土地活用ラボ for Owner

コラム vol.255
  • 不動産市況を読み解く

容積規制対象外となり、宅配ボックス設置賃貸住宅が主流になる?

公開日:2018/09/28

賃貸住宅居住者のニーズとして最近増えているのが、宅配ボックスです。分譲マンションでは、近年當たり前のように設置されていますが、賃貸住宅では徐々に増えているという狀況のようです。
図1は、株式會社リクルート住まいカンパニーが調査した、「次に引っ越す際に欲しい設備は?」という質問に対する答えをグラフ化したものです。この図を見ると、宅配ボックスはランキング5番目で、78.1%の方が「次に引っ越しする際には欲しい」と回答しています。

インターネット通販を利用する方は都市部だけでなく地方都市においても急増しています。また、これまでは特定の商品(例えば、本など)に限って利用していた方が、かさ張る日用品や衣料品などもネット通販で購入するようになりました。

(図1)引越先に欲しい設備

●各設備について「1.次に引越す時は(も)絶対欲しい」「2.次に引越す時は(も)できれば欲しい」「3.次に引っ越す時いらない」の3択で質問。図表のスコアは「1.次に引越す時は(も)絶対欲しい」または「2.次に引越す時は(も)できれば欲しい」を回答した人の比。

株式會社リクルート住まいカンパニー「2016年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査」より作成

こうした中で問題になっているのが、再配達問題です。時間指定をしているにもかかわらず、不在ということも珍しくないようです。そうすれば、一つの荷物を何度も運ばなければならないし、仕事からの帰宅を待って配達するならば夜遅くになります。こうして宅配會社の労働環境の悪化が生まれます。
急増する荷物に対応できない宅配會社の労働環境は悪化する一方です。そこで大手宅配會社は配達員を増やしたり、配達時間を短くしたりするなどの対応策に追われています。

他方、荷物を受け取る側にしてみれば、休日ならまだしも、職を持つ方が平日日中に荷物を受け取るのは至難の業です。また、時間指定されていても、その幅は午前中、17時~ 19時といった感じで、その間いつ來るか分からない荷物を待つために拘束されるというのも、無駄な時間を過ごす感は否めないと思います。
こうした背景から、いまや宅配ボックスは必須といわれるようになってきました。
國土交通省においても、宅配ボックスの設置促進は再配達の減少につながるため、労働環境緩和や物流業の生産性向上のためにも重要だとしています。

宅配ボックス容積規制対象外に

こうした課題に対して、國土交通省は対応に乗り出します。
まず、2017年11月より、「共同住宅の共用の廊下と一體となった宅配ボックス設置部分については、容積率規制の対象外にする」と発表しました。
もともと、建築基準法では、共同住宅の共用の廊下部分は容積率を算定する際の面積に含みません。ただ、建築現場では、廊下に宅配ボックスを設置した場合、設置面積を容積率の規制対象にすべきかどうか、その基準があいまいだったようです。
そして、2018年9月(施行は9月25日から)からは、「建物用途や設置場所によらず、宅配ボックス設置部分を一定の範囲內で容積率規制の対象外とする」こととなりました。これにより、オフィスや商業施設などでも、宅配ボックスを設置しやすくなりました。

賃貸住宅の宅配ボックス設置狀況

図2は、不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」に掲載されている東京23區の賃貸物件の宅配ボックスの有無を調査した結果です。

(図2)宅配ボックスの設置狀況

● 不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」に掲載されている東京23區の賃貸物件のうち、宅配ボックスにチェックが入っている物件の有無を調査した結果(2018年9月上旬データ)

宅配ボックスありは24%と全體の約4分の1程度でした。最近の分譲マンションでの設置率と比較するとかなり低いと思います。しかし、新しい賃貸住宅では宅配ボックスを設置している物件も増えているようです。

賃貸住宅においては利回り重視の観點から、容積率をいっぱいに使いたいと考える建築主が多いわけです。しかし、先に述べたように宅配ボックスが建築基準法での容積規制外ということが明言されましたので、これからは、宅配ボックス設置の賃貸住宅が主流になってくるでしょう。

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