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GPIF、ゆうちょ銀行のオルタナティブ投資は不動産価格にどんな影響をもたらすのか?
公開日:2016/06/29
市況の熱は高まり、主要部の不動産価格上昇をもたらす!?
6月20日の日本経済新聞の1面トップ記事は、これまでリスクの(ほとんど)ない國債での運用が基本だったゆうちょ銀行や年金基金がリスク資産への投資に向かうというものでした。金融に関心のある方々は、「おっ」と目を止めて関心を持って記事を読んだのではないでしょうか。
ゆうちょ銀行は國內で最大規模の資産を持つ銀行で運用資産は約200 兆円。昨年度の資金利益は、1.4兆円。計算上の運用利益利回りは、0.7%です(著者計算による)。ゆうちょ銀行は今後5年程度で6兆円を國內外の不動産や未公開企業株へ振り分けると、記事にありました。
年金積立金管理運用獨立行政法人(GPIF)は、公的年金を運用していますが、こちらは、現在もわずかながら(現在は0.04%:日経記事による)オルタナティブ投資(株や國債といった投資先以外のもの。オルタナティブAlternative=代替)を行っていますが、これを今後は5%にまで増やすようです。5%は現在の資産に換算すると約7兆円です。こうした動きは、日銀の政策による、マイナス金利政策や、國債の大量買い上げの結果、利回りが極端に低い狀況を作り出していることが要因です。
こうした動きは、日銀のマイナス金利政策や、國債の大量買い上げの結果、利回りが極端に低い狀況を作り出していることが要因だ。安定資産では思うように運用益が出ないので、一定の割合においては、リスクを取って、運用益を得るという狀況に切り替えたということだろう。國內の不動産への投資に新たなプレイヤーが參入することになる。
安定資産では思うように運用益が出ないということで、一定の割合においては、リスクを取って、運用益を得るという狀況に切り替えたということでしょう。國內の不動産への投資に新たなプレイヤーが參入することになります。
國內不動産の投資熱はいまだかなり高く、主要都市のマンションをはじめとした不動産価格はミニバブル期を超える勢いです。不動産投資熱のバロメーターとなる、キャップレート(期待要求利回り)は東京などでは、ミニバブル期を超えています。
2012年以降は、個人(一般の)の株式投資家も、1棟モノ賃貸住宅投資(アパート投資)を購入する方が増え、さらには會社員も副業としてこの流れに呼応、年収がそれほど高くない方もワンルームマンションを購入したりと、不動産投資の裾野は広がってきています。
冒頭に述べたように、大型機関投資家が國內実物不動産のうち、賃貸住宅(大型レジデンス)への投資を始めるようですから、さらに市況の熱は高まると見込まれます。
それは、主要部の不動産価格上昇をもたらすことになるでしょう。