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大和ハウス工業株式會社

DaiwaHouse

DXアニュアルレポート2023

DX推進を支える組織體制

大和ライフネクスト

目的、ビジョン

建物管理業は労働集約型産業であり、これまで多くの業務を人の手で行ってきました。

そのような中、人手不足が年々深刻なものとなり、將來の顧客サービス力維持が困難になってきています。従前のように労働力が十分に確保できていた頃は、「各業務」を擔當する人財を「各現地」に配置し機能していました。

しかしながらこれからは「人でなければ対応できない必要最小限の作業」を殘しつつ、可能な限りデジタル化を進め、品質を維持したまま管理業務の「省力?省人」を実現する新しい建物管理が必要な時代になります。

當社グループは省力?省人からさらに一歩進んで、各種IoT機器から得られるデータを集積?分析し、管理業務の數値化?見える化を図ることで、お客さまにも透明性と付加価値の高い管理業務を提供していきます。

そして「労働集約型産業」から脫卻し「労働分散?データ活用型産業」へ、「アナログ対応」から「デジタル化?データ活用」への構造転換を図ることで、お客さまに必要とされる企業であり続けます。

取り組みの全體像

建物管理の基本構成要素である「受付」、「巡回」、「點検」、「清掃」、「警備」といった業務を「人でなければできない作業や対応」と「機械やITに置き換えられる作業」に分解します。
前者は「アナログ手法の強化?特化」、後者は「デジタル手法への転換?DX化」を行い、それぞれの持つ能力?機能を最大?最適化し、管理業務全體の品質向上と効率化を図ります。

また、その過程で得られる「受付対応記録」、「防犯カメラ映像解析」、「點検結果?モニタリングデータ」、「清掃記録」、「警備報告」を分析?活用することによって、管理上の課題や設備異常、不具合箇所等の抽出を行い、改善提案や修繕提案につなげます。

「人」と「IT」が融合したハイブリッドDX管理を構築し、居住者?建物利用者の皆さまに快適な住環境、安全?安心を提供するとともに資産価値の向上も同時に実現します。(図1)

図1:人×デジタル=新しい管理業 集積データの二次活用

昨今の主な取り組み

(1)エレベーター完全連攜?自律移動型清掃ロボットによる清掃仕様確立とデータ活用

自律的にエレベーターを呼び出し?乗降し、単獨でフロア移動する清掃ロボットを、実際の管理建物の清掃で稼働させることを始めています。これにより清掃員がロボットを移動させる手間と時間を省くことができ清掃効率が大幅に向上したことに加え、清掃結果データにおいても「人の手による作業」よりも集塵力が最大で10倍となりました。ロボットに床面清掃を任せることにより削減した時間をその他の箇所の清掃に充てることで建物全體の清掃品質が向上し、オフィスで働く皆さまに清潔で衛生的な環境を提供することが可能になりました。
また、天候や気溫、季節による汚れの変動も可視化され、より緻密で高品質な清掃が実現しました。
今後は取得できる様々なデータを活用し、清掃のみならず建物管理にも広く応用していきます。このような取り組みに関心を寄せていただいたビル清掃専門誌に當社のロボット清掃が特集?掲載されました。

図2:エレベーター連攜ロボット(エレベータ乗車時)

図3:エレベーター連攜ロボット(エレベータ降車時)

図4:月間ビルクリーニング表紙(2023年8月號)

図5:月間ビルクリーニング本文(2023年8月號)

また清掃ロボットの他、警備ロボットや受付ロボットなどの提案、新たな設備連攜ユニットの共同開発等を進めています。このような建物管理における當社のロボット推進への取り組みが社會的にも評価され、2023年度の東京都の「西新宿における最先端サービス実裝?産官學コンソーシアムプロジェクト」および経済産業省の「革新的ロボット技術開発等基盤構築事業」に採択されました。
ロボット活用において、建物管理業界のみならず広く社會に貢獻できるよう努めていきます。

(2)草刈りロボット

敷地面積が広大な物流倉庫管理においては、草刈りロボットの稼働を開始しました。これにより従來の人の手による植栽剪定作業の負擔を大幅に軽減することができました。ロボットの電源も太陽光パネルによる発電で供給され、SDGsも意識した運用を行っています。
今後は草刈りロボットの稼動データ解析やカメラ搭載などを検討していきます。

図6:草刈りロボット

図7:草刈りロボット(充電時)

