【レポート】最新データで読み解く
不動産投資とJREIT投資、ちがいはなにか?
公開日:2016/06/29
増える不動産投資
株式市場のプレイヤーはこの20年増え続けています。1990年代後半からインターネットで行う証券取引が普及し、手軽にいつでもどこでも、証券取引ができるようになりました。
そして、売買手數料も安価になりました。また、2003年からは上場不動産ファンド(J-REIT)がスタート。そして、2010年にはETFも始まり、それまであまりなじみのなかった投資信託が株式と同じような扱いができる手軽さがウケて、多くの一般投資家が新たに生まれました。
2012年以降、これまで株式投資を行ってきた方の中で、実物の不動産投資も合わせて行う方が増えてきています。ここでいう、実物不動産投資とは、住居系においては、ワンルームマンション投資、1棟の賃貸住宅(マンション、アパート)投資、土地活用による賃貸住宅の建築投資、などを指しています。もちろん、収益ビルを買うというのも、金額の大きい実物不動産投資です。
不動産投資とJ-REITの違い
不動産からの収益(賃料と売卻益)が利益の源という點において、J-REITも実物不動産投資は似ていますが、異なる點も多くあります。
J-REITは、いわば株と同じ扱いの権利商品であり、実物不動産は、現にそこにある建物です。
また、J-REITは分配金という形で主に年2回配當があり(銘柄により異なる)、実物不動産は、たいてい毎月単位での賃料収入を得ることになります。
ここで、土地活用を含めた不動産投資と、J-REIT投資のメリットとデメリットを4つの視點で考えてみます。
(1)レバレッジのかけ方の違い
一般の投資家は、株式購入のために、銀行などで借り入れを行うことができません。機関投資家による空売り(値下り局面と読んだ時に、株を借りて売卻、下がった価格で購入して株を戻す)は、株を借りているが、お金を借りているわけではありません。
一方、実物不動産投資や土地活用による賃貸住宅経営(投資)は、金融機関からの借り入れにより投資することができます。借り入れを行ってできる投資は、土地活用投資や不動産投資くらいしかないでしょう。(2)分散が効くか効かないか
J-REITは、複數の不動産が組み込まれており、空室や賃料下落による、収益減少のリスクを分散する効果が働いています。
物件そのものの分散(複數ある事)に加えて、エリアによる分散、不動産の種別(住居?ビルなど)による分散など、様々な要因があります。
一方、実物の賃貸用不動産を多數持つ場合は、多額の金額を要します。
この分散という點においては、J-REITの方が優れているといえるでしょう。(3)流動性のちがいと売買コスト
J-REITの場合は、例えばインターネットなどで、瞬時に売卻でき、現金化できます。そして、売買手數料はかなり低率です。
一方、実物不動産の場合はそう簡単に売買できません。仲介會社に依頼して売卻するのが一般的で、買主がすぐに見つかるとも限りません。しかし、物件の立地條件がよければ、ニーズがある為、すぐに見つかる可能性が高くなります。手數料に関しては、概ね 3% + 6 萬円 と定められていますが、株式売買と比べると高いといえます。(4)稅法上のメリット
稅法上のメリットは、実物不動産投資の方が圧倒的に勝っています。
まず、不動産経営においては、「収入-必要経費=収益」となりますが、これがマイナスの場合、給與所得などの他の収入と合算できます(損益通算制度)。収益がマイナスの際は、実質的に稅金が減ることになります。
J-REITを含めて株式などでの損は、この損益通算制度は使えないので、こうした損失は、そのまま被ることになります。
また、株式等による配當収益には、20%+αの稅金が一律にかかります。
また、相続稅や贈與稅など、不動産を使うことで、稅の圧縮効果はかなり大きくなります。
この點については、大和ハウス工業のWebサイト「土地活用ラボ」で、稅の専門家が様々な知見を書いていますのでそちらを參考にしてください。
一方、実物不動産には、固定資産稅や登記費用(登録免許稅)がかかります。これらは、もちろんJ-REITなどでは関係のない稅金です。
このように、J-REIT投資も実物不動産投資も収益減は賃料収入でありながら、性質は大きく異なります。
そして、それぞれにメリットとデメリットがあります。これらをしっかりと理解して組み合わせた投資を行うと良いでしょう。
※投資の判斷は、各自の責により行ってください。