大阪と東京、持ち家比率が低いのはどっち?
公開日:2016/10/31
1990年代くらいまでは、東京と大阪は、日本の2大都市と言われた。しかし、1990年代後半くらいからは、大阪から東京への人口流入が進みその差は大きく広がり続けている。2000年以降には、大阪に本社を構えている企業でも、謄本上の本社は大阪に殘しつつも、実質の本社機能は東京に移しているという企業が、増えている。
いまや、都市としては東京が獨り勝ちの様相だ。大阪市の人口は約262萬人で、橫浜市約369萬人よりも少なく、名古屋市の約226萬人よりも多いものの、日本3番目の都市となっている。
しかしながら、大阪は関西の中心都市として、その存在感は大きい。東京に本社を構える企業が、まず支店を出すとするならば、大阪が選ばれることだろう。
そんな大阪と東京の住宅事情を、「持ち家」と「賃貸住宅」という観點で比較してみよう。
親族世帯(家族で暮らす世帯)が賃貸住宅に住んでいるか、所有する自宅(持ち家)に住むかを東京と大阪で比較したものが、次の図だ。
親族世帯の貸家に住む割合
総務省統計局「H25年住宅?土地統計調査」より作成
親族世帯において、賃貸住宅に住む割合は全國平均では23.4%と4世帯に1世帯を切るくらいとなっており、76%以上は持ち家に住んでいる。所帯を構えると、自宅を購入するという方が圧倒的に多いのだ。
しかし、大都會である東京23區や大阪市となると事情が大きく異なっている。東京23區において、親族世帯の持ち家比率は62.7%、大阪市においては60.3%と全國平均よりも10%以上も低い數字となっている。また、大阪に比べて、住宅価格の高い東京の方が、持ち家比率が2ポイント以上高いというのも特徴的だ。大阪の方が平均年収が低いが、その分住宅価格も安い、ということを考えると、「所帯を構えても、賃貸住宅で十分」と考える方がおおいのだろうか。
次に、単身世帯を見てみよう。
単身世帯において、賃貸住宅に住む割合は、全國平均では62.4%となっている。高齢者夫婦の死別による単身世帯の場合を除けば、若年層の単身世帯ではたいていが賃貸住宅で暮らしていると思われる。
そう考えると、若年層が多く流入する、大都市部においては、単身世帯の大半が賃貸住宅に暮らしていると、思われる。
単獨世帯の貸家に住む割合
総務省統計局「H25年住宅?土地統計調査」より作成
東京23區においては、単身世帯の約30%が持ち家に住み、70%が賃貸住宅に住んでいる。一方、大阪市においては、約75%が賃貸住宅に住んでおり、持ち家に住む単身者は25%程度となっている。
単身世帯においても、大阪市の方が東京に比べて、賃貸住宅に住む割合が多くなっている。これも、平均所得の影響だろうか。
東京23區と大阪市、人口流入者の數は全國1位と2位の街であるが、賃貸住宅に住む人の割合は、親族世帯、単身世帯とも大阪の方が多い。