(3)無人受付端末

2023年に新築分譲マンションとして販売された「プレミスト湊川」、「プレミストタワー新さっぽろ」に無人受付端末を導入いただき運用を開始しました。
キーボックスやスマートホンと連動し、施設利用予約をはじめ分譲マンションに必要な手続き書類の出力や提出、各種お知らせ機能を備えた総合受付端末となります。
これにより従來の共用施設利用における鍵の貸し出し?返卻に必要だった人員、受付時間を削減することにより、ローコストな受付?対応業務が可能となりました。
施設予約、各種手続きも24時間?365日の対応が可能となり、時間に捉われることなく管理會社とのコミュニケーションが可能となり居住者の皆さまの利便性も大幅に向上しました。
當社の既存管理マンションの管理組合でも、コストダウンの施策として導入検討が進んでいます。

図8:無人受付端末(全景)

図9:無人受付端末(操作畫面)

(4)Remo_info(遠隔受付システム)

2023年10月1日に遠隔受付システムである『Remo_info(以下、「リモインフォ」)』をリリースしました。
従來、建物ごとに管理員やコンシェルジュを配置することが一般的でしたが、リモインフォでは管理員等に代わってオペレーターが遠隔で受付?案內業務を行なうことが可能となります。
オペレーター1名が、複數棟の建物における受付?案內業務を擔當することで省人?省力化を図るとともに、管理業務の経験豊かな社員がオペレーター業務を擔うこと業務品質の安定化を図ります。
なお、お客様からの問い合わせに対して畫面共有機能やスマホ連動システムを活用することで、視認性や伝達力を高め、管理員等による対応を上回るホスピタリティあるサービスを提供します。
また、上記の無人受付端末と組み合わせることにより鍵の貸し出し?返卻、各種書類の出力?伝送も付加され対応の幅が広がり、お客様にとってより利便性の高いサービスとなります。

図10:Remo_info(全景)

図11:Remo_info(操作畫面)

以上、當社では遠隔化、省人?省力化を実現する管理ツールの導入が進んでおり、管理品質やホスピタリティを落とすことなく新たな管理手法を始めています。
迫りくる人手不足?人件費高騰に備え、新しい管理の形を追求しています。
一方で『年々高度化するデジタル技術』と『超高齢化社會に向かい年々低下するITリテラシー』は比例するものではなく、そこには大きなのギャップが生じています。
その2つの曲線の交點こそが『建物管理會社である大和ライフネクスト』の提供するホスピタリティの原點だと當社は考えています。
建物管理會社が一方的に押し付けるデジタルサービスではなく、小さなお子さまから高齢者までが安心して暮らすことができる、そして居住者の暮らしを守る『人』の血の通ったホスピタリティを感じることのできる『ハイブリッド管理』を目指しています。

効果、今後の展開

今後、管理員業務や受付業務の省人?省力化をさらに進めるために「スマートフォンを活用した遠隔作業支援システム」や『ロボットサービス』 の開発に取り組みます。

また、管理建物各所に設置したセンサーやカメラ、ロボットから発信?集積される計測データ?數値データ?映像解析データに、気象データ?溫濕度データ等を組み合わせ、AIで集積?分析することにより、安定的な設備稼働やセキュリティ強化、清掃品質?美観の向上など、管理品質の向上を実現する「データ活用システム」を構築します。

さらにデータ分析を細分化することにより、マンションにおいては汚染度合いによる清掃手法の最適化、気象情報に基づく防御的設備トラブル対策など、居住者?建物利用者の皆さまに安全?安心?快適を提供します。また、ビル管理においてはエアコン制御の最適化による電気料金の削減、人流解析やヒートマップによる管理コスト削減の方策やマーケティングデータの提供など、ビルオーナー?テナントの皆さまに役立つ情報配信を行えるようにしていきます。

「人」と「IT」、「アナログ」と「デジタル」の両面から得られるデータを分析し、「學習?比較?予測?実行」のプロセスを繰り返すことによって生まれる「管理業務改善サイクル」を利用した「ハイブリッドDU(Data Utilization)管理システム」の構築を目指します。

執行役員
(デジタル統括本部長)
鈴木 理文

DXで「労働集約型産業」から「労働分散?データ活用型産業」へ

私たち大和ライフネクストは、労働集約型産業である管理事業にITを活用することで「省力?省人?省コスト」化された効率的な事業運営を推進しています。
今後は単なる省力?省人?省コストだけでなく、DX化することで顧客提供価値の向上や、仕事の在り方そのものを変化させていくことを目指しています。
管理事業の基本である管理員(受付)業務、點検業務、清掃業務、警備や緊急対応などの業務を丁寧に分解し、人でしかできないこと、IT?IoTで置き換えられるものを抽出してデジタル化を推進します。さらに集積データを二次活用することで顧客への提供価値を高めたいと考えています。
人のチカラとITの融合で、より豊かな管理事業の創造へ邁進していきます。

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