「土地の広さにあわせた土地活用術とは?」
追加金融緩和を味方につける、借換えのシミュレーション
公開日:2016/06/29
日本銀行の追加金融緩和によりマイナス金利が適用されたことや、世界における経済情勢が不安定ということもあり、日本をはじめ世界の主要國における長期金利が低下しています。2016年6月10日には、日本の長期金利の指標となる新発10年物國債の利回りがマイナス0.155%と過去最低を更新しました。こうした動きは不動産投資における融資の金利にも影響し、借入れを行って土地活用を行ううえではチャンスといっても過言ではありません。また、既に借入れを行い、不動産運用を行っている場合には、そのチャンスがきているともいえます。そこで、借入れにより土地活用を行う皆様に、借換えのシミュレーションをご覧いただくことで、借換えの効果がどの程度あるのかご確認いただければと思います。そして、皆様にとってもチャンス到來とお考えであれば、追加金融緩和等を味方につけた借換えを行ってみてはいかがでしょうか。
【事例1】當初の借入金額が2億円、金利が3.0%であった賃貸アパートのオーナーが借換えを行った場合
まず1つめの事例を確認してみましょう。10年前に借入金額が2億円、金利が3.0%で賃貸アパートを建設し賃貸事業を行っているオーナーがいたとしましょう。仮に30年間で返済するとした場合には、ローンの総返済額が3億355萬4,904円となります。しかしながら、昨今の低金利を背景に1.5%ほどで借換えが可能であったとするとどうなるでしょうか。ボーナス払いはないとすると、借入れしてから10年目に借換えを行い20年返済(當初からみれば30年借りる點は変わらない)とした場合には、トータルの返済額は2億7,726萬3,418円となります。なんと2,629萬1,486円も総返済額を軽減できることになります。なお、実際には借換え時の諸費用がかかりますので、その分を差し引いてどれぐらい軽減できそうなのかを検討する必要がありますが、このケースの場合には、借換えは今すぐにでも行う価値があることがわかります。
借換えシミュレーション
借換えせず | 借換え実行 | ||
---|---|---|---|
返済年數 固定金利 |
30年/3.0% | 20年/1.5% | |
返済額 | 毎月分 | 843,208円 | 733,660円 |
年間 | 10,118,496円 | 8,803,920円 | |
総額 | 303,554,904円 | 176,078,458円 | |
返済比率 | 33% | 29% |
- ※當初の10年間の返済総額が1億118萬4,960円となることから、借換え実行後の返済総額1億7,607萬8,458円を合算すると総返済額は2億7,726萬3,418円となります。
- ※返済比率は、年収3,000萬円とした場合の値を掲載しています。
【事例2】當初の借入金額が4億円、金利が2.5%であった賃貸マンションのオーナーが借換えを行った場合
2つ目の事例として、5年前に當初の借入金額が4億円、金利が2.5%であったマンションのオーナーが借換えを行った場合を検討してみましょう。仮に25年間で返済するとした場合には、ローンの総返済額は5億3,834萬81円となります。しかしながら、昨今の低金利を背景に同様に1.5%ほどで借換えが可能であったとするとどうなるのでしょうか。ボーナス払いはないとすると、借入れしてから5年目に借換えを行い20年返済(當初からみれば25年借りる點は変わらない)とした場合には、トータルの返済額は4億9,985萬867円となります。なんと3,848萬9,214円も総返済額を軽減できることになります(実際には【事例1】同様、借換え時の諸費用がかかりますので、その分を差し引いてどれぐらい軽減できそうなのかを検討する必要があります)。なお、毎月の返済額は160,372円減ることになり、キャッシュフローも改善します。このケースの場合にも、借換えは今すぐにでも行う価値があることがわかります。
借換えシミュレーション
借換えせず | 借換え実行 | ||
---|---|---|---|
返済年數 固定金利 |
25年/2.5% | 20年/1.5% | |
返済額 | 毎月分 | 1,794,467円 | 1,634,095円 |
年間 | 21,533,604円 | 19,609,140円 | |
総額 | 538,340,081円 | 392,182,847円 | |
返済比率 | 35% | 32% |
- ※當初の5年間の返済総額が1億766萬8,020円となることから、借換え実行後の返済総額3億9,218萬2,847円を合算すると総返済額は4億9,985萬867円となります。
- ※返済比率は、年収6,000萬円とした場合の値を掲載しています。
金利差が0.5~1.0%以上あれば借換えはメリットとなりうる
以上、簡易的ではありますが土地活用における融資の借換えシミュレーションをみてきました。一般的に、現在返済を行っている不動産投資ローン等との金利差が0.5~1%ほどある場合には、ローン殘高や殘りの返済期間によって異なるものの、借換えによるメリットを享受できる場合が高いといえます。しかも早めの借り換えの場合には、殘りの返済期間が長いため、金利差が0.3%程度でも、手數料などを考慮しても十分メリットが生じる場合があります。
現在のローン金利は、史上最低水準にまで低下しており、借換えにおいてメリットが生じるケースは多いと想定されます。賃貸アパートや賃貸マンション、サービス付き高齢者住宅などの建設の場合であれば、借りた時期や金利にもよりますが、借換えによりトータルで數百萬円~數千萬円の負擔軽減につながる可能性もありえます。
なお、これから土地活用をお考えの方の場合には、現在の金利水準は借入れを行うタイミングとしては良い狀況といえると思います。マイナス金利はあくまで非常時の対応策であることを考慮すればいつまでも続くことは考えにくいです。そのため、できれば固定金利で借入れを行い、様々な土地活用方法を検討されるとよいでしょう。家賃収入という手堅い収益を得ることができれば、その収益での返済も可能となります。また、借入金利と家賃収入の運用利回りとの差が大きければそれだけ収益にうまみがあることになります。低金利下の今だからこそ、土地活用をうまく行いましょう。皆様の収益や資産構成においてもプラスとなる土地活用を。