金融機関の賃貸住宅向け融資(アパートローン)は過熱気味なのか?
公開日:2016/12/22
アパートローンの審査が厳しくなった?
アパートローンとは、土地を所有する方が賃貸住宅等を建てる際に建築資金(その他付帯施設含む)として受ける融資のことです。土地活用を行う多くの方が、各種金融機関を通じて利用します。
金融機関関係者の話によると、2016年12月以降、審査が厳しくなっているようです。また、メディアでも同様の報道が見られはじめています。日経新聞2016年12月14日朝刊の見出しには、「アパート融資、過熱警戒。金融庁、節稅効果などを調査」とありました。
日銀のデータによると、2016年9月末時點の、主にアパートローンと思われる「個人による貸家業」の貸出殘高(國內銀行、銀行勘定ベース)では、22兆76億円となっており、2015年の春先から急に伸びています。
建築數でこれを検証すると、確かに新築住宅著工戸數の貸家も2015年は前年対比プラス4.6%(37.8萬戸)、2016年は、前年対比10.5%となっており、リーマンショック後では最も多く建てられています。
銀行、特に地方銀行や信用金庫においては、優良貸出先の減少にともなう融資の伸び悩みに加え、マイナス金利の影響で収益環境が悪化している中、數少ない健全な貸出先としてのアパートローンに力を入れている現狀が見え隠れします。
こうした狀況が、金融庁が警鐘を鳴らしていることにつながっているのでしょう。
無理のない収支計畫を
アパートローンは、土地活用として賃貸用物件を建てる際の建築費用の融資を受けるので、ローン借り主(オーナー)は、賃料収入をローンの返済原資とするのが一般的なパターンです。
ですから、賃料収入が返済額を下回ると、例え稅務対策につながるとしても、マイナス分は持ち出しとなってしまいます。
金融庁の思惑は、こうしたオーナー負擔が大きくなることを未然に防ぎたいということでしょう。問題は、懸念されるのは、健全な収支計畫を立てている融資申し込みについても、金融機関による急な融資意欲減退に巻き込まれないかということです。
當然のことですが、賃貸経営においては、賃貸需要が一定の水準を保つことが予想される場所で適切な賃料設定を行うことが必須です。その上で、無理のない収支計畫を立てる。そうすることで、その計畫に沿ってアパートローンの返済を滯りなく行うことができるのです。この當たり前のことを行えば、大きな問題とはならないはずです。このような無理のない提案を行う建築會社やハウスメーカーに依頼することが求められるでしょう。