月末を過ぎても、採用する工法によっては、まだあきらめる必要はないといえるでしょう。
消費稅増稅と物価、國債金利の関係
消費稅増稅が大きく影響する物価指數と國債金利の関係を見てみます。
図:消費稅増稅と金利
日本銀行資料、総務省統計局「消費者物価指數」より作成)
図は、1989年から2019年年初までの國債金利(10年物、30年物)の推移とCPI(消費者物価指數)の推移を示したものです。
CPIは、1989年~ 1995年頃まで上がり続けていましたが、その後橫ばいになります。消費稅が3%から5%になったときに、大きく跳ね上がりますが、その後は橫ばいからやや低下気味でした。ミニバブル期には一瞬上がりますが、また停滯を続け、2014年の消費稅増稅で大きく上がり、その後は好景気と金融緩和に支えられて上昇基調にあります。
一方、國債金利は、バブル崩壊後一貫して金融緩和政策をとり続けているため、利率が低下し続け、今ではほぼゼロ金利です。
10年物國債とCPIの相関係數は、-0.71と強い逆相関になっています。
つまり、國債金利が下がると、CPIは上がりますので、政府の政策の結果が出ているといっていいでしょう。
2019年10月の消費稅増稅で、CPIがまた大きく跳ね上がることが予想されますので、日本は徐々にインフレ基調に向かっているといえると思います。