2017年下期の賃貸住宅予測 ~需要旺盛エリアとそうでないエリアの二極化進む~
公開日:2017/09/20
第185回コラム 2016年12月レポートでは、2017年の不動産市況の予測をしました。
その中では、不動産市況全體は橫ばいか、僅かにネガティブと予測しました。2017年上期を見ると、概ね橫ばいという狀況でした。一方、マンションは都市部を中心に高値圏が続いていますが、こちらも天井感が見えて橫ばい。かなりの高値なので買うのをためらう方が多い一方、超低金利に下支えされて、ある程度の需要がある、といった均衡感から橫ばいといった狀況のようです。また、ワンルームを中心とした居住用不動産への投資市況は依然としていいようです。
一方、賃貸住宅建設に関しては、金融庁の動向次第では「土地活用としての賃貸住宅を含めた貸家の新築著工數は、2016年の1年間で41萬8,000戸(前年対比プラス10%)となりました。2017年は、アパートローン審査の行方次第で、地方都市や郊外部で落ち込みを見せるかもしれません?!工扔铚yしましたが、概ねそのような狀況になった模様です。
しかし、地方都市の中でも勢いのある地域があったり、また県や市の単位では著工數減少狀況の中でも、エリアで見れば、まだまだ築年數の淺い物件が少ないため、入居者需要に追い付いていない場所もあったりして、一概に、すべての地方都市がネガティブな狀況とはいえないようです。
2017年も殘すところ、あと3か月と少しとなりました。住宅著工數の今後と予測と1年合計の予測を行ってみたいと思います。
貸家住宅著工戸數 2016年と2017年の比較
貸家著工戸數 | 前年比(%) | |
---|---|---|
2016/01 | 28,288 | 5.3 |
2016/02 | 28,871 | 12.5 |
2016/03 | 30,572 | 1.1 |
2016/04 | 35,504 | 16.0 |
2016/05 | 32,427 | 15.0 |
2016/06 | 36,910 | 3.7 |
1月~6月合計 | 192,572 | 8.7 |
2016/07 | 37,745 | 11.1 |
2016/08 | 36,784 | 9.9 |
2016/09 | 38,400 | 12.6 |
2016/10 | 39,950 | 22.0 |
2016/11 | 38,617 | 15.3 |
2016/12 | 34,475 | 2.2 |
年間合計 | 418,543 | 10.5 |
貸家著工戸數 | 前年比(%) | |
---|---|---|
2017/01 | 31,684 | 12.0 |
2017/02 | 30,842 | 6.8 |
2017/03 | 33,937 | 11.0 |
2017/04 | 36,194 | 1.9 |
2017/05 | 32,956 | 1.6 |
2017/06 | 35,967 | -2.6 |
1月~6月合計 | 201,580 | 4.7 |
2017/07 | 36,365 | -3.7 |
2017/08 | ||
2017/09 | ||
2017/10 | ||
2017/11 | ||
2017/12 | ||
年間合計 | 237,945 | 3.3 |
(7月末まで)(前年7月末まででの比較) 國土交通省「住宅統計著工統計」より作成)
図1は、住宅著工戸數(貸家)の2016年の1年間と2017年1~7月までの推移の比較です。
2016年の上期はマイナス金利適用、貸出金利の下落を受けて春先から大きく伸びました。その勢いが年末まで続きました。一方、2017年は出足の1~3月期は昨年を上回る勢いでスタートしましたが、4月以降大きく減速し、6月、7月は昨年対比でマイナスとなりました。それでも、一昨年2015年よりは良い數字ですので、昨年がよすぎたとみるべきかもしれません。スタートのよさもあって、1~6月の上期で比較すると昨年よりも5%近く件數は増えています。
しかし、この6、7月のブレーキは一時的なものとは思えず、以降は同じようなペース(マイナス)で昨年同月比は推移するものと思います。
1年間の合計では昨年は41.8萬戸でしたが、今年2017年の年間合計は、ほぼ変わらず、41.5~41.9萬戸あたりに著地するものと思われます。
地方都市での賃貸住宅の過剰感が指摘されていますが、さきに述べたように、エリアによってはまだまだこれから賃貸需要が増えるというエリアもあります。賃貸需要の少ない、あるいは伸びないエリアでの建設はネガティブですが、期待の持てるエリアではこれからも新たな賃貸住宅が建設されると思います。
これから賃貸住宅の建設や購入を考えているかたにとっては、需要の予測がカギとなってくることでしょう。