関心集める「スモールコンセッション」とは?
公開日:2024/04/26
PPP/PFIによる遊休公的不動産の推進が進んでいますが、昨年から比較的小規(guī)模で中小企業(yè)も參畫できる事業(yè)運営體として「スモールコンセッション」が関心を集めています。地域の企業(yè)も運営に攜わることで「エリア価値」の向上につなげる仕組みとして、今後取り組み事例が増えることが期待されています。
公共施設(shè)運営事業(yè)の小規(guī)模版
スモールコンセッション(Small Concession)の「コンセッション」は、譲渡、利権(特権)などの意味があり、公共施設(shè)とサービスに民間の知恵と資金を活用する手法である「PPP/PFI」(Public Private Partnership/Private Finance Initiative)の世界では、自治體所有の不動産を民間企業(yè)が運営権を得て事業(yè)展開する際に使われています。スモールコンセッションは、こうした公共施設(shè)運営事業(yè)の小規(guī)模版として、2023年に國が「PPP/PFI推進アクションプラン」の改訂版で使った造語といわれています。 その特徴は、①事業(yè)規(guī)模が10億円未満程度②廃校や空き古民家など身近な遊休不動産の活用③官民の対話を通じたビジネス環(huán)境の創(chuàng)出④エリア価値の向上につながるものであること、などとされています。
図1:スモールコンセッションの特徴
出典:スモールコンセッションのコンセプトについて(國土交通省総合政策局社會資本整備政策課)
都市部では、大手書店が公立の図書館を運営したりするなど、PPP(PPP/PFI)は広がりを見せています。地方では一般道沿いに「道の駅」が誕生し、地域金融機関の資金面での參畫も多く、PFIの事例が見られます。しかし少子高齢化や地方自治體の財政難などで、増加する廃校の利活用はあまり進んでおらず、PPP/PFIは必ずしも國の思惑通りには進んでいません。その背景には、手続きが複雑で時間を要すること、公共の不動産を利用することから事業(yè)化の構(gòu)想?発想力が不足していること、単體、単発の施設(shè)利用に留まって地域との連攜が乏しいことなどが挙げられています。
最大の眼目は「エリア価値の向上」
そこで國は2023年にPPP/PFI版推進アクションプランを策定。新分野の開拓として「スモールコンセッション」を?qū)毪贰⑿∫?guī)模の事業(yè)に限定してPPP/PFI事業(yè)の裾野を拡大することにしました。これまでのPPP/PFIを検証、地方公共団體の參入障壁を下げ、民間のアイデアを構(gòu)想の初期段階から積極的に取り入れ、施設(shè)単體ではなく地域に波及するような仕組みによって価値向上につなげる狙いでしょう。
スモールコンセッションの最大の特徴は、エリア価値の向上と思われます。想定されている施設(shè)は、スポーツ施設(shè)やホテル?旅館などの宿泊施設(shè)、サテライトオフィスなどの研究施設(shè)、移住體験住宅などの住関連施設(shè)です。近年のPFI事業(yè)の実施狀況(2020年度末時點、內(nèi)閣府調(diào)査)を見ると、學(xué)校施設(shè)が23%、住宅が15%などで、廃校や空き家が4割近くを占めているもようです。
図2:PFI事業(yè)の実施狀況/分野別事業(yè)割合
出典:PPP/PFIの推進における最近の動向(2023年11月8日 內(nèi)閣府民間資金等活用事業(yè)推進室)
閉鎖された校舎の教室のスペースを小規(guī)模事業(yè)者に提供して地域活性化を図ったり、空き家を利活用(イノベーション)して宿泊施設(shè)にしたりする動きは各地で見られます。しかし、「活性化」しているのは再利用された施設(shè)空間だけで、必ずしも地域やそこで暮らす住民との交流が持続するケースは、決して多くないように思えます。「使われなくなった施設(shè)が、取りあえず利用されるようになった」との安堵感で留まっているのかもしれません。PPP/PFIの原點は、民間の知恵を使って公的施設(shè)を効率的に活用して行政の効率化を図ること。その1形態(tài)であるスモールコンセッション事業(yè)では、施設(shè)を利活用する事業(yè)者が地域內(nèi)で広がりのある運営を展開する必要があります。
擔(dān)い手は地域企業(yè)に期待
國土交通省は2024年1月、「地方公共団體における既存ストック活用(スモールコンセッション等)のポイントに関するウェビナー」を開催しました。ここでは福岡県田川市の事例が紹介されました。2014年に廃校となった小學(xué)校に地域交流や宿泊、起業(yè)支援などの複合施設(shè)が2017年にオープン。地元の地方創(chuàng)生企業(yè)が運営し、音楽活動のためのレコーディング施設(shè)やリハーサルスタジオなどミュージックコンテンツ関連産業(yè)を創(chuàng)出する集積拠點として活動しています。
福岡県は1970年代のフォークソングブーム期から數(shù)多くの音楽アーティストを輩出しており、田川市からも複數(shù)のミュージシャンが出ている背景があり、こうした施設(shè)作りが企畫されました。同じ福岡県若宮市では、九州を拠點とするディスカウントストア大手が廃校となった小學(xué)校にAI開発センターや産直レストランを作り、地域の活性化に寄與している事例があります。
スモールコンセッション事業(yè)は廃校や空き家の利活用に焦點を當(dāng)て、その擔(dān)い手に地域の中小企業(yè)が手を挙げることが期待されています。地域に根差した會社やスタートアップ企業(yè)が知恵を出し合ってエリア価値の向上に努めることが求められています。