最新の持ち家比率の狀況と賃貸住宅の狀況
公開日:2024/10/31
5年に1度行われる「住宅?土地統計調査」の最新版が2024年9月25日に公表されました。今回の調査「第16回:令和5年調査」は2023年10月に調査を実施、速報版(空き家數と住宅総數のみ公表)は2024年5月に公表済みで、今回は確定値の公表となります。ここでは、調査結果の中から、持ち家比率にフォーカスしてお伝えます。
大きな変化のない全國の持ち家比率
持ち家に関する調査では、全國で「持ち家」は3387萬6千戸、総住宅數に占める割合「持ち家比率」は60.9%となりました。2018年の前回調査では0.3ポイント低下しましたが、1993年からの30年間(7回分の調査)をみれば、ほぼ60%(最小59.8%最大61.7%)と橫ばいが続いています。
都道府県別の持ち家比率の変化
図:持ち家比率の変化(都道府県別)
出典:総務省「土地?住宅統計調査統計表」 ※小數點2位以下は四捨五入(下落幅も小數點2位以下で計算し四捨五入)
上の表は、2023年と1998年(25年前)の都道府県別の持ち家比率を比較したものを、持ち家比率の減りが大きい順に並べたものです。持ち家比率が減少した県は26、増えた都道府県が21となっています。
最も持ち家比率が減少したのは沖縄県で1998年には55.3%だったのが2023年には42.6%と12.7ポイント下落しました。2位以下はそれまで持ち家比率が比較的高かった県(多くは人口減少が顕著な県でもあります)が並んでいます。それまで「持ち家に住む」ということが一般的だった地方でも、賃貸住宅に住む世帯が増えているという狀況が伺えます。
その一方で、多くの人口を抱える都府県では持ち家比率は上昇傾向にあります。たとえば、東京都?兵庫県?神奈川県?大阪府では3ポイント以上増加しています。
借家の割合
借家=賃貸用住宅は、1946萬2千戸で、全體に占める割合は35.0%となっています。前回調査に比べて0.6ポイントの低下となっていますが、過去30年をみれば、35%~38%辺りで推移している狀況が続いています。
本調査での借家は、民営借家、給與住宅(いわゆる社宅など)、公営借家、公社?公団(都市再生機構)等借家に分かれますが、このうち圧倒的多數は民営社宅です。一般的によく見られる賃貸住宅である民営社宅は1568萬4千戸で総住宅數の28.2%となっており(その他の借家は數%程度)、ここ10年は28%程度で推移しています。30年前の1993年は26.4%で1076萬2千戸でしたので、割合は微増ですが、実數では1.5倍以上となっています。
公営の社宅、公団?公社の社宅は、実數?割合とも減少しており、その役割が終わりつつあるのかもしれません。その一方で増えているのは給與住宅(社宅)です。
復活のキザシが見える給與住宅
一般的には社宅とよばれる給與住宅(社宅)は、バブル崩壊から2000年代前半の「持たざる経営」が叫ばれる中で、企業が手放すことが増えたため、大きく減少しました。1993年には205萬1千戸でしたが、2018年には110萬戸まで減少しました。しかし、最新の2023年調査では130萬2千戸(全體の2.3%)と少し回復のキザシが見え始めました。
新卒?中途かかわらず、人材の採用が難しくなっていることや都市部での賃貸住宅賃料が上がっていることなどから、社員の福利厚生の一環としての社宅が見直されている現れだと思われます。
社宅を新規に購入、あるいは建築する企業が増えており、また建て替える企業も増えているようです。建て替える際には、1棟の建物を社宅として利用するだけでなく、一部を賃貸住宅として一般の方々に賃貸する(賃貸収益を得る)という例も見られます。
速報からの確報で修正
最後に、速報での數値と確定報での違いについてお伝えしておきます。速報では「総住宅數」と「空き家數」の數値が公表されました。
今回公表された確定値に基づく、2023年10月1日(調査時點)における我が國の総住宅數は6504萬7千戸でした。速報では6502萬戸でしたので、少し増えたことになります。前回調査(2018年実施、結果公表2019年、以下同じ)と比べて263萬9千戸増加しました(+4.2%)。1948年の調査開始以來、住宅総數は一貫して増加、過去最多となっています。
次に、確定値に基づく空き家総數は900萬2千戸でした。速報値では899萬5千戸でしたので、確定報で増加しました。住宅総數で割った空き家率は13.8%となります(速報値と変わらず)。空き家率をみれば、2013年調査13.5%、2018年調査13.6%、2023年調査13.8%と、微増ですが、ほぼ橫ばいが続いていると言えるでしょう。