コラム vol.021
消費稅10%先送り。どうなる?賃貸住宅経営
公開日:2015/02/12
GDPマイナスを踏まえ、消費稅10%の導入を先送り
2014年11月17日に7月~9月のGDP速報値が出て、多くの関係者が予想したものを下回る四半期でマイナス0.4%、年換算で(=-0.4%×4)マイナス1.6%だった。
最終的には修正されることになるのだが、政府が目指してきたプラス2%には遠い數字となった。
こうしたことを踏まえて、政府は消費稅10%にすべきか?やめたほうがいいんじゃないか?という大議論が起こることを見越し、その先手を打つ形で消費稅10%の導入を1 年半(18カ月)先送りした。
一方で、先送りとともに政府からは、2017年4月からは確実に消費稅が10%になると発表された。これで、政権交代などにより大きな政府方針の転換がない限り2015年の現在からあと約2年で消費稅は10%になる。
長年イメージしてきた5%→10%への変更は、高額な商品を購入する際には大きなインパクトがある。これから1億円の商品に対する消費稅は1,000萬円になるということであり、1億1,000萬円の支払いを求められることになる。直前の駆け込み需要増大と、導入後の反動減が予想される。
7年サイクルの予想通りならば、新築供給は減少か
バブル崩壊以降の日本の不動産市況は7年超のサイクルがはっきりとみられ、最近では、株価(TOPIX、日経平均)などの動きも同じく7年ごとのサイクルが見られるようになってきた。
J-REITの立ち上げ、つまりREITによる大型物件の購入が不動産市況を活性化させ、地方都市の衰退が進む(=地方都市の地価が景気に左右されず、右肩下がりである)という狀況下なので、こうした市況になったと考えられる。
では、このサイクルに當てはめると、2017年4月はどうなるだろうか。
今回の不動産サイクルでは2012年夏ごろから上昇基調が見られ始めた。アベノミクスによる異次元緩和により金利が低く抑えられている狀況でその上昇サイクルに拍車がかかった。
しかし、ここにきて実物投資用不動産、実需用(実際に住むための)不動産とも、首都圏においては取引件數に歯止めがかかっており、そろそろサイクルにおける山(ピーク)が近いことが見て取れる。そして、このサイクル通りとするならば、2017年4月は谷期であり、その前に起こるかもしれない消費稅増稅による駆け込み需要は、GDPにプラスに作用するだろう。
2015年~2016年前半は、ローン金利は低く抑えられることが予想される。また、景気の橫ばい感により、賃貸住宅を建てることを躊躇する方が増えるかもしれない。だとすると、新築供給數が減ることになるから、思い切って建てた方々には有利に働くかもしれない。